本当にコンビニでワインは売れているのか?
先日、日経MJにワインに関する記事が掲載されていました。
セブン―イレブン・ジャパンはワイン販売を拡大する。冷蔵ケース内により多くのワインボトルを収められる新型じゅう器を6月から順次導入し、ワイン全体 の扱い商品数を1年前より3割強拡大。6月以降のワイン販売額は前年の2倍に増やすことを目指す。より多くの女性客を店に呼び込むほか、総菜などつまみ類 を一緒に買うことも促し、各店の売り上げ増につなげる。(2013年5月23日付 日経MJ)
記事だけ読めば、セブン-イレブンのワイン売上は増加しているように思えます。増えているからこそ、冷蔵販売するワインの種類を増やすと読み取れるからです。しかし、記事全体を読むと、内容はすべて計画ベース。コンビニにおけるワイン販売の実績は、全く触れられていません。増えているなら、増加率・増加額(数)の言及があってもいいもの。たとえ、何割という概数でもあれば、記事に深みが出るものです。それがないということは、実はさほど売れていないのでは、と勘ぐりたくなります。
というのも、実際にセブン-イレブンのワイン売り場を見ると、メンテナンスがさほどされていないからです。空の陳列棚もあるほどで、販売効率を最優先するコンビニ(特にセブン)からすると、考えられないことです。
もちろん、空ということは売れている証拠でもありますが、そうとも取れません。というのも、プライスカードもろくに設置されていない銘柄も存在するからです。恐らく、店舗側は、ワインの販売にさほど力を入れていないのではないでしょうか。それよりも、惣菜やカウンターフード(から揚げなど)の販売のことで、頭がいっぱいなのだと思います。
それでもワインの販売に力を入れるのはなぜか。それは、ワイン購入者の客単価が高いからだと思います。記事でも触れられています。
コンビニの主要客である若年層は酒を飲まなくなったとされるが、セブンイレブンではワインなどの酒類を購入する客の3割前後が総菜も一緒に買っている。 (同日付 日経MJ)
客単価が他の来店客よりも高いから、ワイン購入者数を増やせば、客単価・売上の拡大につながります。今のところ思ったほど売れないけど、このデータを元に夢に掛けているのが、現状ではないでしょうか。
あくまで個人的な予測ですが、ワインの消費量拡大の大部分は、業務用つまり飲食店での利用なのではないか、と思います。それは、思った以上にスーパー・コンビニのワイン売り場にやって来る来店客が少ないからです。
☆今日のまとめ☆
セブン-イレブンがワインの販売を拡大するが、現実は思ったほど売れていないのではないか。
というのは、記事にワイン販売実績数字が掲載されておらず、実際の店舗でも適切な売場作りがなされていないからである。
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☆ 今日のこぼれ話☆
もちろん、スーパー・コンビニ以外の百貨店や専門店・通販という販路も考えられます。
ただ、そのような販路は、どちらかというとこれまでワインを飲んでいた人が使っているのではないでしょうか。
それ以上に、ワインを扱う飲食店が増えたことの方が、大きなインパクトになっていると実感しています。