マルイが渋谷の店舗を新業態モディに転換する事情
丸井グループがモディという新たな業態を開発するようです。
丸井グループは2015年度にも東京・渋谷に大型の専門店ビルを開く。同社を象徴する百貨店の「マルイシティ」を全面テナントの店に転換し、飲食や雑貨、書籍の店を大幅に増やす。同社は主に20代向けに衣料品を扱ってきたが、衣料品専門店との競争激化などで売上高が頭打ちになっており、30~40代の大人が集まる店づくりを加速する。(2014年9月27日付 日経新聞朝刊)
その特徴は、各階にカフェを設置し、大型書店を誘致することで、滞在型消費を狙っていることです。複数のカフェを設けた百貨店・SCは、今増加しています。丸井グループも、このトレンドに沿っていることになります。
丸井グループが滞在型消費の新業態を開発する背景には、渋谷の小売市場に大きな変化が起こっていることがあります。その影響で、渋谷地区の丸井グループ売上は全盛期の半分以下まで縮小。私が東京で生活していた頃は、新宿・渋谷と言えば丸井グループの店舗が多いことが印象的でした。その渋谷で売上が半分にまで減少したということは、小売市場に大きな変化が起きているからに他なりません。
記事によると、渋谷地区の丸井グループの売上激減は、
- 若者市場が縮小したから
- ネット通販に侵食されたから
という要因によるそうです。1は、単に若者の人口減少だけではなく、ファストファッション市場の増加や競争激化により、丸井グループの主要販売品目であるアパレル品の単価が大きく下がっています。客数・客単価とも下がれば、売上が半減しても不思議ではありません。
一方で、2のネット通販市場は拡大。ただでさえ激しい実店舗間の競争だけではなく、ネット通販とも激しい競争を強いられているのです。セール中全品送料無料にするなど、丸井グループがネット通販に力を入れているのも、納得です。
そこで丸井グループは、滞在型消費を喚起するにあたり、30~40代の顧客獲得と飲食・雑貨の販売強化を行います。これは、
30~40代の顧客獲得→客数増
飲食・雑貨の販売強化→客単価増
であるので、売上の増加に大きく寄与します。
丸井グループは、新業態モディにより、アパレル主体の百貨店型から、アパレルもあるSC型へと、業態変更をしようとしているのです。来店頻度を考えれば、アパレル店よりも飲食店・雑貨店の方が圧倒的に多いのは事実。丸井グループの業態変更からわかることは、いかに来店してもらうかは、実店舗型小売にとって深刻な課題ということです。
☆今日のまとめ☆
丸井グループが滞在型消費を狙うSC型新業態を開発するのは、アパレル中心の業態では来店してもらうのが相当難しくなったからではないか。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
年始のセールでは、神戸丸井グループでマフラーを買いました。
5年ぶりぐらいに丸井グループで買い物をしたのですが、アラフォーには少し入りづらい店舗ですね。
全体的に若さが満載であり、かと言って値段が安いわけではありません。
H&Mなどのファストファッションに、相当顧客が奪われているのではないでしょうか。
ちなみに、H&Mなら40代でもへっちゃらですよ。
若者ターゲットの業態は、今後大きく変わらなければならないでしょう。