売りにくい地ビールの売り方とは?(ビアフェス大阪2011で考えたこと)
(from Flickr)
地ビールというのは、大変売りづらい商品なのです。
この前、近くにある神戸ベイシェラトンで箕面ビールを見つけた時、驚いたことがあります。それは、
1 賞味期間が大変短い
ということです。製造から3ヶ月しかもちません。これは、瓶ビールです。普段、大手メーカーの缶ビール(正確には第三のビール)しか飲まないので、瓶ビールの賞味期間がどの程度かは知りませんが、缶ビールで8ヶ月ほど。瓶ビールもそれに近いと思います。箕面ビールはザ・地ビールとでも言えるので、地ビールの賞味期間は、大手メーカーのビールよりも相当短いということになります。そのため、大量に仕入れることはできません。期限切れのロスが発生するからです。
さらに、
2 保管は要冷蔵
という点も、販売店からすると大きな負担になります。常に冷蔵庫に入れなければならないので、常温で保管できるビールに比べて電気代が余分にかかります。また、冷蔵庫のスペースは限られているので、保管にかかる場所代も倉庫で保管するよりも高く付きます。これも、大量仕入れできない要因になっています。
最後は、
3 価格が高い
という点でしょうか。価格が高いということは、その価格差を消費者に説明しなければなりません。対面販売できればいいのですが、その場合には人件費が余計にかかります。セルフ販売をするには、消費者がその価格差を納得できるPOPが必要になります。とても販売するのが難しい商品なのです。
このように、とても売りづらい商品のため、酒販店で売場を確保するのは大変なようです。取扱いをしてもらうのも難しいうえ、売れ行きが悪くなれば、売場から外されるかもしれません。それを回避するために、地ビールメーカーの営業さんが古い商品を買取ることもあるようです。これは、地ビール販売の難しさを物語っています。
価格帯の高い商品の売上数量を増やすことは大変難しいのですが、製造業にはロットという制約があります。売れ行きがよくないから売れる分+αだけ作るということはできません。最低でもある一定量は作らなければならないのです。その一定量のうち一部しか売れなければ、残りは不良在庫=廃棄対象になってしまい、大きなロスが発生してしまいます。
かと言って、最低ロット分を売りさばくために価格を下げればいいかというと、そうではありません。価格を下げれば、その地ビール銘柄=安物というレッテルが貼られ、ブランド価値が損なわれます。また、もともと価格の高い地ビールを値引きしても、大手メーカーのビールに比べて値引き後の価格は依然として高くなります。価格を下げれば、売上が大きく伸びるという商品ではないのです。
このように考えると、地ビールメーカーさんはとてつもない苦労をされていることが容易に想像が付きます。少なくとも、ある一定のブランド力が育つまでは、赤字は必至です。その赤字に耐えられる財務体力が求められるのです。そういう意味で、ビアフェス大阪に出展された地ビールメーカーさんは、この先行投資の時期をうまく乗り切きった成功企業と言っても、過言ではないでしょう。
私なりに、地ビールの売り方を考えてみました。単に、酒屋に置くだけでは、消費者にその価値がなかなか分かってもらえず、単に高いビールという認識しかされません。(つまり、販売に至らない。)ネットで販売する時は、その送料が問題になります。特に、クールで配達する必要があるので、送料は他の常温通販商品よりも高くなります。また、バーで取り扱うにしても、可処分所得が減少傾向の現在、なかなか頻繁にバーに行くことはできません。そこで、以下のような販売方法はいかがでしょうか。
- ギフトでの販売を強化する
- パーティーセットを開発・販売する
- 地区ごとに取扱店を開拓し、共同購入形式での販売を行う
- 地ビール愛好家を囲い込みする
- 地ビールの日を作って、イベントを行う
1・2は、地ビールユーザーの新規獲得を目的とします。また、自分の好きな地ビールを友人・家族に贈る、または一緒に飲むことで、地ビールの良さを語る機会を、地ビールユーザーに与えます。さらに、ギフトやパーティーの際は、価格よりも「気に入ってもらえるか」「場が盛り上がるか」が優先されるため、価格の高さというデメリットが薄れます。どのような料理と合うかなどを提案できれば、消費者の不安(つまり、「地ビールを贈って気に入ってもらえるか」「パーティーで気に入ってもらえるか」)を打ち消すことができるでしょう。
3については、共同購入で取扱店に商品の引渡しを行ってもらい、高い送料の問題をクリアします。また、共同購入という形を取ることで、不良在庫によるロスを最小化します。さらに、先払いという決済方式を取ることで、地ビールの販売が容易になります。共同購入によって、
4については、地ビール好きの交流を図り、地ビールを飲む機会を増やすことを目的とします。ソーシャルメディアであり、自分が飲んだ地ビールを記録する役割も果たします。同じ地ビールを飲んだユーザーと交流できれば、地ビールファンにとって楽しめるのではないでしょうか。ただ、各メーカーが独自で行うのではなく、地ビール協会のようなメーカーから独立した組織が行う必要があります。
5は、ある一定の需要を生み出すのが目的です。地ビールの日が決まれば、消費者が地ビールを飲むきっかけになります。販売店も、取り扱うきっかけになります。背中を押す役割というのでしょうか。地ビールの日に、Ustreamを使ってLive映像を流せば、場所が離れていても(たとえ家で一人で飲んでいたとしても)楽しめると思います。
一言で言えば、特殊な商品であるから、単に棚に並べれば売れるというわけにはいかないということです。いかに、ファンを増やすか、いかにファンと深く交流するか。ファンとのコミュニケーションを取ることが、とても重要な商品のように思えます。
☆今日のまとめ☆
地ビールは、賞味期間が短く、価格が高いため、とても売りづらい商品である。
これを売る秘訣は、いかにファンを増やし、いかにファンと深くコミュニケーションを図るかにあるように思える。
☆今日のこぼれ話☆
近くのスーパー(グルメシティ)を調べてみると、地ビールは輸入の白ビールしかありませんでした。
厳密に言えば、これは地ビールではないですね。
地ビールは身近な商品ではないんですよね。
どちらかというと、観光地で飲むお酒という意味合いが強いのかなぁ。
月に一度でも地ビールを飲めば、人生が豊かになるような気がします。
☆昨日の目標→その結果☆
◎朝6時に起きる→☓
◎毎日情報を発信する→◯
◎毎日仕事以外の人に話掛ける→◯
◎腕立て・腹筋30回→☓
◎自宅のある12階まで歩いて登る、または自転車を30分以上漕ぐ→◯
◎部屋や家の掃除をする→☓
“売りにくい地ビールの売り方とは?(ビアフェス大阪2011で考えたこと)” に対して1件のコメントがあります。