サントリー・モルツBy thecrypt

 

日経新聞にビールの新製品に関する記事がありました。ビール好きの私にとっては、否が応でも目が行くニュース。しかも、セブン&アイ専用品というだけあって、さらに興味が湧きます。

 

 セブン&アイ・ホールディングスとサントリー酒類は共同開発した冬季限定の高級ビール「深みの贅沢(ぜいたく)」を4日に発売する。麦芽を100%使って濃厚なうまみとコクを引き出し、ホップのさわやかな香りもする。アルコール度数は6・5%で、350ミリリットル缶が238円、セブンイレブンやイトーヨーカドーなど約1万5千店で約6万ケース(1ケースは大瓶20本換算)を販売する。(2012年12月4日 日経新聞朝刊より)

 

要約すると、以下のようになります。

 

【セブン・サントリー提携ビール】

[1]「深みの贅沢」350ml238円

[2]セブンイレブン・イトーヨカドーなどセブン&アイ小売店で販売

サントリーのプレスリリース

 

小売店とビールメーカーの専用品は、最近のトレンドなのでしょうか。確か、セブンとキリンの「グランドキリン」から始まり、セブンとアサヒの「アサヒ ザ・エクストラ」イオンとサッポロの「みがき麦」とリリースされています。(「みがき麦」は第三のビール)サントリーも発売したということで、大手ビールメーカー4社すべてが、小売店専用品の開発・製造を受け入れたということになります。サッポロは、専用品から更に踏み込み、セブンプレミアム・サッポロのダブルブランドの缶ビール「セブンプレミアム 100%MALT」を製造・販売しています。

 

そこで、小売店とビールメーカーが専用品(あるいはPB商品)で提携する理由を考えてみました。

 

【小売店とビールメーカーが専用品で提携する理由】

[1]      初めて販売された専売品・グランドキリンが売れたから。(メーカー・小売)

[2]      売場を確保できるから。(メーカー)

[3]      競合チェーンと差別化するため。(小売)

 

1について、単純にグランドキリンで成功したから、セブン側がサントリー側に話を持ちかけたと推測できます。通常のビール・プレミアムビールよりも単価が高いので、セブンは客単価の向上を見込めます。サントリーは、新商品の投入によって売上拡大が見込めます。

 

2について、コンビニは、ただでさえ売り場面積が小さいので、売場を確保するためにコストがかかります。一方で、高い利便性により、集客数が大きいので、目立つ売場を確保できれば、売れる確率は高まります。そこで、サントリーは、セブン限定品を発売することにより売場確保に動いた、と考えても不思議ではありません。実際、こちらのブログを見ると、「深みの贅沢」が目立つ売場に陳列されていることがわかります。

 

3について、セブン専用品とは、セブンプレミアムのマークの無いPB商品と言うことができます。ローソンやファミリーマートなど他のチェーンにはない商品を販売することで、セブン専用品の目的買いの消費者を集客することができます。専用品によって、差別化できるのです。

 

ここまでは、大手ビールメーカーとセブンとの提携商品すべてに当てはまります。しかし、サントリーが製造するセブン専用品「深みの贅沢」には、他の専用品には無い面白い特徴があります。それは、小売価格を決めているということです。

 

「グランドキリン」「アサヒ ザ・エクストラ」は、オープン価格に設定されている一方、「深みの贅沢」は、350ml缶・500ml缶とも小売価格を数字で設定しています。ということは、セブンでもイトーヨーカドーでも同じ価格で販売するということです。

 

さらに、プレミアムビールということもあり、通常のビールだけでなく、大手メーカーのプレミアムビール(サントリーのプレミアムモルツやサッポロのエビスなど)よりも高い価格に設定されています。値下げラッシュのスーパー、値頃感のあるPB商品を増やすコンビニ、という売場状況を考えると、異常な価格設定と言っても、過言ではありません。

 

それだけ品質に自信を持っている証拠でしょう。ただ、それだけではありません。品質に伴って高く値付けした商品が売れると証明できれば、消費増税後の価格改定をスムーズに行うことができます。「深みの贅沢」が売れれば、サントリーは、リニューアルをすることでプレミアムモルツの店頭価格を消費増税分だけ引き上げることが、容易にできます。一方、セブン&アイは、品質の引き上げを伴うリニューアルを取引メーカーに依頼することで、消費増税分を店頭価格に上乗せするかもしれません。「深みの贅沢」の高い値付けは、消費増税を睨んだ実験の意味合いがあるのではないでしょうか。

 

ちなみに、もし「深みの贅沢」の売れ行きが芳しくなければ、単価の引き上げは難しいということがわかります。そうなれば、サントリー・セブンは単純値上げではなく、容量を減らすことで単価を据え置くという方法を採用するかと思います。

 

☆     今日のまとめ☆

サントリーのセブン専用品「深みの贅沢」は、オープンではない価格設定とその高い価格が他の専用品とは異なる。

そのような価格設定をしたのは、消費増税を睨んだ実験をするためではないか。

 

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☆     今日のこぼれ話☆

jumbo0317さんのブログによれば、プレミアムモルツに似た味とのこと。

昔のプレモルと似た味なら、欲しいかも。

今のプレモルは、好きになれないんですよね。

 

☆サイゼリア創業者 正垣泰彦の言葉☆

「一品あたりの価格が安くなければならない。値付けの参考になるのは、その国で最も売れている消耗品の価格だ。」

『おいしいから売れるのではない 売れているから美味しい料理だ』より)

※創業者・経営者・商売人の心に残る言葉、元気になる言葉を紹介しています。