【備忘録】日経ビジネスの勝てる値上げの法則と消費増税

cup noodles

 

先週号の日経ビジネスに、「勝てる値上げの法則」と題した特集が組まれています。タイトル通り、値上げ成功の事例集です。備忘録として、以下まとめておきます。

 

【日経ビジネス・勝てる値上げの法則まとめ】

  1. ぼやき・根回しなど値上げ発表前から下交渉を行う(日清食品)
  2. 比較対象品を高単価商品にシフトさせて、値上げ後でも割安感を出す(ネスレ日本)
  3. 集客商品は据え置き、わからないように値上げする(プロント・すかいらーく)
  4. 値上げ商品は、高品質さなど他との違いをポスター・接客でアピール(プロント)

 

今回の値上げ要因も、もちろんコストアップ。ただし、原材料相場の高騰による前回の2008年とは異なり、今回は原材料相場の高止まりにプラスして、円安・人件費の上昇も加わります。よって、値上げ率は2008年よりも大きい。ちなみに、原油筆頭に輸入に頼る原材料の多い日本では、円安はほぼすべての原材料コストに影響します。だから、アベノミクスによる円安は、ドメスティック企業にとっては結構厳しいのです。

 

日清食品で取り上げられていたのは、トップブランドのカップヌードル。過度な安売り店では販売停止の恐れがあっても値上げを断行しつつも、大手量販店に対しては念入りに根回しを行っています。こういうのは、日本独特なのでしょうか、とても重要。対消費者に対しても、急に値上げをするのではなく、値上げをほのめかすトークはするべきでしょうね。

 

ネスレ日本は、さらにその上に行きます。こちらも、ネスカフェゴールドブレンドというトップブランドを持っているので、値上げを果敢に断行しています。ただし、ちゃんと消費者に理解を得ようと、競合品をインスタントコーヒーかれレギュラーコーヒーやコンビニコーヒーに移行することで、ネスカフェのレギュラーソリュブルコーヒーの割安感をアピールしています。具体的には、店頭やSCで試食イベントを行い、一杯の費用を試食した消費者に質問するようです。そして、回答したコストよりもずっと安いことを示して、「ネスカフェのレギュラーソリュブルコーヒー=安くてうまい」という認識を持ってもらい、購入につなげようとしています。この、

 

競合比較品を高単価商品にシフトして、値上げ後でも割安感を出す

 

というやり方は本当に秀逸。論理的であり、感情にも訴えています。

 

プロント・すかいらーくの値上げ方法も、お手本のようなやり方ですが、生ビールやランチなど集客商品を据え置くと、その分利益は食われるわけであり、サービスで値上げした商品を薦める必要があります。このあたりは、接客サービスをどの程度できるかという企業・店舗の接客レベルと大きく関係します。値下げしたワタミも、安い商品で集客し、接客サービスでいかに高単価商品を注文してもらえるかに掛かっていると言えるでしょうか。その前に、集客力の回復が一番の問題ですが。

 

このような特集が組まれる前提として、単純値上げでは売上維持は難しいということがあります。その理由は、消費増税による大幅は反動減が物語っています。消費者は、たとえ企業が避けられない税率アップでも、単価の上昇にはシビアに反動するのです。消費増税が決定されてから実施されるまで、誰がこの反動減の大きさ・長期化を予想したでしょうか。大手マスコミは、アベノミクスによる景況感の改善で、乗り越えられると予想していました。しかし、実際は全く逆。単価が上がることに対して、神経質なほど反応するのです。

 

ただし、これだけ値上げ対象品・カテゴリーが増えると、消費者にも値上げ慣れが進んでいるのも事実。もしかしたら、消費増税は2015年の一斉値上げの時期にやるべきことだったのかもしれませんね。

 

それにしても、値上げをしない・できない企業は対象外として、うまく値上げできるかどうかは、今後の企業業績に大きく影響するのは間違いありません。マクドナルド・ワタミなど値下げせざるを得ない企業でも、値上げまたは高単価商品の投入は今後避けられないでしょう。

 

☆今日のまとめ☆

値上げを成功させる秘訣は、事前根回し・高単価商品との比較へシフト・ステルス値上げ。

値上げできないのは論外として、いかにうまく値上げできるかが企業業績に大きく影響するだろう。

 

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  • 今日のこぼれ話☆

西友ドットコムをよく利用するのですが、西友でも多くの品目で値上げが実施されています。

EDLPの西友が値上げしているということは、それだけ今回の値上げは不可避ということでしょうか。

まぁ、中央銀行が2%の物価上昇を目標にしているのだから、値上げはデフォルトと言えばそうですが。

 

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