【備忘録】日経POS情報セミナー、ウィルキンソン炭酸水の売上上昇も喜べない理由

ウィルキンソン タンサン 500ml PET x 24by courtesy of Shinji

 

従来、炭酸水は、酒類の割材として販売されていました。しかし、今では割材というよりも、清涼飲料水という部類に入るでしょうか。そのまま飲むという消費行動が、完全に根付きました。

 

その牽引役になったのが、アサヒ飲料のウィルキンソン炭酸水。日経POSデータでも、千人当りの金額が上昇し、売れていることがわかります。売上だけ見ると、万々歳なのですが、実際そうではありません。というのも、

 

特売に依存した売上増だから

 

です。

商品力は、価格力とブランド力に因数分解されます。

 

【商品力=f(価格力、ブランド力)】

[価格力]価格を下げれば売上はどの程度上昇するか?価格は下落していないか?

[ブランド力]特売がなくても売れるか?特売比率は減少傾向か?

 

ウィルキンソン炭酸水は、特売比率を上昇させることにより、売上が伸びているのです。つまり、売上増は、値段を下げた結果なのです。よって、売上数量は大きく伸びていますが、金額の伸びは相対的に小さくなります。このまま売上金額を伸ばそうと思えば、価格を下げなければなりません。ブランド力が小さいのが、その要因です。

 

一方、特売比率が上がらずとも、千人当りの金額が伸びているのが、PB炭酸水。今では、飲料用炭酸水市場を牽引しているのが、このPB炭酸水なのです。ではなぜ、ウィルキンソン炭酸水と違って、特売をさほどしなくても売れるのか?

 

【PB炭酸水が特売比率の低い中で売上を伸ばす理由】

[1]差別化が難しく、価格で選ばれやすいから。

[2]地味な商品カテゴリーに分類されるため、ブランドで選ぶ人が少ないから。

 

つまり、強力なブランドの商品が存在せず、各商品ごとの違いがわかりにくいので、より低価格なPB炭酸水が売上を伸ばしていることがわかります。これを一般化すれば、PB化しやすい商品カテゴリーになり、このカテゴリーに含まれる商品は、早急に差別化をしなければ、PBに駆逐されかねません。

 

特に、消費増税後に実質的な可処分所得が減少すれば、低価格のPBがシェアを伸ばすカテゴリーは増えていくことでしょう。PBの販売シェアが伸びれば、小売店にとって、特に目立つ場所で特売をする必要が無くなるので、売場効率が上がるというメリットがあります。一方のメーカーは、売場確保がさらに難しくなり、寡占化が進むとともに、売場以外での販促が増えるかもしれません。

 

☆今日のまとめ☆

ウィルキンソン炭酸水が売上を伸ばしたのは、特売比率を高め、価格を下げたからであり、ブランド力のためではない。

一方で、低価格を武器に特売に頼らないPB炭酸水が、売上を伸ばしている。

強力なブランドが存在せず、差別化の難しいカテゴリーは、PB商品が躍進する可能性は高いだろう。

 

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☆  今日のこぼれ話☆

私は、割材として炭酸水を買うことが多いのですが、その時はほぼPBですね。

安さと使いやすさ(容量など)が、その理由です。

 

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