マックリブ

 By Shutter Ferret

今日の日経新聞の一面に、マクドナルドの業績記事が掲載されていました。ファストフードチェーン1位と言えども、一面に掲載されるのは異例。ただ、その内容はそれほど異例ではありませんでした。

 

日本マクドナルドホールディングスの2012年の既存店売上高は9年ぶりにマイナスとなった。低価格メニューで客数は増えたが、主力のビッグマックなど価格の高いハンバーガー類の販売が振るわなかった。デフレ下の「勝ち組」とされた同社も、消費者の節約志向を前に苦戦を強いられた形だ。(2013年1月9日 日経新聞朝刊より)

 

マクドナルドには、常々アンテナを張っています。店舗の前を通る度、お店の中をチラ見したり。お客さんの入りを調べるためです。また、店舗には入らずとも、店舗前のポスターやチラシ配りなど、入店のきっかけになる施策にも注意を払っています。その結果として感じるのは、

 

魅力がなくなった

 

ということです。(あくまで主観)

 

マクドナルドの売上不振の深刻さは、12月既存店売上高が示しています。12月既存店売上高を、2010年まで遡ってみると、次のようになります。

 

【マクドナルドの12月既存店売上高(前年同月比)】

[2012年]-8.6%(年間で2番目の悪さ)

[2011年]+5%(年間で2番目の良さ)

[2010年]+11.6%(年間で1番目の良さ)

 

12月既存店売上高は、概していいのです。その理由は、クリスマス・年末があるので、外出機会が多いからでしょう。「ショッピング途中にマクドナルドで食事・お茶をする」というシーンが、目に浮かびます。そんな稼ぎ時の12月が、2012年は年間で2番目の悪さなのです。マクドナルドの売上不振の深刻さが、実感できるかと思います。

 

今回は、商品面から、マクドナルドの魅力が無くなった原因について、考えてみたいと思います。

 

さて、先日、日経に面白い記事がありました。

 

幕の内弁当が20~30代の女性に人気だ。煮物や焼き魚など多彩なおかずが入る栄養バランスの良さがその理由。健康志向の女性向けに持ち帰り弁当店やコンビニエンスストアは弁当の種類を増やすなどしている。(2013年1月8日 日経新聞朝刊より)

 

この記事に注目したのは、20代~30代がマクドナルドの客層だから。あくまで女性だけに限られますが、これまでマクドナルドでハンバーガーを食べていた20代~30代の女性が、コンビニやお弁当屋さんの幕の内弁当に流れているのではないか、と思うのです。

 

そこで、持ち帰り弁当店のほっともっとほっかほっか亭の12月既存店売上高を調べてみました。

 

【ほっともっと・ほっかほっか亭の2012年12月既存店売上高】

[ほっともっと]+2.4%

[ほっかほっか亭]-1.2%

 

ほっかほっか亭は前年割れをしていますが、マクドナルドほど悪いわけではありません。ちなみに、好調と言われるコンビニ全体も既存店売上高はマイナストレンドです。従来の持ち帰り弁当店をおしゃれにしたほっともっとについて、そのターゲットが女性だと考えれば、ほっともっとの人気は、幕の内弁当を支持する女性に支えられているように思えます。実際、私がほっともっと店舗前を通った時、女性がいる確率が高いのは事実。

 

さらに、幕の内弁当=健康的な定食と考えてみて、定食屋の大戸屋やよい軒の12月既存店売上高を調べてみました。

 

【大戸屋・やよい軒の2012年12月既存店売上高】

[大戸屋]+7.0%

[やよい軒]+2.8%

 

いずれもプラスであることを考えると、マクドナルドユーザーが定食屋さんに流れているのでは、ないでしょうか。

 

幕の内弁当=健康的な食事と捉えれば、

 

マクドナルドの不振は、健康的なメニューがないから

 

ということになるでしょうか。

 

ハンバーガーショップに健康的なメニューを期待するのが、無理な話かもしれません。それ以外の原因を考える際に気になって調べたのが、モスバーガーの既存店売上高です。

 

【モスバーガーの2012年11月既存店売上高】

+4.0%

 

