ゼストキャンティーナの新メニューとアメイズの経営戦略(その2)
前回に引き続き、ビジネスホテルを運営するアメイズを取り上げようと思います。日経MJによると、アメイズの社長は、ファミレスのジョイフル創業者。ただし、ファミレスを始めた後に、一からホテルチェーンを作ったのではなく、買収によりホテルビジネスに参入したようです。買収当時はジョイフルの子会社でしたが、ジョイフルの業績悪化と事業継承に伴い、ジョイフル創業者の穴見保雄さんが個人で買い取ったようです。
九州を中心に「ホテル AZ」を郊外に展開するアメイズ。ファミリーレストラン「ジョイフル」を創業した穴見保雄氏が社長を務め、ローコスト運営や郊外出 店などレストラン経営で培ったノウハウで市場開拓を進める。穴見社長は「競合相手が来ない場所に作るから、成長余地は大きい」と自信を見せる。(2015年3月2日付 日経MJ)
このインタビュー記事で面白いのは、アメイズが大手の参入がまず考えられない辺境地で商売をしているということです。これが最大の差別化要素と言っても過言ではなりません。もちろん、客室パターンの集約や各種設備の廃止など、低コスト運営による低価格でも差別化していますが、低価格のビジネスホテルチェーンは、特に珍しいわけではありません。田舎に店舗を増やしている点が、最大の差別化なのです。
田舎にホテルと聞けば、本当に需要はあるのかは気になるところですが、それが意外にもあるようなのです。例えば、
自動車で出張する会社員の出張需要
大都市就職組の帰省需要
などの需要があるようです。そう言えば、駅前ならまだしも、郊外にはそう多くのビジネスホテルはありません。この緩い競争環境では、「安さ」「上場企業の安心感」を備え持つアメイズは強者になりえます。ランチャスター戦略の地域戦略そのものですね。強者がまず参入しない場所ならば、弱者でも十分勝てるというやつです。この場合、上場企業のアメイズは弱者とは言いがたいですが。
ちなみに、アメイズの業績ですが、増収減益。営業利益・経常利益ではマイナスになっていますが、その要因は積極出店による減価償却・支払利息の増加。売上は上方修正しているので、既存店売上は好調なのでしょう。また、低価格ファミレスのジョイフルで培った低コスト運営は、アメイズにも引き継がれており、そのノウハウが、アベノミクスの恩恵が依然薄い地方・辺境地での成功を後押ししています。
このアメイズ、その競争環境はゼストキャンティーナと似ていると言えないでしょうか。店舗があるのは、地方・辺境地と東京・都心部と大きく違いますが、いずれの競争環境は市場の小ささゆえに緩やかなもの。(ゼストキャンティーナは、他業態との競争にも晒されていますが)辺境地や市場の小ささを聞くと、一見参入する旨みはないと思われますが、大手の参入が考えられにくい分、逆に勝算は高いのかもしれません。
☆今日のまとめ☆
業績は対照的なアメイズとゼストキャンティーナだが、その緩やかな競争環境は似ている。
辺境地立地や市場の小ささは、一見旨みの小さな市場に見えるが、大手の参入可能性が低い分、逆に勝算は高いかもしれない。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
実は、アメイズを今回初めて知りました。
それにしても、60代・70代の上場創業社長は、本当に面白い。
ファミレスの次は、ビジネスホテルですかぁ。
なかなか出来ないですよ。
その穴見社長は、80歳手前。
まだまだ元気そうです。