居酒屋版LCCの吉呑みは無視してはいけない
吉野家の居酒屋業態・吉呑みに関する記事が、ヤフーニュースに掲載されていました。
牛丼の吉野家が「吉呑み」(よしのみ)という居酒屋を始めました。ほとんど遊休スペースとなっていた店舗の2階部分を活用する取り組みです。吉野家のコン セプト「うまい、やすい、はやい」は居酒屋でも通用するのか。同僚と2人で東京駅近くの店舗に行き、潜入取材してきました。(2014年8月23日 withnews)
日経新聞でも報じられていたので、知っていましたが、単に吉野家が居酒屋メニューを提供したというだけではありません。実は、吉呑み以前にも、吉野家は生ビールなど居酒屋メニューを提供していました。ただし、その時のメニューは牛丼店のメニューのままで、単に居酒屋利用を提案したにすぎません。一方の吉呑みは、居酒屋としての特別メニューも投入し、しかもかなり本格的なようなのです。さらに、格安ときます。
その理由は、吉野家はグループで牛丼チェーン以外にも所有しており、居酒屋メニューの仕入れで規模の経済が働くからです。上記ニュースによると、刺し身は寿司の京樽、牛すじ煮込みはステーキのどん経由で食材を仕入れているようです。既存食材を活用でき、しかも新たに仕入先を増やさないで済むので、コストはそう掛かりません。だから、低価格での提供が可能となるのです。
しかも、吉呑みは、夕方から空席が目立つ吉野家店舗の二階を利用。よって、場所代も新たに掛かりません。これも、低価格提供が可能な要因です。これはまさに、低コストで低価格提供を可能にするLCCと同じビジネスモデルです。
この居酒屋版LCC,きっと居酒屋業界だけにとどまらないのではないでしょうか。つまり、経営資源を豊富に持つ大企業が、既存の資源を活用することで低コスト・低価格提供を可能にし、LCCとして全く別の業界に参入する可能性があるわけです。
例えば、ファストフードやカフェなどの軽食を提供する飲食業態には、コンビニが参入することが考えられます。もうお分かりですね。コンビニは、コーヒーを既に持っておりますし、スイーツも販売しています。コンビニにイートインスペースを作れば、すぐに参入できるのです。コンビニは、軽食イートインをコンビニへの集客策として考えれば、既存のファストフードやカフェほど利益を取る必要はありません。既存事業者よりも低価格で提供することは、十分可能なのです。
このように考えると、あらゆる業界で大企業による○○版LCCが起こる可能性があります。吉呑みを単に居酒屋業界でのことと考えるのは、禁物でしょう。
☆今日のまとめ☆
吉呑みは、大企業が既存リソースを活用して低コスト・低価格提供する居酒屋版LCCと言えるだろう。
他の業界でも、同様の○○版LCCが生まれる可能性は高い。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
吉呑みは、関西では十三にあるようです。
とても興味ありますが、これだけのために十三に行く気にはなれませんね。