デパ地下に力を入れる百貨店、思ったほど売れないデパ地下総菜
先日取り上げたトヨタの記事の隣には、百貨店の記事が掲載されていました。そのタイトルは、「百貨店、攻めの改装。」アベノミクスの波に乗る百貨店は、鼻息が荒いようです。
大手百貨店が2013年度に店舗の改装投資を増やす。J・フロントリテイリングは12年度比25%増 の160億円、高島屋も同14%増の145億円を計画する。主に海外ブランドと食品の売り場を充実させる。株高効果や景気回復期待で、各社では高級ブラン ド品や価格が高めの「デパ地下」の食品が好調に売れている。広がり始めた高額消費を継続的に取り込む。(2013年5月30日付 日経新聞朝刊)
百貨店の景気はいいようです。だからこそ、改装によってこの好機を活かそうとしているのです。その主要武器は、高級ブランド。ただ、高級ブランドの利益率は1割程度と低いため、より利益率の高く、売上好調なデパ地下にも力を入れるようです。
以前アベノミクスとデパ地下の関係について、取り上げました。その時は、百貨店の売上増の波が、デパ地下にまで及んでいないと述べました。しかし、今回の日経記事によると、デパ地下の食品販売も好調とのこと。そこで、デパ地下に店舗を展開するロック・フィールドと柿安本店の既存店売上について、調べてみました。
【ロック・フィールドと柿安本店の2013年1月~4月既存店売上比較】
[RF1(ロック・フィールド)]4ヶ月連続前年割れ
[神戸コロッケ(ロック・フィールド)]1月のみ前年クリア
[融合・asia(ロック・フィールド)]4ヶ月連続の前年割れ
[三日坊主・いとはん(ロック・フィールド)]1・3月は前年クリア
[精肉事業(柿安本店)]1・3・4月は前年クリア
[総菜事業(柿安本店)]4ヶ月連続前年割れ
※ RF1は洋食・サラダ、神戸コロッケは揚げ物、融合・asiaは中華・エスニック、三日坊主・いとはんは和食
ロック・フィールド・柿安本店とも、各総菜ブランドは苦戦しています。特に、3月に盛り返したブランドも、4月には再度落ち込んでいます。
【ロック・フィールド・柿安本店の4月売上不振ブランド】
[RF1]99.9→98.1
[神戸コロッケ]98.4→95.1
[融合・asia]90.5→87.8
[三日坊主・いとはん]101.1→95.2
[柿安・総菜]99.5→91.49
※ 既存店売上の前年比比較。3月→4月。
総菜の売上が4月落ち込んだのに対し、精肉は拡大しています。アベノミクス効果は、総菜ではなく精肉に働いたことが、わかるかと思います。
そこで改めて、記事に目をやると、次のような説明を発見しました。
百貨店の食品の中でも価格が高めの商品は年明け以降、売れ行きが良くなっている。(同日付、日経新聞朝刊)
つまり、総菜は価格が低めだから売れ行きが悪く、一方で精肉は価格が高めだから売れ行きが良いのです。思えば、デパ地下でもより混雑しているのは、ケーキや菓子などのスイーツ売場。一方、パンや総菜・生鮮売場は、それほど混んでいません。これまで行列に並ばないと購入できなかった、阪急うめだ本店のル・ブーランジェ・ドゥ・モンジュのバケットが、並ばずとも買えたことが、物語っているのだと思います。
【デパ地下に見えるアベノミクスの明暗】
[売上好調]価格が高めの商材=スイーツや精肉など
[売上不調]価格が低めの商材=パンや総菜など
デパ地下の総菜ですら、アベノミクスの効果を享受出来ていないことを考えると、スーパーの食材や総菜は、販売に苦戦しているのだと思います。
☆今日のまとめ☆
アベノミクス効果を享受しているのは、デパ地下の高額商品。
例えば、スイーツや精肉など。
一方、パンや総菜は、効果がないどころか、売上は低迷しているようだ。
マーケティング・ビジネスのヒントに関するブログも書いています
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
本文でも触れた通り、モンジュのバケットを早速購入してみました。
食べた感想は、まぁまぁ美味しい。
私にとっては、「すっごく」ではなく「まぁまぁ」でした。
行列に並んで買うと、その分期待が膨らみますね。
この期待がはじけたから、行列が消滅したのかもしれません。
それとも、たまたまあの土曜日だけかな。