食品小売店と飲食店の相互市場侵食その2
前回に引き続き、WBSで取り上げられた食品小売店と飲食店の相互参入について。今回は、飲食業の小売への参入について考えたいと思います。
テレビで取り上げられたのは、モスバーガー。モスバーガーがハンバーガーに利用するトマトを、店舗で小売するとのこと。小売を実施するきっかけは、顧客からの要望があったからだそうです。では、なぜ消費者はモスのトマトを欲したのでしょうか。その理由は、
スーパーのトマトよりもモスのトマトの方が信用できるから
ではないでしょうか。その信用とは、美味しさと安全面。モスで食べたことのあるトマトだから、味はすでに知っており、満足しています。また、モスの企業姿勢・企業イメージは、ファストフードチェーンの中では比較的安心安全面に力を注いでいるというもの。これらがモスへの信頼感となり、モスのトマトを買いたいと思わせたのです。
モスにとっては、トマトを店舗で販売することにより、次のようなメリットを享受できます。
【モスがトマトを店舗販売することによるメリット】
[1]来店頻度が増える
[2]内食でもモスとの関わりが生まれ、ロイヤリティが高まる
集客と宣伝広告の効果を期待できるのです。また、モスが店舗で使うトマトは、モスバーガーの形・大きさに合う必要があるため、規格外のトマトが発生しているようです。この規格外のトマトを小売するので、モスにとっては新たに専用農場を作る必要がありません。小売を実施するにあたり、追加コストはほとんど発生しないので、参入ハードルは低いのです。
さらに、店舗での販売が好調なので、今後はスーパーへの卸を視野に入れているようです。卸を行うことで、従来自社で行っていた集客を他社に委ねられるので、より安定した収益を確保することができます。また、ブランド浸透を狙った広告を自社店舗外で行えるという効果も期待できます。
トマトがどの程度売れるかはわかりませんが、上手く行けば、モスは新たな収益源を得ることができるのです。客数減少に悩む飲食業界で、モスに倣う企業が増えるかもしれません。
☆今日のまとめ☆
モスはハンバーガーに使うトマトを店舗内で小売することにより、来店頻度・ロイヤリティを高めることができる。
また、今後スーパーなどへの卸に発展すれば、安定した新たな収益源を確保できることになる。
モスの施策が成功すれば、客数減に悩む飲食業界で、モスに倣う企業が増えるのではないか。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
カフェ業界を見れば、店舗内で小売をしている企業は、特に珍しくないですね。
ドトールしかり、スタバしかり。
ファストフードチェーンで自社ブランド食品を店舗販売する企業も、増えるかもしません。