よなよなエールのヤッホーブルーイングと提携したキリンの凄さとしたたかさ(その1)
大手ビールメーカーで一人負け状態のキリンが、驚くことをしてくれました。なんと、地ビール大手のヤッホーブルーイングと提携。大手ビールメーカーが地ビールメーカー提携するなんて、全く予想外です。しかも、規模で優るキリンの方が、ヤッホーに販売方法などの教えを請うというのは、大企業のメンツを捨ててまでも、今の低迷から抜け出したいという叫びにも感じます。
【キリンとヤッホーの提携記事】
キリンビールはクラフトビール(地ビール)最大手のヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)と資本業務提携する。10月にヤッホーの株式の3割超を取得し、第2位株主となり、商品の製造や開発で連携する。ビール大手とクラフトビールメーカーの本格提携は初めて。個性的な味わいのクラフトビールは人気が高まっており、商品戦略やマーケティングの強化に成長企業の知見を取り込む。(2014年9月24日付 日経新聞朝刊)
もちろん、他のメーカーがこれまで提携に動かなかったのには、理由があります。それは、
自社製品とカニバリするから
でしょう。地ビールは風味が特徴的なビールですが、ビールに他なりません。店頭では、大手ビールメーカーのビールと競合するのです。地ビールを扱う小売店が少なければ、販路の違いで競合しませんが、ここまで地ビールの露出が大きくなれば、大手ビールメーカーも競合として意識せざるを得ません。その競争相手と提携するのですから、カニバリを恐れた反対意見がキリン社内で相当あったと想像できます。
それでも提携に踏み切れたのは、
より地ビールと競合するプレミアムビールをキリンが持っていなかったから
かもしれません。もし、サントリーならば、主力のプレモルの販売減を恐れて、競合する地ビール大手企業と提携なんてできないでしょう。エビスが主力のサッポロも然り。アサヒに至っては、これから満を持し発売したドライプレミアムの販売数量を増やさなければならないので、逆に地ビール市場侵食を狙っているかもしれません。ヤッホーブルーイングとの提携は、プレミアムビールを持たないキリンだからこそできたのかもしれません。
もう少し深く考えると、地ビール企業に出資したキリンのしたたかさが見えてきます。これは、次回で。
☆今日のまとめ☆
キリンが地ビール企業と提携できたのは、競合しかねないプレミアムビールを持たないからではないか。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
よなよなエールは、もう有名ブランドですね。
地ビールを販売する小売店では、たいていありますから。
「地ビール界のキリン・ラガービール(スーパードライ以前)」と言えるかもしれません。