サッポロホールディングスの四半期決算が教えてくれる、日用消費財の収益拡大方法
by courtesy of Dushan Hanuska
サッポロホールディングスの第三四半期決算が発表されました。
サッポロホールディングスが31日発表した2013年1~9月期の連結決算は、経常利益が前年同期比2倍の88億円だった。国内のほか北米、ベトナムでビール販売が好調。販売費・一般管理費の削減も進め、国内飲料の落ち込みを吸収した。(2013年11月1日付 日経新聞朝刊)
ビール消費量の減少トレンドが続く国内市場で、ビールが売れているということは、それだけサッポロの商品が支持されていることの表れ。実は、ビール消費量は、日本のみならず先進国では減少傾向にあります。そう考えると、サッポロのビールは絶好調と言っても過言ではないでしょう。
四半期決算の補足説明資料(PDF)を見ると、好調なビール販売の詳細を知ることが出来ます。ビールに詳しい人ならある程度予想は付くかと思いますが、好調なビール販売を支えるのは、エビスの存在です。プレミアムビールのエビスが、相当売れているのです。
ちなみに、普及型ビールの黒ラベルは、販売数量を減らしています。さらに、販売好調なZEROが属する第三のビールも、実は不調。売上数量のみならず、売上金額も減らしています。この対比により、エビスがいかにサッポロの好決算を支えているかがわかります。
面白いのは、国内酒類の広告宣伝費・広告物品費(景品など)を減らしているという点。一方で、流通に支払う販促費は増額しているので、昨年よりも値下げしたものと思われます。その値下げした商品のほとんどは、価格競争の激しい第三のビールでしょう。しかし、結果を見れば、値下げした第三のビールは売上を減らした一方で、値下げをほとんど行わないエビスが売上を伸ばしたのです。広告費も減額されているので、エビスのCMを特に増やしたとも思われません。値下げ・CMを増やさなければ、新規顧客の獲得は難しくなります。では、エビスはどうやって売上を伸ばしたのか。それは、
既存顧客の販売数量が伸びたから
ではないでしょうか。
景況感の向上、そして実際に給与が増えたエビスユーザーが、エビスの購入機会を増やしたものと思われます。例えば、週末だけのユーザーが、平日にも飲むようになったかもしれません。外食機会を増やした結果、エビスを提供するお店に行く回数が増えたかもしれません。これを小売業や飲食業に当てはめると、客数ではなく客単価を増やしたことで、既存店売上が伸びたことになります。
顧客数を増やすには、販促や値引きなどコストがかさみます。売上・利益ともに伸ばすには、広告を含めた販促費を減らして、既存顧客に多く買ってもらう必要があるのではないでしょうか。サッポロの成功事例は、そのことを教えてくれます。
☆今日のまとめ☆
納豆が激しい価格競争に陥っているのは、スーパーという低価格を要求されるチャネルを主要販売ルートとしているからであり、またパッケージや品質で差別化ができていないからである。
健康という切り口で差別化できれば、ヨーグルトのように価格競争から脱却でき、高くても売れる商品が生まれるかもしれない。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
北海道展でよく見るのが、サッポロビールのサッポロクラシックビール。
まだ飲んだことがないので、飲んでみたい!!