ユニクロが接客サービスに力を入れる理由
ユニクロが接客のプロを店舗に配置するようです。
ファーストリテイリング傘下でカジュアル衣料品店のユニクロは、接客などのサービス向上を担う専門職を新設した。店頭で来店客に新商品の特徴を詳しく説明したり、周囲の販売員に接客の仕方などを教えたりする。まず3月に都内の店舗などに9人を配置した。(2015年3月21日付 日経新聞朝刊)
「えっ、今までいなかったの?」と一瞬思いましたが、今回配置するのはプロ。これまではプロレベルの店員はいなかったということでしょうか。というのではなく、記事にもあるように、接客のトレーナー・先生を店舗に配置し、店舗における接客サービスを向上させようとしているのです。
この背景には、次のようなことがあるのでしょう。
【ユニクロが接客サービスの向上に力を入れる理由】
- 店舗増による売上増は難しいから(国内事業)
- 店舗において来店客(特にシニア層)からの質問が増えているから
- 値上げ後、商品価値を伝えないと売れないことが判明したから
1について、これは記事でも指摘されています。ただし、店舗を増やさない理由についての言及はありません。恐らく、日本の主要な商圏をほとんど押さえるほど店舗網が拡充した一方で、出店コストが予想以上に高騰しているからではないでしょうか。安易に店舗を増やすと、将来赤字店舗が拡大で痛い目に合うと予想しているのかもしれませんね。
2について、これは3とも関連しますが、ユニクロのターゲットは老若男女。最近、シニア層の来店も増えていることは、週末セールを金曜から初めて月曜まで拡大していることが物語っています。実際、平日のユニクロに来店すると、シニア層は確かに増えている。来店したシニア層からの質問が増えているのではないでしょうか。シニア層への接客サービスを向上させると、リピーターになってくれる確率は浮気がちな若者よりも高いはず。接客サービスの向上は、シニア層対策の一環かもしれません。
3について、ユニクロは商品単価の引き上げを行っています。これは、日経でも記事になりましたから、事実です。もちろん、値上げと一緒に商品品質を引き上げているのですが、その品質向上を来店客に伝えなければなりません。ユニクロは、店舗に設置されたポスター・POPで比較的わかりやすく商品特徴を伝えていますが、それだけでは高くなった価格に見合った品質の高さが伝わらないのかもしれません。単価の上がった商品を売るために、接客サービスを向上せざるを得ないのかもしれません。
いずれにしても、衣料品をセルフ・サービスで販売していたユニクロが、接客サービスに力を入れるのは、画期的なこと。セルフ業態の中では比較的接客サービスがいいチェーンのユニクロが接客サービスに力を入れるということは、単にモノを陳列しただけでは売れないということを物語っているようです。
シニア対策も含めて、セルフ業態での接客サービス競争が今後引き起こるかもしれません。
☆今日のまとめ☆
セルフ業態のユニクロが接客サービスの向上に力を入れるのは、シニア対策・値上げ対策のためかもしれない。
ならば、今後接客サービス競争がセルフ業態で起こるかもしれない。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
ユニクロの愛想の良さは、格別に感じています。
あくまで私の体験ですが、ほぼ100%気持ちのいい接客しかされたことがありません。
これは大きな強みです。