食に求められるキュレーションとは?

 

石ころをダイヤに変える「キュレーション」の力 勝見明著

 

キュレーションという言葉は、以前から気になっていました。キュレーションに関する書籍を増えていますが、実際に読んだのは今回が初めて。いろいろな発見があったので、記録として記したいと思います。

 

まずは、メモしたフレーズ・文章から。

 

  • キュレーションは編集。「必要なものに絞る」「不必要なものを排除する」ことによって、石ころをダイヤに変える。
  • マルチからスマートへ。多機能から賢機能・好機能へ。
  •  いつもの決まったところから“離れる”ことに意味がある(キュレーションを生み出すきっかけ)
  •  編集力でイノベーションを起こす。(キヤノン)
  •   キュレーションでブルーオーシャンを切り拓いた任天堂Wii
  •  再定義=既存の概念を捨てて、新たに定義し直す
  •  コトは人とモノと時間と空間の関係性の中から生まれる→ビカミング(becoming)の発想。対照的なのがビーイング(being)の発想
  • 外から見えるモノ的現実と内から見るコト的現実
  •  強い目的意識と問題意識を持つことが、キュレーションが生まれる始まり。
  •  「なぜ買われるのか?」を考える⇔「誰が買うのか?」
  •  書を捨て、井戸を掘ろう

 

モノが溢れた(ツーマッチ)な時代だからこそ、イナフが求められる。そこに、キュレーションが登場します。キュレーションとは、既存のモノを組み合わせることであり、新たな技術を生み出すことではありません。簡単なように見えますが、メーカーにとってはこの思考の転換が難しいようです。好例が、アップルとソニーの違い。まぁ、詳しいことは本書を読んでもらうとして、食とキュレーションついて考えたことを書きたいと思います。

 

食もツーマッチな市場です。それは、外食・中食・内食とも。例えば、農業にしても、問題は作るよりも売ること。だからこそ、ワタミやカゴメのような販路のある企業がこぞって参入するのだと思います。一方、単に農業で独立したいという人の場合は、始めるのは簡単(もちろん大変ですが)なものの、収益に結びつけるまでが大変なのです。政府が食の輸出に力を注ぐのも、日本国内では売り切れないからに他なりません。

 

では、新たな技術が求められているかと言えば、そうでもありません。ニーズを満たしたものは、ほぼ出尽くしています。だからこそ、食にもキュレーションが求められているのだと思います。

 

しかし、食の販売現場でキュレーションが起こっているかと言えば、決してそうとは言えません。その際たるものが、スーパー。どこスーパーにいっても、販売している商品はほぼ同じ。PB商品のみ異なると言っても、過言ではないでしょう。販売機会を最大化したいために、満遍なく商品を置いているのかもしれないですが、そこに企業(店舗)独自の編集を見出すことはできません。季節によって特売品は変わりますが、それはどのスーパーも同じ。これでは、キュレーションとは言えないでしょう。

 

一方、飲食店でも、スーパーほどではないにしても、高度なキュレーションが行われているとは言いがたいです。メニューに違いがあれど、どこに独自性があるのかを明確に伝える店舗は少ないように思えます。本書の表現を使えば、メニューを見れば、「外から見えるモノ的現実」の違いはわかりますが、「内から見えるコト的現実」はわかりません。これでは、一般的な小売店よりも来店ハードルの高い飲食店で、集客に悩むお店が多い理由も理解できます。

 

結局は顧客とのコミュニケーション不足が、その要因だと思います。顧客の声に耳を傾けないからこそ、「顧客の立場」に立った売場作り・メニュー開発ができないのです。そして、顧客への発信が不足しているからこそ、キュレーションを生み出した物語性・思想が伝わらないのです。そう考えると、コミュニケーションの最小化を目指すセルフサービスという業態は、モノ余りの時代には陳腐化するのではないでしょうか。少なくとも、これまでのセルフサービスでは、顧客からそっぽを向かれるか、数字(価格)でしか魅力を感じてもらえなくなるように思えます。

 

 

☆今日のまとめ☆

食の業界で、キュレーションが活用されているとは思えない。

その要因は、顧客とのコミュニケーション不足。

 

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☆    今日のこぼれ話☆

何気なく読んだ本ですが、学べる点は満載でした。

本との出会いはリアル(現実)にあることを、実感しました。

 

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