ネスカフェアンバサダー募集

先日取り上げたWBSのコーヒー戦争では、ネスレの施策も取り上げられていました。その施策とは、

オフィスアンバサダー募集

というもの。美味しいコーヒーが簡単に作れるネスカフェバリスタという機械を、企業に無料貸出するという企画です。

もちろん、このような販促を行うのは、ネスカフェバリスタで使うゴールドブレンドの売上を増やすためです。ちなみに、ネスカフェバリスタをネスレの通販サイトで買うと、ゴールドブレンド1個付いて9000円。ゴールドブレンド1個は約700円するので、ネスカフェバリスタは、約8300円となります。

もちろん、全くの無料で借りられるわけではありません。無料貸し出しには、次のような条件が付いています。

【オフィスアンバサダー募集の条件】

[1]    職場にバリスタを設置すること

[2]    到着後1ヶ月以内に専用のゴールドブレンド1個を購入すること

[3]    定期的に送るアンケートに答えること

ただし、応募資格は上記以外にも必要なようです。

【上記以外の応募資格】

[1]    ネスレ会員であること

[2]    レポート投稿ページに楽しんでいる写真とコメントを投稿すること

[3]    ネスレ社員・関係者でないこと

ちなみに、こちらのサイトを見ると、条件の2は、「1ヶ月一回以上購入すること」になっていますが、ネスレ公式サイトでは、「到着後1ヶ月以内に少なくとも1個購入すること」となっているので、継続購入は義務化されていないようです。

こられの条件・資格を付けることにより、ネスレには次のような効果が期待できます。

【オフィスアンバサダー募集によるネスレのベネフィット】

[1]    ネスカフェバリスタ・ゴールドブレンドの宣伝広告ができる

[2]    バリスタを自宅用として買うか迷っている人に試飲してもらえる

[3]    ゴールドブレンドの売上が増加する

[4]    ユーザーの評価を低コストで手に入れられる

1は、企業内に置いてもらえることにより、また楽しい雰囲気の画像・コメントをSNSで拡散してもらえることにより、認知度が上がります。頻繁に利用してもらえれば、愛着が生まれる可能性もあります。また、アンバサダーが、バリスタ・ゴールドブレンドのセールスマンとして、働いてくれます。この結果、単にオフィス内のコーヒー需要をすくい取れるにとどまらず、自宅内でのコーヒー需要獲得まで見込めます。

2は、1杯14円から飲めるので、9000円支払って失敗したくない人の背中を押すことができます。仕事休みに有料試飲をしてもらっている、と考えることもできます。

3は、プリンター本体とインクの関係と同じ。この場合、バリスタがプリンター本体になり、ゴールドブレンドがインクになります。8300円ほどのバリスタの無料貸出を受けることにより、オフィスの人には、「コーヒー飲むならバリスタで飲もう」という心理が働くことになります。これまで缶コーヒーを買っていた人や、モンカフェなどのドリップコーヒーを飲んでいた人は、缶コーヒーやドリップコーヒーからバリスタに変えるでしょう。この結果、ネスレは、他社から売上を奪うことができ、売上アップを図ることができます。

4は、これまでユーザーからの評価・感想を得るには、費用を掛けて調査する必要がありました。これが結構高くつくのです。しかし、オフィスアンバサダーを活用すれば、無料で手に入れられます。かかるコストは、バリスタの本体コスト・送料ぐらいでしょう。

ネスレがオフィスにバリスタを貸し出すのは、オフィスには多くの人がいるからに他なりません。一人一人に無料貸し出ししては、相当長い期間貸し出さない限り、赤字でしょう。しかし、多くの人が集まる場所に貸し出せば、飲んでくれるコーヒーの量が大きいので、短期間でも黒字になります。

さらに、オフィスでは、仕事の合間にコーヒーを飲む習慣(?)があります。ただ、市場が顕在化しているものの、そこに売り込む企業はほとんどありません。あるとすれば、企業内に設置された自販機ぐらいでしょう。しかし、自販機も売り込むというよりも、待ちの商売に過ぎません。一方、バリスタを無料設置すれば、オフィスにいるアンバサダーがバリスタの存在・魅力を伝えてくれます。セールスマンと言っても過言ではないでしょう。

もう一つ加えれば、その価格設定も需要獲得に大きく作用します。サイトを見れば、バリスタで作ったコーヒーは1杯約14円だそうです。ちなみに、缶コーヒー・ドリップコーヒー・カフェのコーヒーと価格を比較すると、次のようになります。

【オフィスで飲まれるコーヒーの価格比較】

缶コーヒー→約120円

ドリップコーヒー→19円(ブルックス)50円ほど

カフェ→100円~400円ほど

バリスタ→約14円

バリスタが最安値なのがわかります。実際には、ブルックスのドリップコーヒーを19円で飲もうと思えば、250袋入りを4980円で購入しなければなりません。バリスタなら、ゴールドブレンドを1個買っても700円弱。価格では、バリスタの圧勝なのがわかります。

時間という側面で考えると、オフィス内で容易に飲めるバリスタは、買いに行く必要のある缶コーヒーやカフェのコーヒーよりも、購入ハードルは低くなります。忙しい合間に、わざわざ買いに行くなら、バリスタでぱっと飲みたいと考える人もかなり多いのではないでしょうか。価格だけでなく、時間・手間という面でもバリスタに軍配が上がります。

ネスレがオフィスを狙った理由をまとめると、次のようになります。

【ネスレがコーヒー販売先としてオフィスを狙った理由】

[1]    多くの人がいるから

[2]    需要が顕在化しているから

[3]    競争が激しくないから

[4]    時間・手間を小さくしたいニーズがあるから

これらの市場として魅力がありながら、比較的価格競争が起こりにくい市場だからこそ、ネスレが目を付けたのだと思います。その市場に対して、価格的魅力のある商品をぶち込むことで、かなり優位に戦うことができます。

逆に言えば、上記4つのような条件の整う市場があれば、新規参入がしやすいとも言えるでしょう。

☆  今日のまとめ☆

ネスレがオフィスに目を付けたのは、「人が集まる場所だから」「需要が顕在化しているから」「競争が比較的激しくないから」「時間・手間を省きたいニーズがあるから」という理由からだろう。

そして、そこに価格的魅力のあるバリスタをぶつけることにより、優位に戦うことができる。

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☆  今日のこぼれ話☆

バリスタで作ったコーヒーは、まだ飲んだことがありません。

ゴールドブレンドというところが、少しネックですね。

インスタント・コーヒーで美味しいのに、出会ったことがないからです。

やっぱりコーヒーは、レギュラーコーヒーが一番かと思います。

☆サムシンググッド創業者 坂本桂一さんの言葉☆

「この本の中でも書いたが、最初に「なぜそれをやるのか」が明確になっていなければ、その事業が成功する確率は薄い。」

『頭の良い人が儲からない理由』より)

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