12月のデータがまだ公開されていないので、11月のデータで失礼します。ちなみに、マクドナルドの11月既存店売上高は、-3.1%。同じハンバーガーショップにも関わらず、モスバーガーはプラスなのです。さらに、10月の既存店売上高は、マクドナルドが-7.2%で苦しむ中、モスバーガーは+4.7%。モスバーガーは10月から、既存店が盛り返したことがわかります。

 

そこで、モスバーガーがマクドナルドに勝る点を考えてみました。

 

【モスバーガーがマクドナルドに勝る点】

[1]      原材料にこだわっている点

[2]      風変わりの見た目のメニューが豊富な点

 

1について、モスバーガーのメニューで原材料にこだわっているのは、次のような商品です。

 

コロッケフォッカッチャ→北海道産ジャガイモ“キタアカリ”使用

モスライスバーガー「野菜かきあげ」→国産ごぼう・にんじん使用

とびきりハンバーグサンド「厚切りベーコン」→国産肉100%使用のハンバーグ、北海道産厚切りベーコン、国産たまねぎ

 

一方、マクドナルドのサイトを見る限り、価値を感じる原材料を使ったメニューはありません。ベーコンレタスバーガーでは、オーストラリア産・ニュージーランド産100%ビーフパティが使われていますが、だから買いたいという気分にはさせてくれません。

 

マクドナルドの不振は、こだわりのメニューがないから

 

ということになるでしょうか。

 

2に関して、モスバーガーのサンドイッチ類には、通常のハンバーガー型以外に、フォッカッチャやライスバーガーがあります。(特に、今はフォッカッチャに力を入れているようです。)このバラエティさが、お店に新鮮味を与えてくれます。

 

一方、マクドナルドが提供するサンドイッチ類は、通常のハンバーガー型しかありません。つまり、バンズの間にパティまたは揚げ物プラスαを挟んだサンドイッチしか、マクドナルドでは選ぶことはできないのです。確かに、プラスαでいろいろ選べますが、それは通常のハンバーガー型の範疇でしかありません。モスバーガーでは、通常のハンバーガー型に飽きれば、フォッカッチャやライスバーガーを選ぶことができるのです。この選択肢の違いが、飽きやすさにつながっていることは否めません。(両社のサイトを比べれば、その違いが一目瞭然です。)

 

マクドナルドの不振は、メニューに選択肢が少なく飽きやすいから

 

ということになるでしょうか。

 

これらをまとめると、次のようになります。

 

【マクドナルドの売上が深刻なほど悪い原因(商品面)】

[1]      健康的なメニューがないから

[2]      原材料などメニューにこだわりがないから

[3]      メニューに選択肢が少なく飽きやすいから

 

画一的なメニュー体系だからこそ、低価格で提供でき、これがマクドナルドの競争力になっているのは事実です。しかし、その競争力がどんどん弱くなっていることが、既存店売上高から読み取ることができます。それは、競合との価格競争が厳しくなったというよりも、価格だけでは買わないという消費行動によるものかと、思います。

 

☆     今日のまとめ☆

マクドナルドの売上不振は、稼ぎ時の12月の既存店売上高が非常に悪い点から、その深刻さが理解できる。

それは、メニューにおいて、「健康的」という面で持ち帰り弁当店・定食屋に負け、「こだわり」「選択肢の少なさ」という面でモスバーガーに負けているからではないか。

 

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☆     今日のこぼれ話☆

個人的には、面白みが無くなったなぁ、というのがマクドナルドの最近の印象。

ビッグアメリカシリーズの頃は、食べたくてお店に行っていました。

懐かしいですね。

 

☆サイゼリア創業者 正垣泰彦の言葉☆

「ありのままに見るとは、利他の精神を持ち、社会への貢献を前提にするということだ。これはきれいごとでも何でもない。お値打ち感があって、また来たいとお客様が思う店しか、商売を続けることはできないのだから当然のことだ。」

『おいしいから売れるのではない 売れているから美味しい料理だ』より)

※創業者・経営者・商売人の心に残る言葉、元気になる言葉を紹介しています。