アサヒビールのビアマジ!21という新しい販促手法
by courtesy of Mike Lee
日経新聞に、アサヒビールのビール販促に関する記事が掲載されていました。
アサヒビールとリクルートライフスタイルはインターネットを活用し実店舗に消費者を送客する「オンラ イン・ツー・オフライン(O2O)」で連携する。来年2月から21歳の男女を対象に、事前登録すると外食店でビールが1杯無料になる企画を展開。若者の ビール離れが進む中、酒場の魅力を伝えるとともに利用データなどを分析、販促に生かす。(2013年12月17日付 日経新聞朝刊)
一読すると、特別珍しいとも思わないO2O販促であり、ローソンなどがよくやっているパターンです。ネット上で割引・無料クーポンを配り、店舗に集客するというもの。しかし、よく読むと、今回のO2O販促は、メーカーのアサヒビールが主体となって行っており、販売する小売店(この場合は飲食店)は店舗を提供するという形を取っています。
【ビアマジ!21の特殊性1】
[従来のO2O販促]小売企業が実施し、集客効果を狙う
[ビアマジ!21]メーカーが実施し、販売増加・データ収集を狙う
実は、メーカーも、無料クーポンをネット上で配布し、コンビニを通じて商品を無償提供することがあります。その目的は、新商品の販促。一方、ビアマジ!21は、「新商品の販促」という言葉が記事に登場していないことから、新商品の販促に利用するわけではありません。ビアマジ!21の目的は、そのネーミングからわかるように、21歳の若者の獲得にあるのです。
【ビアマジ!21の特殊性2】
[従来のメーカー主導クーポン販促の目的]新商品の試飲・認知度アップによる販売増
[ビアマジ!21の目的]ビール離れが進む21歳の若者獲得による販売増
つまり、ビールユーザーの少ない21歳の若者にビールを無償提供することにより、新規顧客獲得を狙っているのです。従来のビールユーザーだけでは、さらなる需要を開拓できないと判断したのでしょう。
ただ、ここでも疑問が生じます。というのは、従来の新製品販促で提携してきたコンビニをなぜ使わないのか、という点です。この理由は、恐らく、
たとえ無料で提供しても、21歳の非ビールユーザーがコンビニでビールを受け取らないと思われるから
ではないでしょうか。コンビニでビールを購入する層の主体は30代以上で、20代はほとんど購入していない証なのかもしれません。また、20代の消費者のうち、アサヒがこれまで配布してきた無料クーポンを利用した人がほとんどいなかったのかもしれません。それほど、若者のビール離れが深刻化しているということになります。
それにしても、無償提供するとは太っ腹である一方、ビールの価値が逆に損なわれないか、懸念が募ります。どれだけの21歳がこの企画でビールを飲むのか、そしてその後アサヒビールの商品を購入するのか、とても気になります。
☆今日のまとめ☆
ビアマジ!21は、従来のO2O販促とは違い、メーカー主導で行っており、また新商品の販促ではなく21歳の若者という新規顧客の獲得を目的に行われている。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
最近寒いので、ビールよりも日本酒が恋しくなります。
年かな。