値下げをした吉野家が既存店売上を大きくV字回復できた理由(その3)
By sunxez
値下げをした吉野家が既存店売上高をプラ転させた理由、最終回です。これは、新聞報道しか知らないと、全くわかりません。ホームページをただ見てるだけでも、気づかないでしょう。しかし、牛丼チェーン3社のホームページを比べると、何となくわかるかと思います。違いをまとめると、次のようになります。
【牛丼チェーン3社の一押しポイント(2013年5月現在)】
[すき家]新規メニュー
[松屋]増量・値引きによる割安感
[吉野家]定番商品の美味しさ
まず、すき家について。現在のトップページで一番大きく掲載されているのは、「焼きそば牛丼」です。そして、その次に「カレー南蛮牛丼」「カップスイーツ」が続きます。これらの共通しているのは、新メニュー。新しいメニューの訴求により、集客を図っていることがわかります。
松屋サイトでは、「価格そのまま増量キャンペーン」が真っ先に表れます。(フラッシュを除く)その次は「デミたまハンバーグ定食50円引き」で、「生姜焼き丼」「牛めしバーガー」「安全・安心」「弁当の盛り付け方法」「自然の味」「松屋キッチンカー」が続きます。初めの2つは増量・値引きにより割安感を訴求、その他は新商品・品質・利便性などです。最初に割安感を訴求するPOPを置いたのは、割安感で集客するために他なりません。
最後に吉野家ですが、吉野家がトップページの最上段に掲載しているのは、「吉野家史上最高のうまさ」と「うまさへのこだわり」というバナー。どちらも「おいしさ」を訴求しています。
この違いが、消費者にどのように感じられたかをまとめると、次のようになります。
【牛丼チェーン3社の訴求点に対する消費者の印象】
[すき家]新規メニュー→牛丼よりも単価の高い新メニューを売りたい
[松屋]割安感→牛丼よりも単価の高いメニューを売りたい
[吉野家]美味しさ→値下げしたにも関わらず品質は向上、牛丼に自信を持っている
牛丼に関してよりポジティブに感じるのは、吉野家のみ。この感じ方の差により、すき家・松屋ではなく吉野家に、消費者の足が向かったのではないでしょうか。
もちろん、すき家・松屋も、牛丼を期間限定値下げしている時期には、トップページで大きく値下げを告知していたと思います。しかし、その告知でわかるのは値下げであり、割安感。商品の品質に関する言及はなかったのではないでしょうか。ならば、従来の品質の牛丼が値下げされたに過ぎません。一方、吉野家では、牛丼が従来よりもグレードアップしたのにもかかわらず、値下げされたのです。どちらが、より魅力的・お得かと言えば、もちろん後者。これが、集客数の違いに直結したのではないでしょうか。
その結果吉野家は、値下げによる客単価の下落を補うほどの集客数を獲得でき、既存店売上がプラスに転じたのだと思います。
☆今日のまとめ☆
値下げをした吉野家が既存店売上をプラ転できたのは、競合チェーン2社よりもより魅力的・お得な訴求を行ったからではないか。
実際、他社が新メニューや割安感を訴求する中、吉野家は「美味しさ」を全面に訴えている。
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WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
最近、こちらの本を読んだのですが、これまでの食生活を多いに反省しています。
思えば、学生時代には、ハンバーガーを食べました。(特に留学している時)
さらに、社会人初めには、安い加工食品に大変お世話になりました。
安いからといっても、病気になりやすくなれば本末転倒です。
さらに、老化しやすくなれば、美容関連品にお金が余計に掛かってしまいます。
何を食べるかは、本当に大切ですね。再認識しました。