トリドール四半期決算が教えてくれる、チェーンビジネスの限界
トリドールの第二四半期決算が発表されました。業績好調な企業との認識を持っていたのですが、その結果を見てびっくり。利益項目が大きく減少しているのです。
詳しくは決算短信(PDF)を見ればわかるのですが、大幅減益を招いた犯人は販管費の増加。売上総利益率は向上しているので、小麦等の原材料コストの増加にはうまく対処しているようです。(客単価が増加しているので、粗利と単価の高い商品の販売が好調なのでしょう。)
販管費の増加とは何か?これは、ブックオフ同様、店舗増による人件費などのコスト増加です。既存店が振るわず、新店で売上を稼いだために、販管費が大幅に増えたというわけです。
さらに、一人あたりの人件費(月給や時給など)の増加も、トリドール大幅減益の大きな要因でしょう。
外食各社がパートやアルバイトの採用基準を相次ぎ緩めている。景気回復も手伝って外食の平均時給は上がっているが、それでも人手が確保できないからだ。主 婦が働きやすいようにカフェチェーンが短時間シフトや急な欠勤を認めたり、吉野家が年齢制限を下げて高校生を積極的に採用したりしている。大量出店を続け るコンビニエンスストアと働き手の確保競争が激しくなっている。(2013年10月26日付 日経新聞朝刊)
時給を上げても人材を確保できないので、人件費だけの増加に留まりません。やる気仕組みなども必要になり、さらにコストは増幅します。つまり、店舗増・人材関連費増により、販管費が大幅に増加し、大幅減益に陥ったのです。
従来のチェーンストア理論では、成功したモデルを多店舗展開することで、収益は大きく拡大しました。しかし今では、競争激化や人口減少などにより、店舗を増やして売上を伸ばすことは出来ても、利益はなかなか伸びないのです。粉モンという儲かりやすい商材を販売するトリドールの大幅減益は、多店舗展開の限界を物語っているように思えます。そろそろ、飲食店の店舗数も、頭打ちになるかもしれません。
☆今日のまとめ☆
トリドールの大幅減益の要因は、店舗増と人材関連費の増加による販管費の増加。
店舗を増やしても、売上は伸びるが利益はなかなか伸びないことがわかる。
多店舗展開を是とするチェーンビジネスの限界が見えてきた。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
丸亀製麺で最近思うのは、都心店舗が増えたということ。
高い家賃は掛かりますが、値段は同じ。
都心型店舗の利益率は相当低いと予想しています。