ワタミ外食部門赤字の理由は、焼き鳥専門店・炭の鳥子のメニューを見ればわかる
by courtesy of Jackson Boyle
ワタミの居酒屋メニューが大きく刷新されるようです。
ワタミは主力業態である居酒屋「和民」や「坐・和民」、「わたみん家」の全メニューを3月までに全店で刷新する。同社の居酒屋事業は不振が続いており、全 店舗数の9割超を占めている3業態のテコ入れ策が課題となっている。先行して新メニューを導入している店舗では売り上げが増えており、全店に導入して居酒 屋事業の立て直しを図りたい考えだ。(2014年2月14日付 日経MJ)
刷新する理由は、外食部門が営業赤字に陥った要因である「和民」「坐和民」など総合居酒屋チェーンをテコ入れするため。実際、メニューを刷新した店舗は、売上が増加したようで、この成功事例を多店舗にも広めようとしています。
ただし、その成功事例は、総合居酒屋チェーンで生まれたのではなく、焼き鳥専門店「炭の鳥子」で生まれたとのこと。つまり、総合居酒屋でうまくいったのではなく、焼き鳥という日本人が大好きな料理の専門店でうまくいったのであり、総合居酒屋でうまくいく保証はないのです。まぁ、ここまではいいとして、炭の鳥子の新メニューを見て、びっくりしたことがありました。
【炭の鳥子の新メニューで驚いた点】
[1]300円以上もするお通しが依然として存在している
[2]寿司など焼き鳥以外のメニューも多彩に揃えている
1について、最近総合居酒屋に行かないので、お通しの存在をすっかり忘れていました。そう、総合居酒屋チェーンに行けば、否応なしにお通しを注文しなければならないのです。(もしかしたら拒否できるかもしれないですが)しかも、その値段は300円もします。300円にもう少し足せば、安い居酒屋では生ビールが一杯飲めるかもしれません。普段使いの居酒屋では、300円はそう簡単に使える金額ではないのです。総合居酒屋チェーンが支持を失っている理由に、このお通しの存在があるかもしれません。
2について、焼き鳥専門店ながら、寿司があるのにはびっくりしました。さらに、お酒も、カクテルからワインまで多彩に揃えています。恐らく、客層を限定すれば、客数の減少がさらに進むかもしれないという危惧から、こういうメニュー構成になったのだと思います。結局、焼き鳥専門店と謳いながら、中身は総合居酒屋と変わりないのです。メニューを見る限り、専門店の料理が出てくることはなかなか期待できないでしょう。
何が言いたいかというと、お通しという消費者の不満を解消しないだけでなく、客層を広げたいばかりに専門料理に絞り込めなかったということです。これこそ、和民の総合居酒屋が客数減少に歯止めが掛からず、営業赤字に陥った原因ではないでしょうか。
特化するということは、一部の客層を捨てるということであり、なかなかできることではありません。だからこそ、大きな差別化ができる戦略になるのではないでしょうか。
☆今日のまとめ☆
ワタミの総合居酒屋部門が営業赤字になったのは、お通しという消費者の不満を解消していないだけでなく、客層を広げたいばかりに料理を絞り込めなかったからではないか。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
お通しでも、受け入れられるお通しもあります。
それは、とても自宅では食べられないような、特別なお通し。
つまり、欲しいものなら喜んでお金を払うということになりますね。