バドライトライムBy origamidon

 

◎本日のニュース

1)見出し
How to Build Buzz for Bud: More Alcohol, Lime-a-Rita
【出典】
http://goo.gl/8ivmS

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2)要約
アンハイザー・ブッシュ・インベブ社は、

出荷数量が3年連続減少し、
さらにシェアも低下した北米市場のテコ入れに力を注いでいる。まず、19の新製品を今年発売する。これは、インベブ社が
アンハイザー・ブッシュ社を買収して以来一番多い。
この新製品によって、北米で売上が伸びる地ビールを拡充するとともに、
若者に人気のカクテルから売上を奪おうとしている。また、
アルコール度数の高いライトビールを発売することで、
アルコール度数の高いハードリカーユーザーの取り込みを狙う。

卸企業との取り組みも強化する。競合他社の商品よりも
自社商品を優先して販売してくれる卸企業を、M&A面で支援する。

もちろん、アンハイザー・ブッシュ・インベブの主力商品である
バドライト・バドワイザーは、NFLとのスポンサー契約や
新しいTVCMなど広告宣伝を強化することによって、
売上減少への歯止めを掛ける。

アンハイザー・ブッシュ・インベブが北米市場テコ入れに力を入れる背景には、
アメリカの景気回復がある。景気回復によって、
アンハイザー・ブッシュがこれまでターゲットとしてきた
比較的収入が少ない若者男性に、その恩恵が伸びると期待する。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Luiz Edmond has a big assignment at the world’s largest brewer:
Get Americans to stop ditching his company’s beer.

4)キーとなる英文の和訳
ルイス・エドモンドは、世界最大のビールメーカーで
大きな宿題を抱えている。
それは、アメリカ人のアンハイザー・ブッシュ・インベブ離れを
止めることである。

5)気になる単語・表現
assignment名詞(仕事・任務などの)割り当て、仕事;宿題
ditch他動詞~を見捨てる、~との関係を断つ;~に溝の掘る;~を溝に落とす
stop Ving他動詞句(人などが)(進行中の行為)をやめる、中断する

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
記事で紹介されているアンハイザー・ブッシュ・インベブ社
(Anheuser-Busch InBev NV)の全米市場での業績は以下の通り。
(2008年と2011年の比較)

営業利益率:30%弱→40%超
出荷数量=販売数量:3年連続減少し、3年間で3.2%減少。
2000年以来初めて1億バレルを切る。
販売シェア:48.9%→46.9%

全米のビール市場全体は約2億バレル。これまでその半分の
シェアを握っていたが、この3年間で大きく減少。
ビールの小売価格がそれほど大きく上昇しているとは考えにくいので、
出荷数量の減少は売上金額の減少につながる。営業利益率が上昇しているのは、
広告宣伝費などコスト削減を行ったからであろう。北米市場で、
アンハイザー・ブッシュ・インベブはジリ貧なのは明らかである。
※2010年のデータでは、全米のビール市場全体が縮小している。
http://goo.gl/Ft2OK

この低迷から抜け出すために行ったのが、次の施策。
1.バドライ(Bud Light)・バドワイザー(Budweiser)のテコ入れ
2.アルコール度数の高いビールの発売
3.フレーバービールの強化
4.地ビールの強化
5.流通企業との関係強化

1について、バドライトとバドワイザーは、
全米市場でナンバーワン・ナンバースリー商品であり、
アンハイザー・ブッシュ・インベブの基幹商品。しかし、
バドワイザーが23年連続出荷数量が減少しているなど、
売上は大きく低迷している。基幹商品の売上低迷が、
アンハイザー・ブッシュ・インベブのシェア低下に
つながっているのだろう。だから、この2商品の優先度が一番高い。
この両商品は大衆向けの商品であるため、マスコミ広告を強化してテコ入れを行う。

2については、アルコール度数の高い商品によって、
スピリッツなどのハードリカーユーザー獲得を目指す。
今年1月に発売したバドライトプラチナ(Bud Light Platinum)は、
この代表例。アルコール度数は6%で、アルコール度数4.2%の
バドライトよりも高い。また、コバルトブルーのボトルで販売することで、
スピリッツの注文が多いバーでの露出を狙う。バーで話題に上ることにより、
小売店や飲食店での売上を伸ばそうという作戦である。
これは今のところ多いに成功しており、すぐに約1%の社を獲得。
欠品するほど売れ行きは好調に推移している。

3は、カクテルユーザーの獲得を目指したものである。
これに属する商品として、マルガリータに似た風味の
バドライトライム・ア・リタ(Bud Light Lime-a-Rita)や、
ミケロブブランドの紅茶・レモネード風味やサイダー風味のビールの発売
を予定している。

