セブンカフェからわかる、コンビニの売上に対する考え方とは?
※日本のコンビニコーヒーではありません。
今年上半期のヒット番付が発表されました。そこにランクインしたのが、コンビニコーヒー。
日常消費では西の大関「コンビニコーヒー」が「堅実」の筆頭格だ。セブン―イレブン・ジャパンの抽出機でいれる本格コーヒーは、一杯100円という安さ。累計6500万杯と当初想定の1・5倍強を売った。サークルKサンクスは130円を100円に値下げ、ミニストップも100円のSサイズを導入して低価格競争が進む。(2013年6月19日付 日経MJ)
コンビニの中で、コーヒーの販売に一番力を入れているのがセブン-イレブンです。セブン-イレブンのコーヒー・セブンカフェの売れ行きは、想定以上にいいようです。
セブン―イレブン・ジャパンは2013年度のいれたてコーヒーの販売目標を上方修正すると発表した。利用客が女性やシニアらにも広がって売れ行きが想定 を上回っているため、当初比36%増の4億5千万杯に引き上げた。試飲やテレビCMなど販売促進と、ついで買いが見込めるデザート類などの商品開発に力を 入れる。(2013年5月27日付 日経MJ)
コンビニにはよく立ち寄るのですが、大抵のコンビニでは、レジの横にコーヒーの抽出器がデカデカと設置されています。あのデカさが大きなポイントかもしれません。デカさ故に、コンビニコーヒーを知らない人やコーヒーをあまり飲まない人も、コンビニで淹れたてのコーヒーが飲めることを無意識のうちに認識するのではないでしょうか。その結果、コーヒーの売れ行きが好調に推移し、各社淹れたてコーヒーに力を入れるようになったのだと思います。
ただ、そこで気になるのが、
カニバリ
です。つまり、コンビニが、淹れたてコーヒーの販売に力を入れるほど、従来から販売していた缶コーヒーやチルドコーヒーが売れなくなる恐れがあるのです。さらに、その価格を見ると、驚くことがわかります。
【コンビニで販売しているコーヒー価格】
[缶コーヒー]約120円
[チルドコーヒー]約150円
[淹れたてコーヒー]約100円
淹れたてコーヒーの価格が一番低く、缶コーヒーの約8割、チルドコーヒーの三分の二しかありません。この価格差の結果、淹れたてコーヒーの販売数量が伸びれば伸びるほど、カニバリの影響により、コンビニのコーヒー売上が減少する恐れがあるのです。もちろん、各コーヒーのターゲットが異なるので、カニバリ以上に販売増が期待できるでしょう。しかし、同じコーヒーである以上、ある程度のカニバリを避けることはできません。
では、コンビニがカニバリの恐れがある淹れたてコーヒーを導入したのはなぜなのか?その一番の理由は、利益率の高さではないかと思うのです。スイーツなどとのついで買いによる客単価の上昇期待という理由もありますが、コンビニスイーツの高い利益率を考えれば、これも利益率の高さに集約できるかと思います。つまりコンビニは、カニバリによる売上減少のリスクを冒してまで、利益率の向上・利益額の拡大を目指したのではないでしょうか。
PB商品の導入拡大も、淹れたてコーヒーと同じ理由ではないでしょうか。つまり、NB商品よりも低価格のPB商品を導入すれば、売上金額が減るリスクがあるものの、利益率・利益額の拡大が期待できます。このように考えると、コンビニにとって、既存店売上の減少はさほど大きな問題ではないかもしれません。
☆今日のまとめ☆
コンビニ各社が、淹れたてコーヒーの販売に力を入れるのは、缶コーヒー・チルドコーヒーとのカニバリによる売上減少というリスクを冒してでも、利益率・利益額を拡大させたいからではないか。
コンビニにとって既存店売上は、さほど重要ではないのかもしれない。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
最近、ちらほら街でセブンカフェを持ち歩く人を見るようになりました。
みんな、どこで飲んでるのでしょう?
気になるところです。(予想は、お昼休み後のオフィス)