和民の強みこそ、復活のヒント。
前回に引き続き、和民値下げについて。当面の客離れは、値下げである程度免れるでしょう。景気回復気味とは言っても、安いというのはいつの時代でも魅力ですから。ファミレスにしても、マスコミで取り上げられることの多いロイヤルホストよりも、より割安なガストを運営するすかいらーくの方が、既存店売上高はいいですから。
しかし、少し長めのスパンで見た場合のV字回復を目指すなら、値下げだけでは不十分。やはり、価格以外の魅力は必要です。単に安く飲むだけなら、ファストフードや中華料理店などの他の外食業態、さらにコンビニまであるのですから。今後、イートインスペースを設けるコンビニ店舗、増えてきますよ。物販だけで売上伸ばすのは、今後相当難しいですから。
では、どうするか。そのヒントは、和民の強みにあります。和民の強みから考えた、和民復活策とは、
- 自社農園で栽培した野菜メニューを強化
- 宴会など大人数顧客への柔軟な対応
ではないでしょうか。
1について、野菜こそ和民の強み。ワタミファームという農業法人を、持株会社のワタミが持っているからです。今でもワタミファームの野菜をメニューに使っていますが、この打ち出し方がまだまだ弱い。店舗設置のメニューに説明書きがされている程度です。サイトやマスコミPRでも、もっとワタミファームの野菜を全面に打ち出してもいいのではないでしょうか。新鮮有機野菜を使ったメニューなら、少々高くても売れるでしょう。もちろん、健康増進効果をアピールして。そう言えば、野菜の機能表示も可能になりますよね。和民には追い風ではないでしょうか。(機能表示可能な農作物は、まだわずかのようですが。)
2について、総合居酒屋の実際の利用シーンとして考えられるのが、大人数での宴会。これだけは、料理・価格よりも、まず対応できるかが問われます。この点、大型店を持つ和民には、大きなアドバンテージがあります。一方で、大人数宴会で一番危惧されるのが、料理・飲料の提供時間の遅さ。幹事をした人なら心あたりがあるでしょう。注文した料理・酒がなかなか来ずに、参加者から苦情が来るシーン。それが上司なら、もう最悪ですよ。社内での評価がガタ落ちになりかねません。大人数の宴会は、それだけ神経質なものであり、ノウハウが要求されるのです。この点も、長年大人数宴会を受注していた和民には、強みに働きます。ただし、今のサービスレベルで十分とは言えません。サービスレベルが低いからこそ、客離れが起きたとも考えられるから。料理も然り。宴会の料理・サービスレベルを向上させるとともに、幹事さんが楽になるように、柔軟な対応をしてみてはどうでしょうか。そのためには、社内トレーニングを再度行わなければならないでしょう。しかし、客単価が高く、売上が事前に見込め、さらにリピート利用がうまれやすい宴会受注が増えると考えれば、十分ペイします。
最後に、90年代半ば、私がよく和民を利用していた理由について。それは、
チェーン居酒屋にも関わらず、料理は美味しく、サービスも良く、値段も手頃だったから
です。その時から、安全安心な食材の利用の説明文が、メニューに掲載されていたと思います。当たり前と言えば当たり前ですが、こういう安心感・お得感こそが、和民の利用動機だったのです。吉本興業とのコラボもいいですが、今は基本に戻ることが先決ではないでしょうか。
☆今日のまとめ☆
和民が長期的に顧客を取り戻すには、関連企業が栽培した野菜を使ったメニューの強化と大人数宴会の柔軟対応が必要ではないか。
両者とも、他社にない強みであり、十分差別化可能。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
持株会社のワタミのサイトを見ていると、創業者で政治家の渡邉美樹さんのサイトへのリンクがありました。
どうしてもリンクを掲載する必要があるのかもしれないですが、ワタミ復活のためには一時的にリンクを止めた方がいいと思いますね。
まずは、業績回復でしょう。
渡邉さんも、それをお望みだと思います。