2013年4月のビール出荷数量前年比増でも全く喜べない理由
2013年4月のビール出荷数量データが発表されました。前回このデータを使った時にもお伝えしましたが、このデータはビール大手5社の数字しか含まれておりません。よって、地ビールの出荷がどうなっているどうかは、国税庁の数字から大手5社の数字を引く必要があります。今回は、大手5社の動向を読み解きたいと思います。
ビール大手5社が14日発表した4月のビール系飲料の課税済み出荷量は前年同月比2・8%増の3724万ケース(1ケースは大瓶20本換算)だった。前年同月を上回るのは2カ月ぶりで、4月単月のプラスも2011年以来2年ぶり。割安な第三のビールや飲食店向けビールが伸びをけん引し、前年より出荷日が多かったこともプラスに働いた。(2013年5月13日付 日経新聞朝刊)
ビールだけでなく、第三のビールや発泡酒を含めたビール系飲料の4月出荷は、好調だったようです。その要因として、飲食店のビールが売れたとのこと。アベノミクス効果の表れでしょうか。家庭用の缶ビールはさほど売れなかったということでしょうか。もう少し詳しく調べる必要があります。
そこで、データを公表しているビール酒造組合のサイトから、元のデータを見てみました。そこで、驚くことが掲載されていました。それは、以下の通りです。
【2013年1月~4月の累計出荷ケース数と前年同期比】
[ビール全体]57,517千ケース・97.1%
[そのうち業務用]30,426千ケース・98.7%
[そのうち家庭用]27,091千ケース・95.4%
4月単月だけ見るとビールは売れているようですが、1月からの累計で見ると前年割れをしています。つまり、ビールの売れ行きはまだまだ悪いのです。その証拠に、全体で4月は前年以上出荷されたものの、3月は大きく前年を下回っています。(3月は前年比85.5%)3月の出荷分が4月にずれたことが、4月増の要因なのではないでしょうか。
業務用・家庭用の内訳を見ると、業務用のビール出荷数量が伸びていないことがわかります。12月から始まった株高ですが、飲食店のビールの売上増にはまだ寄与していないことがわかります。業務用に関しては、減少トレンドから抜け出せていないのです。
一方、よリ深刻なのが家庭用。家庭用の売上不振が、ビール全体の減少に影響していることがわかります。スーパー・コンビニでのビールが、本当に売れていないのです。面白いのは、今年に入ってから出荷ケース数ベースで業務用が家庭用を上回ったこと。この傾向は1月から4ヶ月連続です。かといって、業務用のビール出荷数量累計が前年よりも伸びていないので、それだけ家庭用が大きく減少していることがわかるかと思います。
そこで思い出したのが、こちらの日経記事。
アサヒビールは6月、コンビニエンスストア大手ファミリーマート限定のビール「ビタープレミアム」を発売する。麦芽100%のビールで、厳選した4種のホップを添加し、華やかな香りとうまみを感じる苦みを出したという。国内と台湾の計約1万2千店で数量限定販売する。(2012年5月15日付 日経MJ)
大手ビールメーカーとコンビニとのコラボは、昨年から顕著になった販売手法。この手法によるビール開発・販売が増えていることは、それだけ効果があったということを示します。
ただ、メーカー側から見れば、コンビニ限定商品を出さなければ、前年並の売上を確保できないと捉えることもできます。それだけ、現状の販路ではビールの販売拡大は見込めないのかもしれません。その裏付けになるのが、家庭の販売不振。減少の販売店では売上拡大が見込めないからこそ、大手ビールメーカーはこぞってコンビニ限定商品を販売するのです。
☆今日のまとめ☆
4月のビール出荷数量は前年比で増加しているが、1月からの累計では前年を下回る。
業務用でも累計が前年比マイナスなので、アベノミクス効果は飲食店のビール売上に表れていない。
よし深刻なのが家庭用であり、スーパー・コンビニでは意外にもビールは売れていないことがわかる。
だからこそ、大手ビールメーカーは、コンビニ限定商品をこぞって発売するのだろう。
マーケティング・ビジネスのヒントに関するブログも書いています
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
今回の考察は、あくまで大手ビールメーカーだけのこと。
日経のニュースを見る限り、円安の影響もあり地ビールは売れている模様。
コンビニのビール売り場を見る限り、ビールは売れていると思ったんですがね。
感覚と実態が違うことを、実感しました。
☆買った商品レビュー☆
スーパ-でもビールや第三のビールの新商品が多く販売されており、最近ビール売り場に行くのが楽しみにあるほど。
そして、新商品を試しました。
ROYAL PILS(ロイヤルピルス)という名前だけあって、ピルスナーになるのでしょう。(ちなみに、日本のビールのほぼすべてはピルスナーに分類されるようです。)
価格は、プレミアムビールと同等だったかと思います。
感想は・・・
正直言いまして、あまり覚えていないのですよ。
それだけ印象の薄かったビールになります。
エビスほどの個性もなく、同じ金額払うならエビスでしょうか。
普通のビールよりは、もちろん美味しいですよ。
ちなみにイオングループ限定商品になります。