日本酒業界全体が抱える課題と日本酒CMのギャップとは?
お鍋の季節になったのか、テレビで日本酒のCMを目にする機会が増えました。業界紙・醸界春秋からの情報では、11月8日の立冬から清酒大手11社が、鍋に絡めた日本酒のプロモーションを共同で行なっているようです。鍋と一緒に、熱燗を飲んでもらうことによって、日本酒の需要を増やす目的です。だから、CMが増えるのも納得なのですが、その内容に少し違和感を覚えています。
私が見た日本酒CMで紹介されているのは、紙パック入りの大容量商品。スーパーの売場では、特売価格が設定されていることが多く、価格が大きく表示されています。つまり、価格訴求商品。テレビCMでマスに訴えるのだから、最大多数の人が手に取りやすい商品を選んだのだと思います。価格訴求品だけあって、日本酒の品質を伝えるCM内容ではなく、日本酒と人(とあるメーカーは従業員は抜擢)を交わらせることで、親しみを与える内容になっています。
一方、日本酒業界全体では、
- 需要開発
- 価格競争からの脱却
という課題を抱えています。(こちらも、醸界春秋より。)
需要開発が必要なのは、日本酒生産数量=販売数量の減少トレンドが続いているからです。現状のままではマズイ。だから、何とか日本酒を飲む機会を増やして、日本酒販売数量をV字回復したい。ただ、飲む機会を増やすということは、そう簡単なことではありません。日本酒にそっぽを向いているどころか、日本酒が選択肢にさえ意識されない状態を何とか打破しなければなりません。その方法として、日本酒の新しい飲み方を提案することが必要かと思います。ウイスキーの販売数量をプラストレンドに変換させたハイボールの提案が、そのお手本になります。新しい飲み方提案のハードルが高ければ、新たな飲むシーンの提案も需要開発につながります。例えば、忘年会で飲んでいるシーン、パーティーでパスタやピザと一緒に飲んでいるシーンなど。
しかし、日本酒CMには、新しい飲み方・新しい飲むシーンの提案がありません。飲み方では、昔ながらの熱燗が積極的に提案されています。鍋と日本酒の共同プロモーションでも、鍋のお供に熱燗が提案されています。熱燗では、需要開発というよりも需要回復しか期待できません。昔熱燗を飲んでいたものの、今では日本酒以外のアルコールを嗜むようになった人に、熱燗へ回帰してもらうことには効果があるかもしれません。しかし、日本酒が選択肢にさえ上がらない消費者に、日本酒を飲んでもらうには、まったくもって力不足です。どうしても熱燗で飲んでもらいのならば、
熱燗の簡単な作り方
熱燗をパーティーや飲み会で楽しく飲んでいるシーン
などの映像を流す方が、効果的かと思います。
2番目の価格競争からの脱却ですが、これは紙パック商品からの脱却と言い換えても良いでしょう。醸界春秋によると、紙パックの低価格競争に加え、大手小売業者から要求される膨大な販促費負担が、日本酒メーカーに大きな負担になっているようです。この紙パック商品依存から脱却するために、少しずつですが720mlや350mlの小容量・差別化商品が売場に増えているように感じます。
ならば、日本酒CMでも、価格競争から脱却しうる商品が紹介されていいものの、実際にCMで宣伝されているのは紙パックタイプ。これでは、多額の宣伝費をかけてテレビCMを打ったものの、結果的に価格競争がより激化しかねません。もしかしたら、テレビCMを打てる大手企業は、紙パック商品を強力に宣伝することによって、より激しい価格競争に持ち込み、企業体力の乏しい中小企業の商品を、スーパーの棚から一掃しようと企んでいるのかもしれません。そのような戦略も理解できないわけではないですが、一掃する前に日本酒の需要がさらに細くなっている可能性があります。価格競争の脱却を本気で目指すのならば、テレビCMでは差別化した付加価値商品を宣伝するのが当然かと思います。
このように考えると、日本酒CMにギャップを感じてしまいます。酒蔵で試飲をすると、本当においしい日本酒を発見できます。このおいしい日本酒を知らず、テレビCMの影響によって、日本酒=紙パックの価格訴求品という認識になってしまわないかと、危惧します。
☆今日のまとめ☆
日本酒のテレビCMで宣伝される商品のほとんどは、紙パック入りの価格訴求品。
一方、日本酒業界の課題は、需要開発と価格競争からの脱却。
CMを見るかぎり、課題の脱却を目指しているとは思えず、ギャップを感じてしまう。
需要開発を目指すなら、新しい飲み方・新しい飲むシーンを提案が必要。
価格競争からの脱却を目指すなら、差別化された付加価値商品の提案が必要だろう。
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☆ 今日のこぼれ話☆
日本を飲む機会って、本当に少ないと感じます。
ビールみたいに、なんとなく(とりあえず)には飲めないのですね。
私の場合は、ほとんどが週末。
平日から飲めるビール系飲料と比較すると、飲むシーンはまだまだ未開発状態。
需要開発の余地は大きいのではないでしょうか。
☆昨日の目標→その結果☆
◎朝6時に起きる→◯
◎毎日情報を発信する→◯
◎毎日仕事以外の人に話掛ける→☓
◎腕立て・腹筋30回→◯
◎自宅のある12階まで歩いて登る、または自転車を30分以上漕ぐ→☓
◎部屋や家の掃除をする→☓