クリスマスケーキのスキマとは?

ホールケーキ

 By lotusutol

先日(といっても12/30ですが)、梅田界隈のデパ地下に行ったのですが、年末ということもあり、すごい人でした。おせちに使う食材だけでなく、洋菓子・和菓子でも行列ができているお店が多かったように感じました。その一つに、アンリ・シャルパンティエも含まれます。

 

アンリ・シャルパンティエはもともと関西(芦屋)のお店なのですが、今では東京の銀座に路面店を出すほど、たいていのデパ地下にはあるというイメージ。だから、関西の土産物としては適さないかもしれないですが、あのケーキを見ると、ついつい食べたくなってしまいます。特に、1000円台のホール系ケーキを見ると、コストパフォーマンスも結構高い。ホール系ケーキとは、ショートケーキのような切り分けたケーキではなく、もともと丸いケーキのこと。1000円台という価格設定なので、クリスマスケーキのような装飾やたくさんのフルーツは無く、どちらかというとスポンジ・クリーム+アルファという感じでしょうか。(Wチーズケーキがこの部類に入ります。)このボリュームで1000円台なので、お客さんが多いのも納得です。

 

1000円台または2000円前半のホール系ケーキという切り口で見れば、デパ地下で取り扱うお店は意外にも多い。その理由を推測すると、以下のようになります。

 

【1000円台・2000円前半のホール系ケーキが多い理由】

[1]      世帯人数が減少しているから

[2]      値ごろ感がないと売れないから

[3]      集客するための商品だから

[4]      ボリューム感を求めている人が増えているから

 

1については、通常のホールケーキでは大きすぎるからです。だから、小さめのホール系ケーキを作って、少世帯向けに販売しているのかもしれません。もちろん、1人では食べきれないので、単身世帯向けではないのは確か。ただ、デパ地下でケーキを買う時は、一人で食べるよりも複数で食べる時が多いのではないでしょうか。(一人で食べるケーキはコンビニで買う人が多いのかと思います。)ならば、ショートケーキを複数買うよりも、ホール系ケーキを一つ買って、切り分けたほうが、切り分けるという楽しみも生まれます。2・3人で集まる自宅女子会などのニーズがあるのかもしれません。

 

2については、特に説明はいらないかと思います。価格を上げれば、売れにくくなります。だから、ホール系ケーキでも1000円台の価格設定にしているのかと思います。また、1000円台なら、2人または3人で食べれば、カフェで食べるよりもお得になります。カフェでのケーキ需要を奪っているのかもしれません。

 

3については、ショートケーキはほとんどのケーキ店で販売しています。もちろん、その原材料やデザインに凝ることにより、ショートケーキで差別化を図ることはできますが、じっくり見ないとなかなかわからないものです。一方、ホール系ケーキは、その大きさから大変わかりやすい。それが1000円台で販売されていれば、かなりのインパクトがあるのではないでしょうか。アンリ・シャルパンティエのショートケーキも魅力ですが、ショートケーキを見て、強く食べたいとは思ったことはありません。ホール系ケーキを見て、アンリ・シャルパンティエに惹かれたということを考えると、ホール系ケーキが集客していると考えることもできます。

 

4について、ショートケーキのような見た目ではなく、ボリューム感を求めている人が、意外に多いのではないでしょうか。ロールケーキのユーザーにも、がっつりケーキを食べたいという層がいるかと思います。そういう、これまでリーチできなかった消費者の需要を喚起できるという役割を、1000円台のホール系ケーキは担っているのかもしれません。

 

このように考えてみると、現状のクリスマスケーキには、捉えきれていないニーズがあるように思えます。それは、

 

少世帯向けニーズ

 

です。毎年ですが、2人用のクリスマスケーキは、かなり少ないように感じます。だから、ブランドを選ぶことはほとんどできません。なぜ、2人用のクリスマスケーキが少ないのかと言えば、恐らく儲からないからでしょう。利益率が低いので、売りたくない。これが、ケーキ店の本音かと思います。2人用を作るなら、4人用以上を作る方が、単価が上がる一方で、人件費はさほど変わりません。また、できるだけ大きさの種類を少なくした方が、スポンジ部分を共用できるというメリットも生まれます。

 

しかし、買う立場からすると、2人で4人前は大きすぎるのです。2日連続でクリスマスケーキを食べるのは、なんとか避けたい。だから、ショートケーキ2つに落ち着くのかもしれません。ちなみに、こちらのコンビニ店長(?)の匿名ブログによると、今年のクリスマスは、ショートケーキ2個セットが売れたようです。2人家族または2人組の友達が買うクリスマスケーキが、ショートケーキに移行しているのがわかるかと思います。

 

この“ケーキ屋さんがやりたくない”2人用のクリスマスケーキこそが、クリスマスケーキのスキマのように思えます。

 

☆     今日のまとめ☆

1000円台・2000円前半のホール系ケーキが増えたのは、世帯人数が減ったことも影響しているのではないか。

ならば、2人用のクリスマスケーキは、クリスマスケーキのスキマになるだろう。

 

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☆     今日のこぼれ話☆

企業が儲かる商品には、消費者ニーズが満たされていない部分があることが多いのでしょうか。

そういう視点でモノを見ると、面白いかもしれませんね。

 

☆サイゼリア創業者 正垣泰彦の言葉☆

「お客様に喜んでもらいたいと考え、失敗にくじけずに頑張るというプロセスが大切。」

『おいしいから売れるのではない 売れているから美味しい料理だ』より)

※創業者・経営者・商売人の心に残る言葉、元気になる言葉を紹介しています。

 

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