ロッテ・グリコ・ハーゲンダッツのアイス福袋、その目的とは?
年末にグルメシティ(ダイエーのスーパー業態)に行ったところ、アイス売り場で面白い商品を発見しました。それは、アイス福袋。少し早い福袋です。街を歩いていると、年内から福袋を手にした人をたまに見かけます。福袋も早めに仕掛けられているようです。
アイス福袋と言っても、中身は裏面に記載されています。通常のアイスを袋に詰めた商品なのですが、白い袋が使われているので、中身はわからなくなっています。中身の分からない福袋を演出しているのだと思います。そこで、なぜアイスが福袋で販売されているのかを、考えてみました。
【アイスメーカーが福袋を販売する理由】
[1] 単価を引き上げて、売上を拡大したいから。
[2] 利益率よりも量を売りたいから。
[3] 売上閑散期の冬に需要を喚起したいから。
[4] 顧客を囲い込みでき、競合に奪われにくいから。
1は、福袋の価格を見ればわかります。ハーゲンダッツは1050円で、残り2つは698円。アイスと言えば、通常100円程度。ハーゲンダッツの高いのでも300円程でしょうか。それが、福袋となると、3~7倍に跳ね上がります。需要の先取りという見方もできますが、単価下落に悩む食品業界としては、この高い単価は魅力的です。
2は、メーカー独自の考え方です。ハーゲンダッツと言えども、そのほとんどの商品の製造は大量生産。グリコ・ロッテは、大量生産商品しかないかと思います。となると、量を売らなくてはなりません。残れば廃棄になるからです。ならば、少々利益率を落としても量がはける福袋は、大変魅力的な商品になります。
3について、アイスをあまり食べない層の需要を喚起できます。福袋を見てお得感があれば、アイスを買う予定がなくても、ついつい買ってしまう人は結構多いかと思います。ということは、福袋は潜在需要を換気し、市場を拡大してくれる商品になります。特に、寒い冬場は、アイスは食べたい商品になかなか上がりません。福袋は、この閑散期の需要を喚起してくれるのです。
4について、これは福袋というよりも大容量商品の特徴です。大容量商品を売ると、その商品が当分自宅で保管されることになります。その間、そのカテゴリーを食べる時に選ばれるのは、ほぼ間違いなくその保管商品。他社の商品が購入されることはありません。例えば、カルビーポテトチップスうす塩味のビッグサイズを購入したとします。2・3日で食べてしまうとしても、2・3日自宅で保管されることになります。その間、湖池屋のポテトチップスやPBが購入されることは、ほぼないでしょう。顧客を囲い込むことができるのです。
このように考えると、消耗品の福袋は結構面白い商品になるかもしれません。百貨店だけでなく、いろんな分野に福袋が進出したのは、こういう理由かもしれません。
☆今日のまとめ☆
アイス福袋のメリットは、単価引き上げによる売上拡大、販売数量の拡大、閑散期の需要喚起、顧客囲い込みなど。
こういうメリットがあるから、福袋商法はいろんな分野に進出しているのだろう。
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☆ 今日のこぼれ話☆
大晦日は本当に寒いですね。
電気ストーブだけでは辛いです。
☆サイゼリア創業者 正垣泰彦の言葉☆
「商品を頼むかどうか迷うのは、お客様自身が気づいているかどうかはともかく、無意識のうちに値段が高いと感じているからだ。」
(『おいしいから売れるのではない 売れているから美味しい料理だ』より)
※創業者・経営者・商売人の心に残る言葉、元気になる言葉を紹介しています。