白クマラーメンの売り方を工夫した成城石井のスゴさ
By snarkattack
JR神戸駅の商業施設プリコ(PLiCO)には、成城石井が入っています。便利なのでこの成城石井にはよく足を踏み入れるのですが、そこで思わぬ発見がありました。それは、袋入りのラーメンが思わぬ場所で販売されていたからです。
ズバリ、その売場とは、
チルドのラーメン売場
です。そう、冷蔵庫のような低温管理されている場所ですね。生ラーメンやゆでラーメンが置かれている棚です。ここに常温保存の袋入りラーメンがあったのです。
成城石井が袋入りラーメンを生麺コーナーに置く理由は、簡単です。
その方が売れると思ったから
でしょう。成城石井が描いた消費行動は、恐らく次のようなもののはず。
ラーメンを食べたい→生麺コーナーに行く→そこで美味しそうなものを選ぶ
この消費行動に、袋入りラーメン売場はありません。消費者の中で「ラーメン=生麺」という固定観念があることを考えて、常温保存の袋入りラーメンをチルドの生麺コーナーに置くという、通常ではありえない販売方法を採ったのだと思います。
また、次のような理由もあるかもしれません。
袋入り麺の価格が高く普通では売れないから
生麺コーナーで販売されていたのは、
くまもんラーメン
など、キャラクターという付加価値の付いた袋入り麺。確か、150円~200円ぐらいはしたかと思います。一方、通常袋入り麺(サッポロ一番など)と言えば、1袋80円・5袋パック300円ほど。通常の商品に比べると、べらぼうに高いのです。だから、普通の売り方では売れない、と成城石井は考えたのかもしれません。そこで、袋入り麺よりも単価の高い生麺コーナーで売れば、割高感が薄れます。
競合商品を、単価の低い袋入り麺ではなく単価の高い生麺にする
ことで、より売りやすくなるという考えです。
もちろん、
店舗面積が小さいので袋入り麺売場を確保できないから
という要因も、考えられます。しかし、それ以上に、「ラーメンが食べたい→生麺売場に行く」という消費行動に目を付けたことは、売上に大きなインパクトを及ぼすことは間違いありません。
この成城石井の売り方は、単にモノを置く売り方とは対極のもの。消費行動を推測した、より売れる確率の高い方法です。こんなことを考えていたら、このような記事を見つけました。
サミットが、加工済みの肉と調味料を同じコーナーに並べる新たな売り方に取り組んでいる。肉は必要な量や大きさに加工してパック詰めしており、調理の手間 を省ける。こうした新コーナーを導入した2月末以降の売れ行きは好調。買い上げ点数増にもつながるため、今後も新店や改装店に取り入れる。(2013年4月17日付 日経MJ)
日清食品ホールディングスは即席カップごはんの営業を強化する。即席麺と兼務だった営業体制を改め、専門部隊を立ち上げた。スーパーやコンビニエンススト アの売り場作りなどを支援するほか、ほとんど実施していなかった試食販売も年数百回実施する。3月のリニューアルでは調理方法を簡単にしたうえで値下げも 実施しており、中核商品への育成に向けて本腰を入れる。(同日付 日経MJ)
前者は、同時に購入されやすい商品を一緒に販売した事例。そして、後者は、即席カップごはんをまとめた売場を提案する事例です。いずれも、より売れる確率の高い売場を設置・提案しており、成城石井の袋入り麺の売り方と考え方は同じ。
大部分のスーパーは、カテゴリー毎の売場で構成されています。しかし、消費者は、カテゴリー毎に商品を購入するわけではありません。だからこそ、より目立つ特売売場の商品が売れる(しか売れない)のです。より消費行動を考えた売場作り・商品組み合わせをしなければ、忙しい消費者のニーズはつかめないのです。その結果、価格に頼った売り方に固執することになります。
☆今日のまとめ☆
成城石井が白クマラーメンを生麺コーナーで売ったのは、ラーメン購入希望者が生麺コーナーに行くことを予測したものではないか。
また、単価の高い白クマラーメンを売るには、同じく単価の高い生麺を競合に設定する必要があったからではないか。
消費行動を考えた売場にしなければ、価格に頼った売り方からは脱却できないだろう。
マーケティング・ビジネスのヒントに関するブログも書いています
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
だいぶ暑くなりましたよね。
そろそろ、ヒートテックも卒業しようと思います。
まだ着てたの?という質問はしないでくださいね。
☆ 気になる商品☆
こちらの評価を見ると、ほとんどの人が高い点数を付けています。
ただ、ワインは好みがありますからねぇ。
どうなんでしょうか。
今度試してみようかと思います。