ネスレが家具を無償提供してまでアンバサダー事業を拡大したい理由とは?
日経ビジネスオンラインに、ネスレのアンバサダー事業の新展開についての記事が掲載されていました。
「業界の垣根を越えていかないと、新しい消費者価値を生み出せない」
ネスレ日本の高岡浩三社長は、そう強調した。9月4日、同社とオフィス家具大手イトーキとの共同記者会見でのことだ。この日ネスレは、オフィスで のコーヒーの立ち飲みに適した専用テーブル「Cafe NESCAFE Office(カフェ ネスカフェ オフィス)」をイトーキと共同開発したと発表した。(2014年9月11日付 日経ビジネスオンライン)
新展開とは、ネスレがアンバサダー会員にコーヒーマシンだけではなく家具まで無償提供するということ。ネスレは、アンバサダー事業では(も)本当に太っ腹です。
ネスレがアンバサダー事業にお金をつぎ込むのは、儲かるからに他なりません。
【ネスレのアンバサダー事業が儲かる理由】
- インスタントコーヒーは原価が低いから(原材料コストが低いから)
- ネスレブランドは知名度抜群だから(広告宣伝費が低いから)
- ネスプレッソなど直販システムを既に持つから(システム構築コストが低いから)
要は、アンバサダー事業は掛かるコストが低いから、儲かるのです。当たり前ですが、上記3点を考えると、なかなかできそうにないですね。日清食品なら、ありえるか。
しかし、ネスレがアンバサダー事業に力を入れるのは、儲かるからだけではありません。日経ビジネスオンラインの記事にも言及されているのですが、
直販売上拡大により、小売店への依存度を下げたいから
なのです。ネスレという世界的なブランドを持つ企業と言えども、小売店で売場を確保するには、結構なコストが掛かります。しかも、そのコストが上昇傾向にあるのです。もちろん、その背景には競争激化があります。競合ブランドが似た商品を投入すれば、商品力だけで売場を確保できなくなります。
また、
コーヒー市場への新規参入が増えているから
というのも、直販を拡大する要因でしょう。その代表格は、コンビニ。コンビニコーヒーの登場により、缶コーヒーのみならずコンビニで売っているインスタントコーヒーの売上も確実に落ちていると思われます。店舗が増えるカフェも然り。アンバサダー事業で、小売店経由では失いかねないオフィスでのコーヒー需要を獲得しようとしているのです。
個人的な意見ですが、ネスレには、更なる野望があるではないでしょうか。その野望とは、
アンバサダー事業を通じて、コーヒー以外のネスレ商品も販売する
ということです。ここに家具が大きく寄与します。ネスレが無償提供する家具には、ミルクや砂糖を置くスペースがあります。ここに、キットカットも置けるはず。細かい変更は必要ですが、これでネスレ版オフィスグリコの完成です。アンバサダー事業を、ネスレ商品の販路として拡大させることは、十分可能です。
ここまで出来なくとも、アンバサダー事業を自社製品の告知に使えるのは、間違いありません。アンバサダーを通じてネスレとの関わりが増えれば、小売店でネスレ商品をカゴに入れる確率は上がることでしょう。
そういえば、日経ビジネスの特集記事で、ネスレがキットカットのテレビCMをやめたことが伝えられていました。受験商品として売り出す時のことなので、今では復活しているかもしれません。もし、テレビCMを含めてマス広告を減らしているなら、アンバサダー事業は新たな広告手段として活用しているのかもしれませんね。
☆今日のまとめ☆
ネスレは、アンバサダー事業で家具の無償提供を始めることにより、コーヒー以外の自社製品の販路としてアンバサダー事業を拡大しようとしているのではないか。
少なくともアンバサダー事業は、ブランド接触機会を増やし、ネスレ商品を手に取る確率を高めることに寄与しているのは間違いないだろう。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
それにしても、アンバサダー事業は本当に面白いと思いますよ。
こういうビジネスチャンスは、結構ゴロゴロしているのではないでしょうか。