客単価を伸ばす東京ディズニーリゾート、値下げを進める食品スーパー・ファストフード、この違いはなぜ起こる?

東京ディズニーリゾートBy luckypines

 

少し前の日経新聞に、東京ディズニーリゾート(TDR)の入場者数が過去最高を記録した記事が、掲載されていました。東京ディズニーリゾートを運営しているオリエンタルランド社長のインタビュー記事です。

 

 テーマパークなどのレジャー消費が堅調だ。オリエンタルランドが運営する東京ディズニーリゾート(TDR、千葉県浦安市)では2012年4~9月期の入園者数が1325万人と上期として過去最高を記録した。個人消費全般に陰りが出るなか、なぜレジャーに支出が流れるのか。オリエンタルランドの上西京一郎社長に聞いた。(2012年11月28日 日経新聞朝刊より

 

この記事にある数字をまとめると、次のようになります。

 

【東京ディズニーリゾートに関する数字(2012年4月~9月)】

[1]入場者数 1325万人→前年同期比23.4%増で過去最高

[2]うち40歳代以上の世代が占める割合は19.7%→10年前よりも4ポイント程度高い

[3]入園者1人当たりの支出額 1万410円→上期としては最高

 

40歳以上が増えているというのは意外です。記事にあるように、若い時期にTDRに来た経験を持つ人が、子育てに一段落して帰ってきているようです。これもリピーターの一つ。さらに、シニア層が、祖父母という立場で子や孫を連れてもう一度訪れているとのこと。時間とお金に余裕のある団塊の世代が、自分たちのお金で子供・孫と一緒に、TDRを楽しんでいるのでしょう。

 

消費者の懐事情が改善していないにもかかわらず、レジャーにこれほどお金・時間を使うのはなぜなのか?次のような理由によると、記事では説明されています。

 

【可処分所得が向上しない中でレジャーが堅調な理由】

心に残るコトにはお金を使うから

 

逆に言えば、心に残らないコトやモノには、お金を使わないことになります。TDRが、「喜びや感動など感情を体験できる空間(日経新聞)」だからこそ、一人1万410円もお金を落とすのです。阪急梅田店が、リニューアル後に物販のない場所の面積を多く取ったのは、この「心に残るコト」を提供することによって、物販につなげるために他なりません。

 

そして、インタビューでは、SNSの影響も寄与していると、上西社長は語っています。つまり、SNSに発信された感動体験が、SNSを通じて多くの人に伝播して、それが集客につながっているようです。SNSを介した口コミが集客を生み出すという、正のサイクルが回っていることになります。

 

逆に言うと、価格競争に巻き込まれている業界は、

 

○     心に残るコトを提供する

○     SNSを発信したいと感じるコトを提供する

 

事が行われていないのではないでしょう。例えば、マクドナルド・吉野家などのファストフード。低価格を強調するあまり、心に残るメニューや店内体験が無いのかもしれません。メニュー表を廃止することで、店員とのふれあいが少なくなり、店員との接触機会が減ったことも影響しているのでしょうか。食品スーパーに至っては、値下げばかりが強調されるだけ。そこには、感動があるはずはありません。

 

ファストフードやセルフサービス業態は、そのコスト構造から、店員によるサービスを増やすことには限界があります。ならば、店内表示や看板に、心を揺さぶる情報を提示すればいいかと思います。それがすぐに売上につながらないかもしれませんが、それをするかどうかが、価格競争から抜け出せるかどうかにつながるように思えます。

 

☆     今日のまとめ☆

絶好調のTDRは、心に残るコトやSNSに発信したいと感じるコトの重要性を教えてくれる。

これがないからこそ、ファストフード店やスーパーは価格競争に陥っているのではないか。

 

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☆     今日のこぼれ話☆

最近、雨が多いですよね。

自転車を日々使っているので、雨には敏感です。

この寒さだと、雨が雪に変わることもあるんでしょうね。

ホワイトクリスマスになれば、素敵です。

 

☆サイゼリア創業者 正垣泰彦の言葉☆

「店舗の改善内容は3つに分類できる。

  1. 作業の単純化
  2. 便利道具の開発
  3. スタッフの多能工化」

『おいしいから売れるのではない 売れているから美味しい料理だ』より)

※創業者・経営者・商売人の心に残る言葉、元気になる言葉を紹介しています。

 

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