楽天の物流本格参入で狙うのは銀行のビジネスモデル?
昨日の日経新聞に、ヤフーの物流関連の記事がありました。
インターネット通販各社が自前の物流拠点の整備を加速する。資本提携するヤフーとアスクルは485億円を投じて5年以内に拠点数を2倍に増やし、楽天は全 国5~6カ所に自社拠点を開設する検討を始めた。自前の拠点を整備することで物流を効率化し、配送料の引き下げや当日配送・一括配送などサービスの拡充に つなげる。(日経新聞電子版より)
要は、アマゾンと同じように
物流サービスを自社で提供する
方針のようです。アマゾンにライバル心を抱いて、物流強化に一番力を入れているのは楽天。確か、何週か前の日経ビジネスでも、楽天が注力する物流機能に関する記事がありました。
EC(電子商取引)業界と小売業界の両雄である楽天とセブン-イレブン・ジャパンが、相次いで物流改革に取り組んでいる。消費者が購入した物品を自宅に配送する宅配分野でのことだ。(日経ビジネスオンラインより)
当初、楽天が物流に力を入れるのは、
アマゾンに追いつくため
と、私は考えていました。アマゾンの物流機能とは、
のうち、
保管・荷役・包装・流通加工
の部分です。輸送は外部に委託されています。(確かヤマト運輸)楽天も、アマゾンと同じ輸送以外の4要素に参入するのだと、思っていました。しかし、楽天は、
輸送も含めた物流の全機能の提供
を目指しているようです。
輸送機能(特に宅配)は、物流の他の機能に比べて労働集約性の高い機能です。というのは、
1人の人間が配達できる箇所には限りがある
からです。逆に言うと、
一箇所に配達する物量を最大化すれば、輸送コストを削減できる
ことになります。だから、アマゾンは輸送機能を外部委託しているのでしょう。そして、これまで楽天もそうしてきました。しかし、これからは自社輸送を取り入れるようです。
輸送機能の特徴を考えると、外部委託する方が低いコストを享受できるにもかかわらず、自社輸送を行うのはなぜか。その理由を考えてみました。
楽天輸送を楽天の各種サービスの窓口にしたいから
ではないでしょうか。
楽天には、ネット通販の楽天市場以外にも、
楽天証券(証券取次・投信販売など)
楽天銀行(預金サービスなど)
楽天ブックス(書籍販売)
楽天トラベル(旅行代理店)
など多種多様なサービスがあります。従来は、これらのサービスのPR・販促を、主にネットを通じて行って来ました。インターネットを基盤とするサービスなので、当然と言えば当然です。
さらに、今後
というサービスを開始するとのこと。これは、
スーパーマーケットという実店舗が行なっているサービス
を代替するものです。
この楽天マートというサービスは、これまで楽天が行なってきたサービスとは大きく異なります。その違いとは、
従来の楽天のサービス=ターゲットがネットユーザー、商圏という制約はなし
楽天マート=ターゲットは商圏内の消費者、商圏という制約あり
というもの。楽天マートというビジネスには、食料品や酒類を保管する倉庫を建設し、そこから一定の商圏内に宅配するため、必然的に商圏という制約が生まれます。一方、従来の楽天のサービスは、楽天市場や楽天ブックスなどのECサービスでは全国配達、その他のサービスではネット上でサービス提供・決済までが完了するため、商圏という制約がありませんでした。
商圏という制約があると、商圏内での売上を最大化するには、商圏内の消費者で普段あまりネットを利用しない層にも、楽天マートを利用してもらう必要があります。さらに、この非ネットユーザーの取り込みは、
これまで楽天がターゲットにしてこなかった層に、楽天マート以外のサービスを売り込む
機会にもなります。例えば、これまでイオンネットスーパーを利用していた消費者が、楽天マートを利用したとします。この消費者の自宅に、楽天の輸送員が楽天マートで買った食料品や酒類を運ぶついでに、楽天銀行の預金サービスを売り込むことが可能になるのです。もし、この輸送をヤマトなどの外部に委託すれば、注文した商品の輸送しかできず、その他サービスの紹介はできません。せいぜい、注文した商品と一緒にチラシを渡す程度でしょう。(確か、楽天ブックスで注文すれば、注文商品が入ったダンボールの中に、何かしらチラシが入っていたかと思います。)
楽天輸送員と商圏内の消費者との接触頻度を高めて、
楽天への親しみやすさ
を生み出して、楽天のその他サービスの販売につなげようとしているのです。これは、
その店舗の多さ・信頼の高さを活用して、保険や投資信託を販売する銀行
に大変似ています。保険・投資信託の手数料を稼ぐのは、銀行のビジネスモデル。楽天は、プロ野球参入を通じて楽天ブランドの認知度を高め、ネットスーパー・宅配事業への参入を通じて、楽天ブランドの信頼をより高めようとしているように感じます。
☆今日のまとめ☆
楽天のネットスーパー・宅配事業参入は、認知度が高まった楽天ブランドの信頼度を高めるためではないか。
信頼度を高めて、その他サービスの売上拡大を目指しているように思える。
これは、その店舗の多さ・信頼の高さを活用して、保険・投信販売を行う銀行のビジネスモデルに似ている。
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☆今日のこぼれ話☆
楽天市場はよく利用するのですが、それはポイントがよく付くから。
だいたい毎週末は、何かしらポイント倍付けのキャンペーンを行なっています。
詳しく走りませんが、恐らくこの原資は出店者が負担しているのでしょう。
このような負担をしてまで出店すると、本当に儲かっているのか疑問です。
楽天市場とは違うネット通販のビジネスモデルが、求められているように感じます。
☆昨日の目標→その結果☆
◎朝6時に起きる→◯
◎毎日情報を発信する→◯
◎毎日仕事以外の人に話掛ける→☓
◎腕立て・腹筋30回→◯
◎自宅のある12階まで歩いて登る、または自転車を30分以上漕ぐ→◯
◎部屋や家の掃除をする→◯
◎営業日誌を付ける→◯