成城石井・モスバーガーが飲食・小売に参入できる理由とは?
前回まで、成城石井が飲食業に、モスバーガーが小売業に参入する事例を紹介しました。この両社の共通点を見い出せば、相互に参入できる理由がわかります。その共通点とは、
企業イメージが良い
ということです。
成城石井は、食品小売業に分類されながら、高級という点で他の大手スーパーと差別化しています。特別な時(ハレ)の食事に利用する食材を購入する場所、という使い方をする人が多いのではないでしょうか。一方のモスバーガーは、ファストフード業に分類されながら、手作り・ヘルシーな商品を提供することで、他のファストフードチェーンと差別化しています。ジャンク・低価格というイメージのマクドナルドとは、好対照な存在です。両社とも、企業イメージが良いので、飲食・小売に参入しても、そのイメージを武器に、既存企業と差別化できるのです。
企業イメージの良さを、もう少し詳しく分類すれば、
安心安全なイメージ
と言えるかもしれません。飲食業は、そのメニューに使う原材料に何を使っているのか、明示する必要はありません。例えば、唐揚げというメニューにしても、どこの鶏肉を使っているのか、来店客に示す必要はないのです。その一方、スーパーなどのセルフ型小売店では、対面販売ができないために、品質表示に厳しいルールが課されています。よって、セルフ型小売の成城石井は、小売で鍛えられた厳しいルールを、飲食店で提供するメニューにも適応していることが、利用者から容易に推測できます。この厳しいルールが安心安全を担保するために、「成城石井の飲食店=他の飲食店よりも安全安心」というイメージを、作ることができます。
モスバーガーは、農業に進出するなど、利用する原材料の安心安全を全面に押出すことで、単価を高くすることに成功しました。だから、マクドナルドが仕掛けた価格競争に巻き込まれずに、今まで生き延びて来られたのです。今度は、その安心安全のイメージを武器に、依然差別化に乏しい野菜小売に参入しようとするのです。
こう考えると、企業イメージの良さ、特に食関連の場合、安心安全のイメージは、他業態に参入できる強い武器と考えることができます。イメージを良くするための広報・PRは、企業競争力を高めるための手段になるのではないでしょうか。
☆今日のまとめ☆
成城石井・モスバーガーが飲食業・小売業に参入するのは、そのイメージの良さ、安心安全なイメージを活用できるからである。
企業イメージは、競争力の源泉になりうる。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
そういえば、モスバーガーはここ数年利用していませんね。
なかなか行く機会がないのが、その理由。