WBS喫茶店特集、若者が昔ながらの喫茶店を利用する条件とは?
By Kazen
昨日のWBSでは、コーヒーがメイン商材の喫茶店が特集されていました。喫茶店の数自体は大きく減少したのですが、現在残っている喫茶店は新規出店に意欲があるとか。その後押しを、キーコーヒーがFCという形でサポートしているらしいです。
この特集で気になったのが、既存喫茶店オーナーの話。50代ほどの女性オーナーで、現在喫茶店を1店営業。「ザ・喫茶店」と言うべき雰囲気の喫茶店です。その特徴は、
コーヒーの品質には力を入れている
常連に支えられている
スポーツ紙が豊富
でしょうか。お客さんは、ほとんどが顔見知り。それほど利用頻度の高いお客さんばかりということになります。このオーナーが、ショッピングセンター(SC)内での新規出店に意欲を出しているようです。この背景には、
顧客の高齢化
があるとのこと。つまり、既存顧客だけでは、今後減少こそすれ、増加はしません。そこで、新規顧客として若者を獲得するために、集客力のあるSC内の出店を考えているようです。SCのお店では、現状と同じ高品質のコーヒーを低価格で提供し、若者を集客。そして、既存店舗に誘導しようという目論見です。
この話を聞いて、大きな疑問が浮上してきました。それは、
そもそも若者に、昔ながらの喫茶店を利用したいというニーズがあるのか?
というもの。もう少し噛み砕いて言うと、
若者は、昔ながらの喫茶店で美味しいコーヒーを飲みたいのか?
ということになります。
そこで、若者が喫茶店・カフェに求めるものをピックアップしてみました。
【若者が喫茶店・カフェに求めるもの】
[1] 雰囲気
[2] 立地
[3] 品質
[4] 価格
1で集客しているのは、スタバやタリーズなど、シアトル系のおしゃれなカフェでしょう。駅から少し離れていても、好きな人なら歩いて行きます。
2で集客しているのは、ドトールやサンマルクカフェでしょうか。買い物疲れを癒す時は、近くのお店に入ってしまうのが普通です。
3で集客しているのは、スタバでしょうか。他にも、地元に一軒ぐらいコーヒーで有名な喫茶店・カフェがあるかもしれません。
4で集客しているのは、マクドナルド・ドトール・サンマルクカフェでしょう。ちょっと時間を潰したいけど、できるだけ節約したいなら、価格に敏感になるはずです。
これら4つのうち、一つでも該当すれば存続でき、二つ以上該当すれば人気店ということでしょうか。二つ(駅前・SC内店なら三つ)該当するスタバの既存店売上高が、2012年の12ヶ月間、ほぼすべて前年を上回っているのには、納得です。
ただし、スタバが人気なのは、高品質のコーヒーを提供しているからではなく、雰囲気がいいという条件を満たしているからに他なりません。若者における上記4つのウェートを考えると、
雰囲気>>>立地>>品質・価格
になるでしょうか。雰囲気・立地がいいからこそ、スタバの業績は好調なのであり、品質は追加条件に過ぎません。
そう考えると、WBSで取り上げられていた昔ながらの喫茶店が若者を集客するのは、かなり難しいのではないでしょうか。というのも、
昔ながらの喫茶店は常連さん中心なので入りづらい
昔ながらの喫茶店は値段がわからないので入りづらい
昔ながらの喫茶店は中の雰囲気がわかりにくいので入りづらい
という雰囲気の課題を抱えているからです。いくら、高品質のコーヒーを提供しても、雰囲気の条件をクリアしなければ、若者は利用しないのではないでしょうか。
既存店の昔ながらの喫茶店は、若者の集客を目指すのではなく、いっそのこと高齢者の新規顧客獲得・常連さんの来店頻度の向上を目指した方がいいかと思います。
☆ 今日のまとめ☆
若者が喫茶店・カフェに求めるものは、「雰囲気」「立地」「品質」「価格」ではないか。
そのうち、雰囲気の条件をクリアしなければ、他がいくらよくても人気店にはなれない。
よって、雰囲気で劣る昔ながらの喫茶店は、若者ではなく高齢者をターゲットにして、顧客数・来店頻度の最大化を目指す方がいいだろう。
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☆ 今日のこぼれ話☆
WBSを見ると、今年は異業種間でのコーヒー戦争が激化しそうですね。
ただ、それぞれ利用目的・ニーズは異なるようです。
私が一番好きなのは、自分で入れるレギュラーコーヒーですね。
ちなみに、京都の小川珈琲さんを愛用しています。
☆サムシンググッド創業者 坂本桂一さんの言葉☆
「だから、OSのような世界では、無理をしてでも最初にシェア、すなわち陣地を取ってしまうことが重要だし、陣地さえ押さえてしまえば翌年以降は安定した売上げが見込める。」
(『頭の良い人が儲からない理由』より)
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