サイゼリヤ純利益急増も、喜べない理由
サイゼリヤの業績が改善しているようです。
サイゼリヤが13日発表した2014年9~11月期の連結決算は、純利益が前年同期と比べ約2・1倍の9億1100万円だった。国内で出店数を減らし経費を削減したほか、中国を中心に海外事業が伸びた。(2015年1月14日付 日経新聞朝刊)
記事によると、その要因は、
ちょい飲み需要の取り込み成功
海外の売上増
のようです。ちょい飲み需要とは、従来居酒屋が商売をしていた領域。居酒屋は、ファミリーレストランにも市場を奪われていることがわかります。
この記事を見ると、サイゼリヤの業績は良いように見えますが、既存店売上高を見ると、その様相は全く異なります。2013年9月から、既存店売上高は一貫してマイナス基調なのです。ちなみに、2012年9月~2013年8月も3・6月を除き、既存売上高はマイナス。つまり、アベノミクス前から売上は悪化しており、まだそのトンネルから抜け出せていないことになります。
サイゼリヤの既存店売上高を客数・客単価に因数分解すると、両方ともマイナス基調。サイゼリヤが値上げしたというアナウンスがないことを考えると、客離れとともに注文品目の減少・低単価メニューへのシフトが起こっていると推測できます。
その理由は、サイゼリヤの公式サイトを見ると、なんとなくわかります。その理由とは、特に特徴がないから、となるでしょうか。安さ以外のメリットが、なかなかわからないのです。
今収益を伸ばしている飲食店の特徴を列挙すれば、
シニア・ファミリーをターゲット(ロイヤルホスト)
わかりやすいメニュー(ステーキ、寿司、焼き肉、喫茶店)
価格よりも品質の高さ・話題性・知名度(俺のフレンチ)
お得感(ビュッフェ)
になるでしょうか。サイゼリヤが該当するのは、お得感のみ。これでは、コンビニなどの総菜とモロに競合してしまいます。
ちょい飲み需要があるじゃないか、との意見もありますが、恐らくちょい飲み需要の獲得ゆえに、客単価がマイナスに転じているのだと思います。サイゼリヤでちょい飲みするなら、3品とグラスワイン2杯ほどあれば十分ですから、一人1000円ほどで収まります。サイゼリヤが勧めるコース分の料理を注文する必要はありません。
一つサイゼリヤの凄さを上げれば、既存店売上がまるっきり悪くても、利益を出せる点。コスト競争力にかけては、業界一二を争う強力な企業と言えます。客単価減の元凶となった100円のグラスワインも、利益は十分たたき出しているのでしょう。
サイゼリヤの既存店売上高を見ると、消費者が外食へ求めるものが変わったことを実感せざるを得ません。もう、安さは、依然ほど魅力的ではないのですね。安くすませようと思えば、外食しなくても総菜買えばいいわけですから。友人や会社の同僚と食事するなら、価格よりも品質・話題性を優先するのかもしれません。ママ友との交流を安く済ませたいなら、サイゼリヤよりもカフェチェーンを利用しているのかもしれませんね。以前ならサイゼリヤを利用していた人達が、中食や他飲食店にシフトしているので、客離れが続いているのでしょう。
では、サイゼリヤはどうするか。ちょい飲み需要に特化した立ち飲み業態なんて、面白いかもしれませんね。ファミレスで酒を飲む気になれない、私のような人は多いと思いますから。
☆今日のまとめ☆
純利益が急増したサイゼリヤだが、既存店売上は12ヶ月以上マイナスに沈んでいる。
その要因は、お得感以外、消費者が外食に求める価値を提供できていないからではないか。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
六甲アイランドにもサイゼリヤがあるのですが、以前よりも空いているような気がします。
ママ友利用が減ったような。