国内ユニクロの既存店売上高とケーブルニットから学べる点
ユニクロを経営するファーストリテイリングは日経平均株価にも大きく影響を及ぼす企業なのか、国内ユニクロの既存店売上高は、日経朝刊で必ず報じられています。国内ユニクロの既存店売上高がいいのは知っていますが、改めてその推移表を見ると、びっくりしました。
【国内ユニクロ既存店売上高のまとめ】
[2014年9月~12月]すべてプラス
[2013年9月~2014年8月]10月・7月以外プラス
[2012年9月~2013年8月]9月・10月・1月・4月以外プラス
年々マイナス月が減っていることがわかります。それだけ、売れ行きが上向いていると言えるでしょうか。既存店売上高の内訳(客数・客単価)を細かく見てみると、
[2012年9月~2013年8月]客数増が寄与
[2013年9月2014年8月]客単価増が寄与
[2014年9月~12月]客単価増が寄与
になります。つまり、販促方法が、値下げによる客数増から価格維持による客単価増にシフトしていることがわかります。ファミレスなど客単価増で売上を拡大する、所謂アベノミクスのパターンです。
景況感の向上によりアパレル品そのものが売れているのだろう、と思われる方もおられるかもしれませんが、そうではありません。実際、
ワールドが13日発表した2014年4~9月期の連結決算は最終損益が32億円の赤字だった。赤字幅は13年4~9月期の23億円から拡大した。消費増税前の駆け込み需要の反動減や、夏のセールが盛り上がりに欠けたことなどが響いた。(2014年11月20日付 日経電子版)
オンワードホールディングスは3日、2015年2月期の連結業績見通しを下方修正した。経常利益は前期比1%増の123億円と従来予想を14億円下回る。消費増税や天候不順の影響で、14年3~8月期に主力の婦人服ブランドを中心に販売が苦戦したため。増税の影響は下期も残るとみている。(2014年10月4日付 日経新聞朝刊)
というように、大手アパレル企業の業績は悪いのです。ユニクロの一人勝ちと言っても、過言ではないかもしれませんね。
そんなユニクロの売上がいいのは、値下げをしなくても売れる商品を開発できたから。その代表例が、ケーブルニットだそうです。アパレル評論家の南さんのブログによると、
ユニクロのヒット商品が昨年から変質しつつあるように感じる。
昨年秋口から話題になったのが、メンズのウールブレンドケーブルクルーネックセーターである。
女性に大人気となり、SサイズやMサイズが品切れとなった。(2015年1月6日)
だそうで、メンズ商品が女性に売れているようです。ユニクロと言えば、毎週金曜~月曜にセールを行っており、新聞折込チラシで告知しています。そのせいか、週末のユニクロはいつでも混んでいます。しかし、一方でセール対象日以外の夜にユニクロで買い物した人を見かけるのも事実。そういう、仕事帰りに買い物したい時短ニーズの強い層を獲得しているから、客単価引き上げに成功したのだとずっと思っていました。
しかし、実態は売り切れるほどの人気商品が、比較的高いプロパー価格でのシェアを高め、客単価引き上げに貢献しているのです。南さんのブログによると、
1、ファッション性で評価されている
2、製造枚数はそれほど多くなく、追加生産しない
3、他ブランドと比べてそれほど価格が安いわけではない(同上)
という特徴を持つ商品が、ユニクロの客単価増に寄与しているとか。要は、
- ニーズにマッチしている
- 限定生産・限定販売
- 価格で差別化していない
となるでしょうか。この中で興味深いのは、2の限定生産。ユニクロほどの大手チェーンで、売上の最大化を目指す企業ならば、売れる商品を追加生産してもいいもの。それをしないのは、限定だからこそ枯渇感が強まりプロパーで売れると考えるからでしょう。
ユニクロのケーブルニットが押してくれるのは、客単価引き上げのためには、ニーズにマッチするのはもちろん、販売数量を限定するということ。つい欲が出て追加大量生産しがちですが、客単価引き上げには、これ以上生産しないという我慢が必要なのでしょう。
☆今日のまとめ☆
国内ユニクロの既存店売上高がいいのは、客単価引き上げに成功しているから。
それに寄与したのは、追加生産しないケーブルニット。
価格維持・引き上げには、追加生産しないという我慢が必要。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
ボックスワイン買いました。
まだ飲んでいませんが、評判いいので。
さて、味はどうなんでしょうか。