4については、市場が拡大する地ビール市場に注目した施策である。
地ビール市場は、2011年の製造数量が昨対比13%上昇し、
1000万バレルに初めて到達した。全米のビール市場全体は
約2億バレルなので、約5%のシェアを握るまでに成長している。
アンハイザー・ブッシュ・インベブは、この成長市場に目を付けた。
2月には、ショックトップ(Shock Top)ブランドの
ヴァイツェン風インディアペールエールを発売している。
インディアペールエール http://goo.gl/JIIEH

また、昨年買収した地ビールメーカー・グースアイランド
(Goose Island)の販促を強化する。グースアイランドは、
昨年20%以上も売上数量を伸ばしている。

最後の5について。これは製品に関することではなく、
販売に関する施策である。ミラークアーズ社(MillerCoors LCC)など
の競合他社よりもアンハイザー・ブッシュ・インベブを優先的に
販売する卸企業を支援するとしている。ビール流通は、
直取引ではなく卸を通じた取引を行うため、この施策を危惧する声も出ている。
締め付けが強くなると、流通企業のアンハイザー・ブッシュ・インベブ離れを
引き起こす恐れもある。

これらをまとめると次のようになる。
1.バドライト・バドワイザーのテコ入れ→大衆向け
2.アルコール度数の高いビールの発売→ハードリカーユーザー向け
3.フレーバービールの強化→カクテルユーザー向け
4.地ビールの強化→地ビールユーザー向け
5.優先販売する卸企業への支援→販売強化策、強すぎると逆効果
まさに全方位を担う強者の戦略である。あらゆるターゲットに向けた商品を開発し、
それぞれに力を入れる。さらに、卸企業との関係を密にして、
販売面も力を入れる。

しかし、逆に言うと、全方位を担うがゆえに、
すべてが力不足になり兼ねない。特に、大衆向けのバドライト・バドワイザーに、
その売上金額・数量を大きく依存していることは、
アンハイザー・ブッシュ・インベブの首を締めるかもしれない。
大きく依存しているがゆえに、より大きな経営資源を注入せざるをえないが、
一方で大衆向けのビール市場は縮小している。さらに、
アンハイザー・ブッシュ・インベブによる卸企業への締め付けが強くなると、
卸企業はアンハイザー・ブッシュ・インベブの商品を多く扱わざるを得なくなるが、
一方で消費者ニーズは多様化している。このギャップが、
アンハイザー・ブッシュ・インベブをより苦境に落と入れる恐れがある。

強者にこのような弱みがあることを考えると、
中小企業の持たない弱みは強みになり得る。数少ないブランドやその他経営資源を、
小さく絞ったターゲット市場にすべて投入することができるからである。
その結果、その小さな市場で弱者が強者に勝つことは可能だろう。

Anheuser Busch InBev NV http://www.anheuser-busch.com/s/
Bud Light Platinum http://www.budlightplatinum.com/gate.php
Shock Top http://www.shocktopbeer.com/s/
Bud Light Lime http://budlightlime.com/Home.aspx
Michelob http://www.michelob.com/Default.aspx
Goose Island http://www.gooseisland.com/

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《今回のヒントのまとめ》
1)アンハイザー・ブッシュ・インべブ社は、低迷する北米市場を
テコ入れするために、販売を強化する。その背景にはアメリカの景気回復があり、
ターゲットとする低収入の若者に、その恩恵が及ぶことを期待している。

2)その方法は、基幹商品で大衆向けのバドライト・バドワイザーのテコ入れ、
ハードリカーユーザーの獲得を目指すためのアルコール度数の高いビールの発売、
カクテルユーザー獲得を目指したフレーバービールの強化、
成長する地ビールの販売強化、そして卸企業との関係強化である。

3)あらゆるターゲット層を念頭に置いた強者の戦略であるが、
縮小する大衆向けビールのバドライト・バドワイザーに依存するがゆえに、
経営資源を無駄に使うことになりかねない。さらに、卸企業との関係強化は、
多様性を好む消費者ニーズに反することになりかねず、
アンハイザー・ブッシュ・インベブの首を締めるかもしれない。

4)これは強者の弱みとも言え、逆に考えると、
持たないことは弱者の強みになり得る。少ない経営資源を
絞ったターゲット市場にぶつければ、強者に勝つことも可能だろう。

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編集後記
多様性の進むアメリカビール市場ですが、
日本市場はどんどん画一化が進んでいるように思えます。
大手4社の力が強いゆえ、さらに大手はブランド集約を進めています。
地ビール人気も少しは大きくなっていますが、
まだマニアの域は出ていないのではないでしょうか。
地ビール人気が盛り上がらない一番大きな理由は、
身近なお店で売っていないことのように感じます。

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感謝・感謝・感謝です!