阪神百貨店梅田店がソフトクリームを99円で売る目的とは?
by courtesy of motoshi ohmori
※阪神のソフトクリームとは関係がありません。
阪神百貨店梅田店のデパ地下には、スナックパークという立ち食いのできるエリアがあります。百貨店で立ち食いとはかなり異色であり、実際全国の百貨店の中でも立ち食いができる場所があるのは、阪神百貨店梅田店だけのようです。立ち食いだけあって、値段がかなり安いのも特徴。だから、夕方近くになると、小腹の空いた人や夕食を食べる人で賑わっています。そして、その先にもう一つの賑わいを見つけました。
その場所では、以前デニッシュバーが販売されていました。その後、デニッシュバーの店舗は撤退し、カルビーのかっぱえびせんのギフト商品が期間限定で販売されていました。これは、所謂ポップアップショップで、期間限定の店舗。そして、今回発見したのは、期間限定店舗ではなく、新たな常設店舗なのですが、その価格を見てびっくりしました。それは、
ソフトドリンク 99円~
ソフトクリーム 99円~
という安さなのです。お店の名前はアオアクア(aoakuA)。初めて見るブランドです。どこがやっているのかわかりませんが、この立地でこの価格にできるのは、阪神百貨店直営だからではないでしょうか。阪急百貨店うめだ本店でパンを105円で売る阪急ベーカリーと同じパターンです。
このような低価格店を導入したのは、阪神百貨店梅田店の業績が悪いからに他なりません。低価格店を導入して、客数を増やすことで売上を伸ばそうというのが目的です。実際、8月の既存店売上高は、87.5%。デパ地下だけの売上ではなく、梅田店全体での売上ですが、恐らくデパ地下が一番足を引っ張っているのではないでしょうか。そう考えるのは、百貨店の各商品のうち、アベノミクス効果が一番効いていないのが食料品だからに他なりません。
日本百貨店協会の8月の商品別既存店売上高(PDFに似たファイルです)を見ると、食料品は辛うじて0.1%増になっていることがわかります。マイナスなのは、商品券とその他だけ。ちなみに、総額では2.7%増なので、食料品が足を引っ張っていることがわかります。同じ傾向が阪神梅田店でも起こっているとすれば、デパ地下の売上が大きく落ちていると予測できます。
ソフトクリームを99円で売ることには、もう一つ大きな目的があります。それは、
差別化
です。隣接する阪急にもソフトクリームが常設で販売されているのですが、その価格は315円ほど。阪神は99円で販売することで、阪急よりも庶民的なイメージを消費者に抱かせることができ、差別化できるのです。さらに、同じく梅田にある大丸・JR大阪三越伊勢丹は、オーソドックスな百貨店で、どちらかというと阪急に近いタイプ。阪神が庶民性をアピールすれば、梅田の百貨店すべてと差別化できることになります。
さらに言えば、立ち食いエリア同様、ソフトクリームを99円で販売する百貨店は、日本広しと言えども、梅田の阪神しかないかもしれません。
☆今日のまとめ☆
阪神百貨店梅田店でソフトクリームを99円で販売するのは、客数を増やすことで低迷している売上をテコ入れためである。
庶民的な点で、梅田にあるその他百貨店と差別化もできる。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
ちなみに、99円なのはミニソフトクリームです。
通常のソフトクリームは、150円。
それでも、阪急の半額ですね。