ドイツで消えつつあるパン職人のパン屋さん、日本のパン市場も同じ?
以前の日経新聞(確か夕刊)に、ドイツのパン市場に関する記事(エッセイ)が掲載されていました。
最近、ドイツの街角でパンの店が急増している。ただ、これは従来型のパン職人がいるようなパン屋さんではない。多くは国外の工場でつくられたパン生地を店で焼くタイプ。価格が安いのが特徴だ。こうしたパンはスーパーでも売られており、客が自分で温めて買っていく場合もある。(2015年1月20日付 日経新聞夕刊)
この記事によると、ドイツではパン職人の経営するベーカリーが激減しているそうです。一方で増えているのが、工場で生産したパン生地を店内で焼くタイプのお店。両者の違いは、次の通り。
[パン職人のお店]少品種、価格高め
[パン生地利用のお店]多品種、低価格
肌感覚として、もともとパン食文化の無かった日本では、パン職人の店舗自体そう多くありません。ベーカリーの多くは、ドンクなど工場で作ったパン生地を店舗で焼く店舗。だから、ドイツのパン市場とはだいぶ事情が違うことがわかります。
さらに、日本では、
おいしいパンのコモディティ化が進んでいる
と感じざるをえません。その最たる例は、阪急百貨店やそのスーパー業態の阪急オアシスで展開されている阪急ベーカリー。全品100円(税抜き)で販売する、低価格ショップです。ただし、単に安いだけではなく、
百貨店やスーパーなど集客が多く利便性の高い店舗内で販売
していることが多い点にも注目です。日本では、美味しいパンはもう専門店以外でも買えるのかもしれません。ちなみに、阪急ベーカリーは恐らく、工場で生産したパン生地を店舗内で焼いていると思われます。
では、パン職人のお店は生き残れないのかというと、不可能ではありません。
ヘルシーさを訴求
居心地の良いイートインサービスを提供
大量生産しにくいパンで差別化
パン教室など物販以外のサービス提供
など、大手がやりたがらない面倒なことをすれば可能ではないでしょうか。
思えば、商店街に必ずあった八百屋・鮮魚店・精肉店も、本当に少なくなりましたね。それどころか、商店街自体が、すでにオワコン状態とも言えるでしょうか。すべて、スーパーやGMSに食われたと言っても過言ではないでしょう。しかし、道の駅や野菜の直売所の人気ぶりを見ると、この環境が今後大きく変化しそうに感じます。つまり、スーパーやGMSに統合された各カテゴリーが、今後また専門店化するのではないかと。
そう言えば、イオンのGMS部門は営業赤字であり、コンビニが好調なセブン&アイグループのGMSも営業赤字に転落したようです。
☆今日のまとめ☆
ドイツでパン職人のベーカリーが減っているのは、工場で生産されたパン生地を店内で焼くお店が、職人の店よりも低価格で多品種提供しているから。
日本ではそれのさらに先を行き、スーパー店内で焼く100円パンまで生まれている。
ただし、スーパーやGMSに統合された各カテゴリー、今後また専門店化するのではないか。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
激しく降る雨の中、激しく歩いたところ、革靴がずぶ濡れ。
雨の日は、できるだけ歩くのはよした方がいいと反省しました。
濡れた革靴は、そのメンテが本当に大変。