イオンはともかく、最高益更新のセブンでさえGMS部門が営業赤字に転落した要因

 

cash-register slip from Aeon

 

かなり古い記事ですが、日本を代表する小売チェーンのイオン・セブンのGMS部門がともに営業赤字に転落したようです。

 

 小売り大手の主力事業である総合スーパー(GMS)部門の不振が深刻だ。イオンなど3社の2014年3~11月期のGMS部門は消費増税対応の遅れを取り戻せず、軒並み営業減益・赤字になった。画一的な品ぞろえが消費者のニーズに合っていないとみて「地域密着」の商品戦略を進める方針。従来の本部主導モデルから大きくかじを切り立て直しを急ぐ。(2015年1月12日付 日経MJ)

 

日本では、GMSという業態はもう終わったかのようです。業界大手のイオン・セブンとも、GMSは営業赤字。コンビニ市場が低迷する中で一人勝ちのセブン&アイグループでさえ、GMSには苦戦しているようです。

 

同じGMS業態ですが、イオン・セブンの戦略は大きく異なります。

 

【イオン・セブンのGMS戦略】

[イオン]PBなどの値下げによる客数拡大が狙い

[セブン]セブンゴールドなどPBのプレミアム化による客単価引き上げが狙い

 

今の日本の小売チェーンで、値下げにより売上を伸ばしている企業は、ほとんどありません。イオンも然り。値下げして客数増を狙ったものの、思ったほど客数は伸びず、結局既存店売上がマイナスとなり、粗利益率を下げた分だけ利益が毀損される結果となりました。「値下げしても以前ほど売れない」という小売企業経営者の声、そのものです。

 

一方のセブン&アイグループは、プレミアム化による客単価引き上げを目指しましたが、客離れを起こしたのか、最終的には営業赤字に転落しました。同じことをセブン-イレブンでも行っているのですが、GMSでは通用しなかったということになります。

 

戦略は全く異なるものの、イオン・セブン両方に起こったのは、

 

思ったほど客数が伸びなかった

 

ということ。つまり、GMSが消費者からそっぽを向かれているということです。その要因を、推測してみると、

 

[富裕層など生活に余裕のある層]GMSから高級スーパー・SCにシフト

[低所得者層など生活に余裕のない層]GMSからDS(ディスカウントストア)・アウトレットモールにシフト

 

となるでしょうか。二極化した顧客の両方共が、GMSから他業態にシフトしていることが、GMS不振の要因のように思えてなりません。

 

ネット通販の影響はほとんどないのか、というと、それは多いに影響を及ぼしています。この場合、所得に関係なくGMSの元ユーザーすべてが、ある一定の買い物をネットにシフトしていると考えられます。ネット通販の一番の特徴は、その品揃えの多さ。店舗・売り場という制約がないので、売れる商品をすべてサイトに掲載することができます。一方のGMSも、その品揃えの多さが魅力でした。つまり、品揃えにおいて、GMSはネット通販と同じ土俵で闘うことになり、結果販売スペースの制約を受けないネット通販に負けたのではないでしょうか。

 

余談。ダイエー最後の株主総会に出席した際、社長が、「ダイエーのライバルはGMSやスーパーではなく、ネット通販だ」という旨の話を何度もされていたことを、記憶しています。GMSのダイエーがそこまでネット通販をライバル視するということは、現状ネット通販にシェアをかなり食われており、今のままでは今後もさらに侵食されると懸念していることの表れでしょう。上記のような所得層別のシフトではなく、全体が大きくネット通販にシフトしているのかもしれません。

 

☆今日のまとめ☆

イオン・セブンのGMS部門が営業赤字に転落したのは、戦略に違いはあれ、顧客離れを起こしているからだろう。

所得層別に他業態にシフトするとともに、全体がネット通販の利用を増やしているのかもしれない。

 

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  • 今日のこぼれ話☆

ルクエで煮付けを作ることを覚えてから、煮付けばかりの食生活になりました。

健康そうですが、醤油を毎回使っており、塩分摂りすぎが気になるところ。

違う味付けをそろそろマスターした方がいいようです。

 

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