【485号】ハイネケン社の業績・地ビール市場からわかる消費トレンド

ハイネケン(from flickr

◎本日のニュース

1)見出し
Glass Half Empty for Europe’s Brewers

【出典】
http://goo.gl/GTqVL

2)要約
欧米の大手ビールメーカーは、稼ぎ時の7・

8月の売上数量が伸びず、
業績が悪化している。多くのメーカーは、今期前半の収益が目標未達で、
今期全体の純利益は横ばいにとどまると予測している。この原因は、政府の緊縮政策や失業率上昇への不安により、
消費者が財布の紐を固く締めようとしているからである。
その結果、節約志向が強まり、不要不急の消費を控えることになる。

グローバルに展開する大手ビールメーカーは、
欧米での売上悪化を補うために、新興国市場での成長が、
不可欠のものになりつつある。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
The Dutch brewer’s weak forecast highlights the growing
problems facing the brewing industry, as consumers
tighten their belts and cut back on discretionary
spending in the face of government austerity measures
and fears over rising unemployment.

4)キーとなる英文の和訳
このオランダのビールメーカーの弱気な予測は、
ビール業界が直面する問題が大きくなることを強調している。
その原因は、政府による緊縮政策や失業率の上昇への不安に直面し、
消費者が財布の紐を固く締め、不要不急の購入を減らしているからである。

5)気になる単語・表現
highlight       他動詞     ~に印を付ける明るい光を当てる、~を目立たせる、~を強調する
cut back on     自動詞句    ~を削減する
austerity       形容詞     簡素な;厳しい、緊縮の
discretionary   形容詞     自由の、任意の

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
欧米の大手ビール会社の収益悪化について、
記事には以下の企業が掲載されてある。
1.ハイネケン社(Heineken NV):今期前半の収益は目標未達。
今期全体の純利益は昨年並に下方修正。
理由は、消費低迷と天候不順で、7.8月の売上数量が失速。
2.カールスバーグ社(Carlsberg A/S):今期全体の収益が悪化の懸念あり。
理由は、ロシアでの需要低迷と欧州での天候不順。
3.ロイヤルユニブリュー社(Royal Unibrew A/S):今期収益を下方修正。
理由は、少低迷と天候不順。
4.アンハイザー・ブッシュ・インベブ社(Anheuser-Busch InBev NV):
今期後半の売上は低迷。その理由は、
アメリカの失業率が高止まりしているから。
5.SABミラー社(SABMiller PLC):新興国での売上増加のおかげで、
西欧・北米での売上悪化の影響は和らぐ。
大手ビールメーカーは、消費者の節約志向と天候不順に
悩まされていることがよくわかる。
それが原因で、どの企業も先進国での収益を悪化させ、
新興国で稼いだ利益をその穴埋めに使うことになる。
(ヨーロッパの今夏は冷夏のようです。
参考サイト http://goo.gl/lnCvl )

しかし、地ビールに目を向けてみると、その様相は一変する。
アメリカのビール協会によると、
中小の醸造所が造る地ビールは、
今年前半の売上金額が昨対比15%増、
数量では14%も増加している。
(ヨーロッパの地ビール市場については、資料が見つからず。
参考になる数字があれば、教えてください。)
大手ビールメーカーが苦戦するなかで、
地ビールが成長している状況を見ると、
大手メーカーの苦戦要因の一つを消費者の節約志向とするのは
軽率に思える。

大手メーカーの造る一般的なビールと地ビールとの違いは、
その希少性・味(品質)である。一般的なビールは、
大抵スーパーなどで手に入る。味は、
できるだけ多くの人に販売しようするために、
平凡なものとなる。

一方、地ビールは、中小企業の醸造所が造るために生産量は少なく、
特定のお店か直販で買うことしかできない。味は、
それぞれ特徴があり、個性的である。
その代わり、地ビールの価格は、一般のビールよりも割高になる。

それでも価格の高い地ビールを買うのは、
様々な味の発見が楽しいからであり、
自分が好きな醸造所を応援したいからである。
好きだから地ビールを買うのである。
たとえ給料が減ったとしても、
地ビール以外の消費を減らしてでも地ビールを飲み続ける人は多いだろう。
一方、一般的なビールを買う人は、好きだからというよりも、
リラックスするためや単に酔いたいために必要に迫られて購入することが多い。
だから、価格に敏感になりやすい。給料が減ったとなると、
より安い商品に切り替えたり、飲む量を減らしたりする。
つまり、一般的なビールは景気の影響を大きく受ける。

この一般的なビール・地ビールに対する消費行動の違いが、
大手ビールメーカー・地ビールメーカーの業績の差に
表れているのではないだろうか。
好きなものへの消費は節約対象にはならず、
一方で必要に迫られた消費は節約対象になる。
消費者の中での消費行動の二分化が、鮮明になってきたように思える。
また、商品好きが高じてそのメーカーを応援したいとまでも
思わせる企業と消費者の絆の強さも、見逃せない。
つながりの強いファンを持つことが、
景気悪化を乗り越え事業を継続させる大きな力になる。

参考 アメリカの2011年地ビール市場 http://goo.gl/y2brC

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《今回のヒントのまとめ》

1)欧米の大手ビールメーカーの業績が芳しくない。
その要因は、政府のよる緊縮政策と失業率の悪化懸念による節約志向、
そして天候不順である。

2)一方で、地ビール業界に目を転じると、
アメリカ市場では今年前半の売上数量・売上金額とも
昨対比で増加している。

3)この差は、大手ビールメーカーが造る
一般的なビールと地ビールの違いにある。
一般的なビールは、必要に迫られて購入するので、
価格に敏感になり、景気悪化による低価格商品にシフトしたり、
購入数量を減らしたりなりやすい。

4)一方、地ビールは、好きだから購入する商品である。
だから、景気が悪化しても、他の消費を減らしてでも
地ビール購入し続ける人が多い。景気の影響は小さい。

5)この現象から、消費者の中で消費行動の二分化が起こり、
その二分化が鮮明になっていることがわかる。
また、企業とそのファンとの強い絆が、
景気悪化を乗り越える大きな力となることも読み取れる。

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編集後記
こんばんは、高尾です。
日本地ビール協会からのメールによると、
日本の地ビール市場も成長しているようです。
ただ、日本では地ビールのプレゼンスが本当に小さい。
スーパーでは売っていないし、
大きなリカーショップでも扱いはかなり小さい。
お店で買おうと思えば、
百貨店のお酒売場に行くしかありません。
それでも、10種類もないんですよ。
通販で買うにしても、賞味期限の関係で大量に買えないし、
送料も大きなネック。
これらのハードルをクリアして、流通を工夫すれば、
地ビール市場はもっと大きくなるように思います。

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