大手ビールメーカーが行う絶対当たるキャンペーンと客数・客単価の関係
先日、スーパーに設置してあるキャンペーン応募はがきを見ていると、スーパードライプレミアムで絶対当たるキャンペーンが行われていることを発見しました。キャンペーン応募はがきはたいていのスーパーで設置してありますが、あまり取る人を見たことがありません。今後最適化の望まれる領域でしょうか。
大手ビールメーカーが実施する絶対当たるキャンペーンは、特に珍しいわけではありません。プレミアムビールのみならず、レギュラービールや第三のビールでも実施されていたと思います。もしかしたら、抽選で当たるタイプから絶対当たるタイプにシフトしているのかもしれません。そこで、なぜ抽選から絶対当たるにシフトしているのかについて、考えてみました。
その理由は、
常連客・リピーターを増やさざるを得ないから
ではないでしょうか。増やしたいからというよりも、増やさないと売上が伸びないというのが、実情なのかもしれません。売上を客数・客単価に分けると、その理由がよくわかります。
売上=客数X客単価=顧客数X購入回数X客単価
ビール・第三のビールなどのビール系飲料は、激しい安売りがほぼ無くなりました。特売で値引きされるにしても、200円が190円ぐらいの差であり、大抵最大で10円差です。この程度の小さな値下げで、そう売上が伸びるとは思われません。恐らく、売り場確保のために、値引き販売をしぶしぶしているのでしょう。一方で、逆に値段を高く設定することも、ほとんどありません。つまり、客単価引き上げが難しい商材なのです。(商品ごとの話。企業全体で見れば、プレミアムビールの比率を高めることで、単価引き上げは可能。)
ならば、売上を伸ばすためには、客数を引き上げるしかありません。客数を顧客数X購入回数に因数分解すると、いずれかを引き上げることで、客数を増やすことは可能となります。
人口減少・ビール離れが進む日本では、他社・他ブランドから顧客を獲得でもしない限り、なかなか顧客数を増やせません。嗜好品のビールは、ブランドの好みが分かれやすい商材なので、顧客が他ブランドにシフトすることは、なかなか難しいでしょう。そこで、購入回数を増やすことにより、客数増を目指すことになります。
購入回数増に、絶対当たるキャンペーンが寄与します。このキャンペーンに応募するには、指定された枚数のシールを集めなければなりません。つまり、指定された本数を飲む必要があるのです。このキャンペーンに応募する人は、購入回数を増やさざるを得なくなり、自然に購入回数が増えることになります。
飲食店で考えると、この絶対当たるキャンペーンは、常連客にサービスすることになります。常連になるメリットは、他の顧客よりも優遇されること。大手ビールメーカーは、絶対当たるキャンペーンを実施することにより、常連客・リピーターを優遇しているのです。
☆今日のまとめ☆
大手ビールメーカーが絶対当たるキャンペーンを実施するのは、常連客を優遇して購入回数を増やすことにより、客数増・売上増を目指しているから。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
最近の経済指標や業界データを見ると、食のビジネスチャンスは、セルフサービス小売よりもフルサービス飲食にあるように感じてしまいます。
後者の方が面倒なので、中小零細にはチャンスではありますね。