大丸松坂屋のおせちからわかる、百貨店の販売戦略とは?
by courtesy of Barron Fujimoto
※大丸松坂屋のおせちとは関係ありません。
早くもおせち商戦が始まっているようです。
関西の百貨店でおせち商戦が始まった。大丸梅田店は24日、カード会員から150組300人を招いて試食会を開いた。全国の有名店など25店舗が出品して、店内にはそれぞれ趣向を凝らした料理が並んだ=写真。百貨店では宝飾品などの高額品が好調なこともあり、販売増に期待がかかっている。(2013年9月25日付 日経新聞朝刊)
この記事で興味深いのは、今年のおせち平均単価について。アベノミクス効果を謳歌している百貨店だけあって、平均単価は上がると予想していました。しかし、実際には昨年並の約2万円。これは意外です。
平均単価が上昇すると予想したのは、アベノミクス効果だけではありません。食材コストやバイトなどの人件費が上昇しているので、コスト増分を転嫁しても何ら不思議ではないからです。では、なぜ昨年並の平均単価に設定したのか。
その理由として考えられるのは、
食料品への支出は依然渋いから
ということです。実際、百貨店業界全体でも、食料品の売上の伸びは小さくなっています。
しかし、記事を読むと、平均単価が昨年並みになったのは、別の理由があることがわかります。
大丸松坂屋ではおせち料理の単価を例年同様の平均2万円と想定。3世代や少人数向けなど幅広い世代向けに商品数を増やし、前期比5%増の売り上げを見込む。(同)
つまり、昨年まで無かった品揃えを加えることで、単価を昨年並みにしたのです。例えば、昨年のおせち商品が、
A商品 3万円
B商品 2万円
C商品 1万円
とします。今年のラインナップが以下のようになっても、平均単価は2万円のままです。
A商品3万6千円
B商品 2万4千円
C商品 1万2千円
D商品 8千円
昨年と同様の商品は2割値上げし、新たに少人数向けの8千円のセットを導入したというわけです。
大丸松坂屋は、今年のおせち売上で昨年比5%増を目指すとしています。一人の顧客が複数のおせちを買うとは考えにくく、さらに平均単価が昨年並みであることを考えると、客数の増加を目指していることがわかります。
飲食店の多くが、客単価の引き上げで売上拡大を目指すのに対し、大丸松坂屋は客数増で売上拡大を目指しているのです。かなり強気の姿勢であることがわかります。
☆今日のまとめ☆
大丸松坂屋は、おせちの平均単価を昨年並みに据え、客数増で売上拡大を目指している。
客単価引き上げで売上増加を目指す飲食店の多くとは、対照的である。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
おせちも、高齢化の影響があるのでしょう。
量が減っているかもしれないですね。