【343号】大手消費財メーカーの広告支出増、その勝算はいかに?

◎2010年4月13日11:37の最新ニュース
U.S. Pushes Iran Sanctions, But China Holds Back
米中首脳は、核開発に対するイランへの圧力に対しては合意したが、

その方法は大きく異なる。

◎本日のニュース

1)見出し

Consumer-Goods Makers Pour Out Ads

2)要約

P&Gやキンバリークラークなどの大手消費財メーカー各社は、
広告支出を昨対比で増やす方針という。

この理由は、景気の回復基調が強まるなか、

節約疲れを起こしている消費者の購買を促したいからである。

広告では、割安なPB商品と差別化するために、
「新」や「改良」をアピールしている。

また、メーカーが広告費を増やしている要因として、
市場シェアよりも広告シェアを増やせば、
市場シェアの拡大につながるという過去の成功事例がある。

ただし一方で、金融危機に始まった景気後退によって、
消費者は節約するという習慣を身につけ、特に消費財については、
PBなどの割安品で満足しているというデータもあるため、
メーカーによる広告強化が売上増加につながるかは不明である。

3)キーとなる英文
As wary Americans start to crack open their wallets,
household-goods makers like Procter & Gamble Co.,
Colgate-Palmolive Co., Kimberly-Clark Corp. and Clorox
Co. are cranking up their advertising, hoping to coax
consumers farther out of their shells.

4)キーとなる英文の和訳
消費に慎重なアメリカ人が財布の紐を緩め始めるにつれて、
P&G社、コルゲートパルモリーブ社、キンバリークラーク社、
クロロックス社などの消費財メーカーは、消費者を節約という
殻から引き出すことを目指して、広告費を増やしている。

3)気になる単語・表現と解説
(気になる単語・表現)
wary    形容詞     用心深い
crack open      他動詞句    ~をポンと開ける
crank up        他動詞句    ~を上げる
coax A out of B 他動詞     AをBからうまく引き出す

(解説)
なし

5)今日のヒント
記事の中に興味深いデータがある。

それは、消費財全体の売上は微増しているものの、
それ以上にPB商品の売上が伸びているというデータである。

その増加率は、全体が0.2%、PB商品が5.4%。

このデータからわかることは、消費者は、
NBよりもPBの消費財を好んで購入していることである。

それでは、なぜPB商品を購入するのか?

それは、もちろん割安な値段という理由が大きいが、
NB商品と消費財の効用(汚れの落ちやすさや使いやすさなど)
がそれほど変わらないからではないだろうか。

つまり、現状のNB商品にPB商品よりも多くのお金を
支払うだけのベネフィットを感じないからである。

記事にもあるが、金融危機からの景気後退によって、
消費者は節約という新しい習慣を身につけた。

この節約という習慣は、景気回復によって少しは
和らぐだろうが、決して無くならないだろう。

ならば、メーカーは、消費者のこの新しい習慣を
考慮に入れた宣伝広告をする必要がある。

単価を上げたいならば、PB商品と比較するのではなく、
モノ・サービスも含めた他の動揺のベネフィット比べて、
どうお得かをアピールする必要があるだろう。

例えば、これまでの商品よりも汚れが落ちやすい洗剤を売りたいならば、
◎クリーニングに出す必要がなくなり、クリーニング代が節約できる。
◎使用する水の量が減り、水道代が節約できる。
◎手洗いする必要がなく、手間や時間を節約できる。
などを強調する。

特に、共働きなどの生活環境の変化、ネットなどの
娯楽環境の変化によって、時間の価値が今後さらに高まると
予測されるので、「いかに手間がかからないか」
「どれほど時間が短くなるか」を訴えれば、消費者は
価格で表れない価値を見出してくれるだろう。

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《今回のヒントのまとめ》
▼消費財メーカーは、景気回復による需要拡大を期待して、
広告費用を拡大している。

▼ただし、消費者は、金融危機後の景気後退によって、
節約という新しい消費習慣を身につけたと考えられ、
単に「新しさ」「改善点」を訴求するのではなく、
その商品を買ったらどう得するのかを強調する必要があるだろう。

▼特に、外部環境の変化によって時間の価値が高まっているので、
手間が省ける点や短時間で済む点をアピールすれば、
効果があるかもしれない。
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6)おすすめ商品・サービス

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編集後記
こんばんは、高尾です。
昨日は、久しぶりにリアルタイムでカンブリア宮殿を見ました。
人材教育スペシャルで、日産・ファーストリテイリング・
日本McDonaldなどが取り上げられていました。
特に、ユニクロ柳井さんの「これからの社会人は、
自営業者のようになる。」という話は大変興味深かったです。
店舗運営では、本部からの指示を100%実行するのではなく、
店舗に合った品揃え・サービスを行わないと、消費者の支持を得られません。
私は、店舗を持つ小売業・飲食業だけではなく、
すべての産業で自営業者のマインド=自立した精神が必要になるだろうと予測しています。

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