蟻地獄に落ちそうなJR大阪三越伊勢丹の食料品売場

JR大阪三越伊勢丹のロゴ

 

※     「アメリカ経済事情」に関しては、サイト「ウォール・ストリート・ジャーナルから見た起業のヒント」にて更新しております。今後、ryotarotakao.comでは、メルマガには掲載しない内容を執筆する予定です。

 

昨日、改装オープン後の阪急うめだ本店を見ようと、梅田に行きました。阪急の集客ぶりはもちろんすごかったのですが、その後に足を運んだJR大阪三越伊勢丹で見たこと、考えたことを、お伝えしたいと思います。

 

JR大阪三越伊勢丹に着いたのは、20時ぐらいでしょうか。すぐにデパ地下に行きました。この時間と言えば、値引きが始まる頃で、デパ地下に人が多い時間帯でもあります。それなのに、とても人が少ない。JR大阪三越伊勢丹の前に阪急うめだ本店に行ったこともあり、阪急の差は歴然としていました。もちろん、改装オープン景気に沸く阪急と比べるのは、かわいそうなのですが、それにしても人が少ないというのが私の第一印象でもあります。(バイアスの問題もあります)

 

その頃、一番人だかりがしていたのは、入り口近くのパン屋さん。パン屋さんで試食が出来る機会はそうないのですが、そこのパン屋さんでは、3種類ほどのパンが試食できました。試食が集客に寄与したのか、と思ったのですが、実際はそうではなかったのです。なんと、人を呼び込んだのは、その値引き幅。なんと、50%引きで販売されていました。パンの半額販売は、梅田のデパ地下で見たことがありません。試食していましたが、決して美味しくないことはなく、どちらかというと美味しいパンかと思います。メインのパンが、菓子パンなどの万人受けするパンではなく、どちらかというと通好みのパンでしょうか。通常、値引き対象になりにくいパンなのです。それが、半額とあって、かなりの人が詰めかけていました。

 

実は、閉店前の半額販売をやっているのは、このパン屋さんだけではありません。その後、惣菜売場を回遊してわかったのですが、比較的多くのお店で「半額」「50%引き」の掲示をしていました。梅田のデパ地下で、半額販売をする惣菜店はさほど多くはありません。あったとしても、閉店10分前ぐらいに、残り少ない商品をたたき売りするぐらいです。JR大阪三越伊勢丹の閉店前セールは、これだけでもかなり太っ腹なのですが、それでも混み合っているという感じは全くなし。集客を目指した値引きが、成功していないということになります。

 

そのパン屋さんを後に、洋食の惣菜売場へ。そこでも、印象的な光景を目にしました。それは、ショーケース内の商品が少ないということです。RF1などで見られるような大皿に盛られたサラダやメインディッシュの量が、通常よりも少なく、売場自体がとても貧弱に見えました。これは、大皿惣菜だけにとどまらず、プラスチック容器に小分けしてある商品でも、少なく感じるお店が多かったように思えます。ボリューム感が小さいために、本当の美味しさが伝わりにくく、売上に悪影響を及ぼしているのではないでしょうか。

 

あくまで推測ですが、ショーケース内の商品が少なくなったのは、ロスを削減する目的で行われているのかもしれません。ロスが増えるのは、もちろん売れ行きが悪いこと、集客が悪いことに起因します。利益確保のために絞った知恵が、逆に売場を貧弱にさせ、売上をさらに悪化させているのではないでしょうか。

 

その後、グロッサリーコーナーに行ったのですが、そこでもあることを発見しました。グロッサリーコーナーで試食をしたのですが、試食した私に対して、何のコミュニケーションもなかったのです。試食商品の前に、店員がいるにもかかわらず。これには驚きました。グロッサリーコーナーも、惣菜売場と違わずお客さんは少ないので、試食しているのは私だけ。セールストークを承知で恐る恐る試食したのですが、結局何の会話もなくその場を立ち去ることになりました。目の前の店員さんが行なっていたのは、何かしら集計したものを紙に記入している作業。恐らく、閉店時間に近くなったので、売り上げ数量や売れ行きの考察などを、レポートに書いていたのだと思います。店員さんの肩を持てば、残業代を少なくするために、アイドルタイムにペーパーワークを行ったのかもしれません。でも、実際には目の前にお客さんがいたのです。結局、コスト削減のために行ったことが、逆に販売機会を失うことになっているのではないでしょうか。また、売上が悪いことが、店員のモラル低下を招いていることも、否定できないかと思います。

 

お客さんが少ない、売上が悪い中で利益を得ようとすれば、知恵を絞ることになります。JR大阪三越伊勢丹が採ったのは、値下げ。それでもお客さんが増えないと、今度はコスト削減に動きます。しかし、そのコスト削減も、お店のクオリティを下げることにつなげれば、集客数が更に少なくなってしまいます。また、お客さんが少ない、売上が悪いことは、お店の雰囲気にも悪影響を及ぼし、店員のモラル低下を招きます。そして、さらに、売上が悪くなる。JR大阪三越伊勢丹は、この悪いスパイラルに陥っているのではないでしょうか。この蟻地獄から抜け出すための別の施策を考えなければ、働く人だけでなく来店客もつらく感じる店舗になってしまうかもしれません。

 

☆今日のまとめ☆

JR大阪三越伊勢丹は、集客難・売上不振から蟻地獄に入っているのではないか。

 

 

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☆    今日のこぼれ話☆

久しぶりにJR大阪三越伊勢丹に行ったのですが、とても気の毒に感じました。

一生懸命頑張っている店員さんもいたので、なおさらです。

富裕層向けの差別化も、今のところ阪急には負けています。

本当に頑張って欲しいです。

 

 

☆アニキ金本知憲の言葉☆

「今日できることを確実にやっておこう」(『覚悟のすすめ』より)

※『覚悟のすすめ』は、自分に弱い気持ちが出てきた時に、大きな力を与えてくれる本です。努力して結果を残した金本だからこそ、その言葉には重みがあります。

 

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