グルメシティのチラシが示すのはダイエーの方針転換?
今日のグルメシティのチラシには驚きました。木曜日は毎週チラシが入る曜日なのですが、今日のチラシは普通とは少し違います。それは、
価格訴求型だけではない
という点です。
グルメシティに限らず、今はどのスーパーも価格訴求。昨年の秋から始まった値下げ競争が、それを物語っています。しかし、その効果は今ひとつのようです。例えば、最近の日経新聞に、値下げしても儲からないスーパーの記事として、次のようなものがありました。
総菜やPB商品を軸とする大手コンビニ勢の攻勢を受け、苦戦を強いられているのがスーパー各社。ダイエーは約3700品目にのぼる大規模な値下げに踏み切ったが、客足の回復が遅れ、3~11月期は連続で経常赤字。マルエツも8割近い経常減益になった。(2013年1月12日日経新聞朝刊より)
ダイエーが9日発表した2012年3~11月期連結決算は経常損益が52億円の赤字(前年同期は22億円の赤字)だった。消費者の節約志向の高まりを受け、スーパー間で価格競争が激化した。食品を開拓するコンビニエンスストアとの競合も強まった。(2013年1月10日日経新聞朝刊より)
日本チェーンストア協会がまとめた11月の全国スーパー売上高は1兆299億円と、既存店ベースで前年同月比0・5%減った。前年割れは9カ月連続。気温低下で衣料品販売は好調だったが、食料品が落ち込んだ。各社が打ち出した値下げについては「(消費喚起など)前向きな動きにつながっていない可能性がある」(同協会)とした。(2012年12月24日日経MJより)
値下げしても、それが客数増・買い上げ点数増に繋がっていないようです。考えてみれば、そうでしょう。だって、人口が減っているんだから、安くなったからって食べる量は増えるわけではありません。せいぜい、購入先を変える程度。どうしても欲しいけど、高くて買えない商品なら、値下げしたら効果はありますが、今のスーパーにはそういう商品はほとんどありません。
今日のグルメシティのチラシを見ると、価格訴求一辺倒からの脱却を図ろうとする姿がわかります。その違いをまとめると、次のようになります。
【1/17のグルメシティチラシの変化点】
[1] 旬の食材を大きく掲載
[2] 美味しそうなメニューも提案
[3] 簡便性の高い生鮮加工品を掲載
1について、今回のチラシでは、大きく「たら」が取り上げられています。「旬のたら」というタイトルで、「旬の食材をたべてよ」と訴えています。さらに、「さかなを食べよう!プロジェクト」というタイトルをかぶせることで、特に子供を持つ母親をターゲットにしていることがわかります。
2については、そのたらを使ったメニューが掲載されています。そのメニューとは、
たらのポンファン
たらの竜田揚げ
海鮮スープのトマト鍋
の3つ。レシピまでは付いていないのですが、そのメニューに使う他の食材も一緒に掲載することで、買い上げ点数の引き上げを目指しています。(紙面の関係上、レシピまでの掲載は難しいと思いますので、仕方ないかと。)
3は、たらから魚つながりで、ファストフィッシュの提案。骨とり魚や、レンジで調理できる魚介類とのセットが掲載されています。忙しい子育て中の母親だけでなく、仕事を持つ女性も、そのターゲットなのでしょう。
今回のチラシを見ると、つい
美味しそうだから、たらでも食べようか。
フライパンで焼くだけで料理ができるなら、便利かも。
という気分になるのです。チラシを見るまで、たらやその他魚料理のことを全く考えていなくても。つまり、
需要を作り出すチラシ
ということができます。これまでの価格訴求型では、
安いから今買っておこう
になり、需要の先食いにしかなりません。この違いは、かなり大きいのではないでしょうか。
価格訴求一辺倒から抜けだそうとする姿は、グルメシティの店頭からもわかっていました。それは、秋の値下げ商品のうち、一部商品を元に戻しているからです。恐らく、値下げしても、あまり売上数量が伸びなかったからでしょう。
で、このやり方がうまくいくかどうかは、わかりません。ただ、メニュー提案や品質訴求型PBに力を入れるヤオコーが、スーパー業界で唯一(たぶん)既存店売上高が前年クリアしていることを考えると、収益性をある程度引き上げることになるのではないでしょうか。「もう安いだけでは買わない。」という消費者行動が、ひしひしとわかります。
☆ 今日のまとめ☆
今日のグルメシティのチラシに大きな変化あり。
それは、価格訴求一辺倒から脱却した点である。
旬の食材をメニュー付きで紹介するだけでなく、簡便性の高い生鮮加工品も掲載している。
メニュー提案や品質重視PBに力を入れるヤオコーを見る限り、この方針転換は収益性の向上をもたらすのではないか。
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☆ 今日のこぼれ話☆
近々、このサイト・ブログを大きく変えようかと思います。
リニューアルというよりも、オーバーホールに近いです。
大きく変えることで、自分自身の収益性を高めないといけないからです。
☆サイゼリア創業者 正垣泰彦の言葉☆
「モノが売れなくなったという人がいますが、そんなことがありません。ニーズが移り変わるだけで、従来の売り方にこだわっているところが、徐々に売上を減らしていくだけのことです。」
(『おいしいから売れるのではない 売れているから美味しい料理だ』より)
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