柿安のお弁当

 By toyohara

デパ地下の惣菜店・RF1を運営するのは、ロックフィールド。ロックフィールドが上場しているのは、昔株主だったこともあり知っておりました。一方、RF1と同じくデパ地下の惣菜店・柿安ダイニングを運営する柿安が上場していることを知ったのは、つい最近。デパ地下の惣菜店運営会社で上場しているのは、この2社しかないと思います。この2社の月次実績を見ると、大きな違いがありました。その違いとは、以下の通りです。

 

【ロックフィールドと柿安の既存店売上高の比較(直近四半期分)】

○     ロックフィールド→前年同期比マイナス

○     柿安→前年同期比プラス

 

店舗で商品を販売する企業の業績を見る場合、既存店実績を見ればわかります。前年同期比プラスなら業績は良好、逆にマイナスなら業績が悪化していることになります。上記結果からすると、ロックフィールドの業績は悪化し、柿安の業績は良好に推移していることになります。

 

しかし、実際に店舗を見ると、全く逆の風景を目にします。

 

【ロックフィールドと柿安の店舗状況の比較】

○     ロックフィールド→比較的混んでいることが多い

○     柿安→比較的空いていることが多い

 

店舗を実際に見る限り、ロックフィールドの方が業績は良さそうで、柿安は悪そうなのです。数字とは真逆。当初、なぜこのようなことが起こるのか、全く理解できませんでした。次のような仮説を立てたことがあります。

 

【ロックフィールドと柿安の売上に関係する店舗の違い】

○     ロックフィールド→サラダが多いため、計量するのに時間がかかる。だから、売上に関係なく、混んでいるように見える。

○     柿安→サラダは少なく、メイン料理が多いため、計量に時間がからない。だから、注文を多くさばけ、空いているように見える。

 

デパ地下の惣菜売場をよく観察すると、注文されたグラム分計量するのに、何度も入れたり出したりしている風景を目にします。これが、行列を作る要因の一つになります。実際、ロックフィールドの店舗を見ると、サラダが多いために、この計量作業に手間がかかっていることが多いのです。一方、柿安はサラダが少ないので、計量にそんなに時間はかかっていません。この差が、売上に関係しない待ち時間の差を生み出していると、思っていました。しかし、実際に柿安の店舗を見ると、ロックフィールドほどではないにしても、そこそこ計量に時間がかかっているのです。計量作業が行列の長さ・待ち時間の要因になっていることは確かですが、売上にまで影響しているかは疑問。他に、もっと大きな要因があるようです。

 

そこで、よくよく売場を見たところ、売上に差を生み出す違いを見つけ出しました。それは、以下の通りです。

 

【既存店売上高に影響を与えるロックフィールドと柿安のオペレーションの違い】

○     ロックフィールド→閉店ぎりぎりまで量り売りを行う。

○     柿安→夕方頃から計量済商品を作り出し、閉店間際では量り売り商品を行わない。

 

17時頃に行けば、この差がすでに表れています。17時は、閉店の3時間以上前にあたり、処分売りの気配すらありません。しかし、柿安は、既に計量済商品を作っています。恐らく、出数の少ないアイテムなのでしょう。計量済商品しかないものもあります。一方、ロックフィールドは、計量済商品はゼロ。量り売りを継続しています。これが、閉店間際になると、柿安はほぼすべての商品が計量済になるのに対し、ロックフィールドは依然量り売り主体。この差が、売上に影響するのです。つまり、次のような差を生み出します。

 

【閉店間際のロックフィールドと柿安のオペレーションの違い】

○     ロックフィールド→量り売り主体のため、迅速な販売ができない。

○     柿安→計量済商品主体のため、迅速に売りさばける。

 

閉店間際になると、どこも処分売りを始めます。そして、値打ちの高い商品から無くなります。目当ての商品、価値の高い商品をできるだけ早く手にしないと、すぐに無くなるのです。また、処分売りは、閉店間際の20時頃に行われるので、自宅で食事をするには、早く帰らなければなりません。これらの理由により、来店客は、できるだけ早く商品を買おうとするのです。

 

そんなニーズに対して、ロックフィールドは、量り売りを継続しているために、答えることはできません。時間の掛かるロックフィールドの店舗を避けるお客さんも、いるかもしれません。一方、柿安は、計量済商品主体なので、お客さんが選んでレジ係に渡し、決済して終了。とてもスピーディーなのです。このオペレーションの差が、閉店間際の売上の差を生み出し、既存店売上高に影響しているのではないでしょうか。

 

もちろん、閉店間際の柿安店舗の混み様は、その割引率の高さに依るとも言えます。ロックフィールドが、通常2割引なのに対し、柿安は3割引。この1割の違いが、柿安の店舗にお客さんを呼び込むのでしょう。ただ、たとえロックフィールドが柿安同様3割引きにしても、量り売りをしている以上、注文をスピーディーに捌けないのではないかと思います。結局、割引率以上に、オペレーションの違いが閉店間際の売上、ひいては既存店売上高に影響を与えているのでしょう。

 

量り売りは、計量済商品の販売よりも、より新鮮なイメージがあります。しかし、それが本当に売上につながるかどうかは、消費者のニーズによるのです。

 

☆     今日のまとめ☆

柿安は、閉店間際までに殆どの商品を計量済にするために、処分販売をスピーディーに行うことができる。

一方、ロックフィールドは、量り売りをぎりぎりまで続けるために、処分売りで売上を伸ばす事ができない。

この差が、既存店売上高の差につながっているのではないか。

 

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☆     今日のこぼれ話☆

それだけ、忙しい人が多いということにもなりますね。

だから、コンビニが支持されるのかもしれません。

 

☆サイゼリア創業者 正垣泰彦の言葉☆

「立地で注意しなければならないのが、商圏内に見込み客がいるかどうかだ。チェック方法は簡単で、業種を問わず、自店が狙う価格帯で繁盛している店が商圏内にあるかどうかで分かる。」

『おいしいから売れるのではない 売れているから美味しい料理だ』より)

※創業者・経営者・商売人の心に残る言葉、元気になる言葉を紹介しています。