ユニクロの既存店売上を支えるのは、コンシューマーX?
ユニクロの快進撃は止まりません。
ファーストリテイリングが7日発表したカジュアル衣料品店「ユニクロ」の4月の国内既存店売上高は前年同月比19・3%増だった。前年実績を上回るのは2カ月ぶりで、2割近い増収幅は2014年9月以来、7カ月ぶり。機能性肌着「エアリズム」など夏物商品の販売が好調で、客数と客単価がともに伸びた。(2015年5月8日付 日経新聞朝刊)
そろそろ4月の既存店売上高が発表される時期です。既存店売上高は、実店舗型小売にとって成績表のようなもの。その4月既存店売上高において、ユニクロは19.3%増を記録しました。因数分解すると、
既存店売上高19.3%増=客数6.7%増X客単価11.8%
となります。値上げ効果により客単価は大きく上昇しているものの、その悪影響として懸念される客数の減少が起こるどころか、増加しています。スゴイの一言。
値上げしても客数が伸びる理由として考えられるのは、
値上げしてもまだコスパが高いから
というのが一番でしょうか。価格だけを見れば、ユニクロよりも安いチェーンや通販サイトは多くあります。ただし、デザイン性や機能とのバランスで言えば、ユニクロ以上のブランドはないように思えます。あくまで私の印象ですが。
また、
毎週定期的に新聞折込チラシを入れて、ブランド接触機会が一番多いアパレルブランドだから
という理由も考えられます。折り込みチラシ・ポスティングチラシを毎日集計しているのですが、アパレル企業・アパレル小売でチラシが入るのは、ほぼユニクロのみ。百貨店もありますが、百貨店の場合はアパレルだけではなく物産展やデパ地下がチラシのメインの時もあります。また、折り込み頻度も、百貨店が隔週・不定期なのに対し、ユニクロは毎週金曜日。曜日まで指定されており、毎週金曜日の朝刊でユニクロのチラシを見るのは、毎週の楽しみになっている人も多いのではないでしょうか。楽しみまでなれば、ブランド・ロイヤルティが高まっていることの証左です。定期的に入れる折り込みチラシの効果は、ユニクロを見る限り、まだまだありそうです。
理由はともあれ、ユニクロは値上げしたのにも関わらず客数は依然増えているのですが、もしかしたらアパレル商品に対する消費者ニーズに変化が起こっているのかもしれません。そう感じたのは、コンシューマーXに関する日経の連載記事を読んだから。
「めっちゃ楽しい」「テンション上がりまくり」。埋め立て地に広がる公園に歓声が響く。スマートフォン(スマホ)を自分に向けて掲げ、シャッターを切る女 性たち。色とりどりの粉をかけられながら数キロメートルのコースを進む有料イベント「カラーミーラッド」大阪大会の光景だ。(2015年5月8日付 日経新聞朝刊)
記事によると、今の若者は、仲間との楽しい時間を過ごすことに幸せを感じるようです。だから、仲間が多いに越したことはない。LINEで常時繋がろうとするのは、仲間・友達とのつながりが一番優先されるからです。モノの購入よりも、仲間との価値の共創に力を注ぐことになります。一方で、見えや地位を隣人と競う従来型の消費は息を潜めることになります。友人が持っていない高級ブランドが欲しいとは思わず、友人とブランドを共有したいとなるのです。
このコンシューマーXの消費スタイルに対応するブランドこそ、ユニクロではないでしょうか。ユニクロは近くに店舗があり、価格も手が届く範囲。一方、百貨店で販売されるブランドは、そう頻繁に買えるものではありません。仲間と共有するには、ユニクロはもってこいなのです。
さらに、ユニクロの服はパーツして、コーディネートが楽しめます。最近、特に力を入れているのが、レディース商品。コンシューマーXのレディース商品の需要が、他のレディースブランドからユニクロにシフトしているからこそ、客数が増えているのかもしれません。そう言えば、最近、元気なレディースブランドを聞きませんね。
ならば、なぜ百貨店は好調なのか?確実なのはインバウンド需要を謳歌しているから。そして、推測するのは、バブルを享受した50代に経済的な余裕が生まれ、百貨店の利用を増やしているから。増加するシニア層の需要獲得もある。
それにしても、このユニクロの快進撃、いつまで続くのでしょうか。値上げしても客数増えるのだから、もう敵なし。
☆今日のまとめ☆
ユニクロの既存店売上が絶好調なのは、値上げしても客数が伸びているから。
それは、仲間との共有に価値を見出すコンシューマーXにとって、コスパの高いユニクロは便利なブランドだからではないか。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
鼻詰まりはだいぶマシになってきましたが、次は喉。
久しぶりに本格的な風邪を引いたみたいです。