モチクリームが直売から卸売へのシフトを進める理由とは?
Photo:Mochi Cream By thewrongglass
先日、阪急の神戸三宮駅前を通り掛かった時、これまであった小売店が閉店していることに気づきました。そのお店は、モチクリーム。神戸発の和スイーツの小売店です。横断歩道の近くに店舗があるので、集客具合・販売具合をよく見ていたのですが、通り過ぎる人が多い立地のためか、販売には苦戦していたように感じました。閉店したのは、恐らく損益分岐点を上回らず、赤字が常態化したからではないでしょうか。
そのモチクリームですが、興味深い記事が日経新聞に掲載されていました。
大福餅に生クリームなどを加えたスイーツ「モチクリーム」が主力の洋菓子メーカー、モチクリームジャパン(神戸市)は販路拡大に取り組む。スーパーや外食チェーン、病院を中心に開拓する。季節の素材を使った商品や専用商品を供給するなどして、導入を働き掛ける。スーパー向けは売上高の3割強にすることを目指す。(2014年5月23日付 日経新聞朝刊地方面)
これまで直営店舗での販売がメインでしたが、卸売に力を入れるようです。そこで、モチクリームの公式サイトを見たところ、驚くべき事実を発見しました。それは、直売事業の縮小です。縮小というよりも、撤退に近いものがあります。というのも、以前は60もあった国内直営店舗(PDFの会社概要より)が、約10店舗に削減されているからです。三宮駅前の店舗閉鎖も、赤字というよりも直営店の縮小の一貫だったのかもしれません。
では、なぜ直売から卸売にシフトしようとしているのか。その理由について、日経新聞で述べられていませんが、なんとなく想像が付きます。恐らく、モチクリームという商材の特性によるものではないでしょうか。つまり、そう購入頻度の高い商材ではないために、商圏という制約のある直営店での販売は成り立ちにくいのだと思います。客数の増加がそう見込めないということです。そこで、客数を増やすために、卸売にシフトしようとしているのではないでしょうか。
また、モチクリームジャパンの会社概要を見ると、群馬に製造工場を持っていることがわかります。自社工場をフル稼働させることで、卸売による販売増にも十分対応できる点も、卸売へのシフトを後押ししたのでしょう。
カルビー・グリコなど、食品メーカーが直営店に進出する例が増えています。一方のモチクリームは、直営店から食品メーカーにシフトする逆のパターン。大阪王将など、外食チェーンで築いたブランドを活用して、食品製造業に進出するのとも、少し違います。きっと、残した直営店をブランド構築のために活用しつつ、価格競争を避けながら卸売へのシフトを進めていくのでしょう。
☆ 今日のまとめ☆
モチクリームが直売から卸売にシフトするのは、購入頻度の低い商材だからではないか。
商圏に縛られる直営店での販売よりも卸売の方が、客数を増やしやすい。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
モチクリームで思い出しましたが、阪急うめだ本店デパ地下のフルーツ大福のお店は、いつも行列です。
結構高いのですが、かなり売れています。