吉野家の牛すき鍋膳

 

吉野家の12月既存店売上が、相当良かったようです。

 

 牛丼大手3社が6日発表した2013年12月の既存店売上高は商品・価格戦略で明暗が分かれた。高単価の鍋商品が好調だった吉野家ホールディングスの「吉野家」は前年同月比16%増。一方、牛丼の最安値セールをしたゼンショーホールディングスの「すき家」は5%減だった。消費者は多少値段が高くても、目新しい商品にひきつけられたようだ。(2014年1月7日付 日経新聞朝刊)

 

今回は吉野家のみを取り上げたいのですが、まずはその数字をシンプルに分析したいと思います。

 

吉野家の12月既存店売上

[売上金額]プラス16%→今期(2013年3月~)最高

[客数]プラス18%→今期三番目の高さ

[客単価]マイナス1.7%→3月以来最高

 

吉野家は4月下旬に牛丼の大幅値下げを断行。その結果既存店売上・客数がプラスで推移するようになりました。一方で、客単価は大きく落ちこみました。値下げ後、そのサプライズ効果は薄まり、売上・客数の増加もマイルドになったのですが、12月にその勢いが回復したことになります。売上増加率だけ見れば、値下げ後で最高なので、値上げよりも新商品のインパクトが大きかったということです。下落し続けた客単価も、その減少率が大きく改善。値下げ後90%前半での推移が続きましたが、大きくジャンプアップしたことがわかります。この要因は、新商品である牛すき鍋膳の発売に他なりません。

 

よって、牛すき鍋膳が売れたから、吉野家の既存店売上が大きく増加したと捉えられるのですが、そう単純でもないのです。というのも、吉野家は、牛丼の値下げ後、牛すき鍋膳を発売する以前にも単価の高い新商品を投入していたからです。低価格の牛丼で集客し、高単価商品に誘導することで、客単価を引き上げようという戦略を取ったわけですが、功を奏しませんでした。上手くいった牛すき鍋膳と何が違ったのか。その理由を考えたいと思います。

 

【牛すき鍋膳が売れて牛カルビ丼が思ったほど売れなかった理由】

[牛すき鍋膳]他業態(例えばファミレス)のメニューとの比較で、コスパが高いから

[牛カルビ丼]吉野家の牛丼との比較で、コスパがさほど高くないから

 

牛カルビ丼は、具にこだわったものの、牛丼の進化系であることは間違いありません。よって、吉野家の280円牛丼と比較されるわけです。その価格は並盛480円であり、牛丼ならば大盛を食べても、お釣りが出ます。牛丼進化系の値段としては、高く感じる人は多いのではないでしょうか。そのコスパの低さが、売上の伸び悩みにつながったのだと思います。

 

一方の牛すき鍋膳は、吉野家や同業態の他牛丼チェーンにはないメニュー。比較対象にされるのは、ファミレスや定食チェーンの鍋定食になるでしょうか。280円の牛丼並盛とは、直接比較されることはありません。ちなみに、定食チェーンであるやよい軒の牛すき定食は890円。吉野家の牛すき鍋膳の価格が580円なので、牛すき鍋膳の安さは際立っており、そのコスパの高さは明確です。280円の牛丼と比較されなかったからこそ、売れたのではないでしょうか。

 

【牛すき鍋膳と牛カルビ丼の売れ行き要因】

【売れた牛すき鍋膳】280円の牛丼と比較されなかったから

【売れなかった牛カルビ丼】280円の牛丼と比較されたから

 

他業態の高価格商品を競合商品とみなし、それよりは低価格なものの、自社の既存品よりは単価の高い商品を導入することで、客単価を引き上げる。この手法に成功したのが、吉野家なのではないでしょうか。同様の成功事例は、食パンにもあります。そう、セブンの金の食パンです。

 

【250円の金の食パンが売れた理由】

【売れた金の食パン】低価格食パンと比較されなかったから(パン専門店の食パンと比較されたから)

【売れなかった他の高単価食パン】低価格食パンと比較されたから

 

他業態の高価格商品を競合に据えることこそが、売れる高単価商品の秘訣ではないでしょうか。

 

☆今日のまとめ☆

金の食パン同様、吉野家の牛すき鍋膳が売れた要因は、ファミレスや定食チェーンのすき焼き定食を競合に据えたからではないか。

 

アメリカビジネスの最新事情メルマガはこちら

ワインを知れば、おもしろい

WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません

日々気づいた雑感はTwitterで発信中

すいません、Facebookはほぼ引退しました

年5%で資産運用する方法はこちら

 

☆  今日のこぼれ話☆

こちらのコメントを見ると、牛すき鍋膳は相当売れていることがわかります。

食べてみたくなりました。