ファミリーマートが、新商品プレミアムチキンの新聞折込チラシを配布した理由とは?

ファミマプレミアムチキンのチラシ

 

※  「アメリカ経済事情」に関しては、サイト「ウォール・ストリート・ジャーナルから見た起業のヒント」にて更新しております。今後、ryotarotakao.comでは、メルマガには掲載しない内容を執筆する予定です。

 

10月19日の日経新聞朝刊に、ファミリーマートのチラシが入っていました。コンビニのチラシは、折込・ポスティングとも滅多に入らず、店舗オープン時に入るのみ。(少なくとも、私が住んでいる六甲アイランドでは。ちなみに、最近ファミリーマートがオープンしたので、その際は折込チラシが入りました。)コンビニのチラシは、とても珍しいものなのです。

 

そのチラシの内容は、新商品であるファミマプレミアムチキンの告知。10/16の発売なので、販促のためのチラシになります。このチラシの効果もあってか、ファミマプレミアムチキンは、販売中止に追い込まれるほどの売れ行きを見せたようです。(ファミリーマートの公式発表はこちら

 

そこで、

[1]    なぜ、プレミアム商品であるファミマプレミアムチキンを発売したのか?

[2]    なぜ、新聞折込チラシまで使って、販促したのか?

 

について、考えてみたいと思います。

 

まずは、ファミリーマートの月次実績を見て、分析したいと思います。

 

ファミリーマートの月次実績

 ※ファミリーマートIR資料より

【2012年3月からのファミリーマート月次実績からわかること】

[3]9月まで4ヶ月連続で既存店売上、前年割れ。

[4]同じく、既存店客数も4ヶ月前年割れ。

[5]既存店客単価は、3ヶ月連続前年割れ。ただし、1%以上の増加は4月のみ。

 

ファミリーマートの苦戦ぶりが、既存店売上高の4ヶ月連続前年割れが物語っています。その要因は、客数の減少。既存店売上高の減少月と重なっているだけでなく、客単価の減少幅は2%未満に対して、客数の減少幅は8月を除き2%を超えています。

 

実は、9月の売上低迷は、ファミリーマートに限ったことではありません。

 

 日本フランチャイズチェーン協会が発表した9月のコンビニの既存店売上高は約6933億円と前年同月比1・6%減った。マイナスは4カ月連続。残暑が続いたため飲料などの売れ行きはよかったが、昨年好調だったたばこの反動減が大きく響いた。(2012年10月24日日経MJより)

 

実際にローソンの月次実績を調べてみると、9月の既存店売上高は減少。それどころか、ファミリーマートと同じ4ヶ月連続で既存店売上が前年を割っています。一見すると、ローソンもファミリーマート同様に苦しいように見えますが、実態はそうではありまえん。日経MJの記事にあるように、ローソンの4ヶ月連続既存店売上前年割れは、2011年の売れ行きがよかったからに過ぎません。実際、ローソンは2011年7月から9月まで、既存店売上高が増加しています。(6月は99.2%)一方、ファミリーマートの2011年月次実績を見ると、6月から8月は既存店売上高が前年実績をクリアしていますが、なんと9月は前年割れ。これからわかるのは、ファミリーマートの2012年9月既存店売上高が前年割れになったのは、たばこ販売の反動減が要因ではないということ。業界全体では正しくても、ファミリーマートに関しては、日経の分析に合致していないことになります。(セブンイレブンについては、月次実績がないため未検証。)

 

そこで、1・2の疑問について、考えてみたいと思います。まず、1について。プレミアム商品を販売することのメリットは、

 

客単価の増加

 

です。ファミマは、ファミマプレミアムチキンを販売することで、減少傾向にあった客単価の上昇を目指したことになります。ただ、これだけではありません。

 

ファミマプレミアムチキンの競合は、ケンタッキーフライドチキン。つまり、ファミマプレミアムチキンについては、ファストフードを競合と設定したことになります。従来ファミリーマートが競合としていたのは、セブンイレブンやローソンなどのコンビニ他社。そして、最近は、生鮮品やチルド惣菜を充実させることで、スーパーを競合とした競争をしています。コンビニ他社やスーパーとの競争が激化したことは、ファミリーマートの既存店売上高の不振が物語っています。そこで、新たにファストフードを競合と設定することにより、ファストフードから顧客を奪おうとしているのではないでしょうか。プレミアム商品と言えども、ケンタッキー・フライドチキンのチキン1ピースの価格240円と比べて、ファミマプレミアムチキンは170円。ケンタッキー・フライドチキンと同等の品質にすれば、十分顧客を奪えることになります。

 

プレミアム商品を販売することにより、客単価の増加も目指しているでしょうが、一番の目的は、ファストフード(特にケンタッキーフライドチキン)から顧客を奪うことによる客数の増加ではないか、と思います。(ちなみに、ケンタッキー・フライドチキンは、共通ポイントとしてポンタを採用しています。Tポイント陣営のファミリマートの敵になります。)

 

2については、特に説明は要らないかもしれません。新聞折込チラシで新商品の告知をすることで、普段ファミリーマートを利用しない層を集客することができます。これも、客数の増加につながります。さらに、10月28日までのお試し価格(10円引き)の設定は、チキンを食べたい・興味のある人の背中を押し、来店動機を与えます。

 

コンビニと言うと、スーパーと比較して業績が好調のようなイメージがありますが、実態はそうではありません。ファミマプレミアムチキンが、コンビニVSファストフードの新たな戦いの始まりになるかもしれません。

 

☆今日のまとめ☆

ファミリーマートが、ファミマプレミアムチキンの新聞折込チラシを入れたのは、客数を増やしたいため。

ファミマプレミアムチキンの発売は、コンビニとファストフードとの本格的な競争の始まりになるかもしれない。

 

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☆  今日のこぼれ話☆

ツイッターで検索しみると、ファミマプレミアムチキンは本当に売れたようです。

次はクリスマスの発売。

もともと、販売中止で話題を作って、クリスマスで本格的に売り込むことを考えていたのかもしれませんね。

 

 

☆昨日の目標→その結果☆

投稿スケジュールに変動があるため、別の機会に公表します。

 

☆アニキ金本知憲の言葉☆

「ケガをしていても、それをいわなければケガではない。」(『覚悟のすすめ』より)

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