アサヒのドライプレミアムが早々に販売目標を上方修正した要因とは?
アサヒビールのギフト専用商品・ドライプレミアムが、好調に売れているようです。
アサヒビールは「スーパードライ」ブランドで6月に発売したギフト専用の高級ビール「ドライプレミアム」について、年間販売目標を当初比2・3倍となる280万セットに引き上げる。350ミリリットル缶12本などを1セットにした中元商品が想定を上回る受注が続いており、2度目の上方修正を決めた。(2013年7月3日付 日経新聞朝刊)
中元商戦では販売目標を70万セットに設定していたそうですが、6月末ですでに約66万セットを受注。今後の商戦本格化を考慮して、280万セットに上方修正したようです。
そこで、ドライプレミアムがここまで売上を伸ばした要因について、考えてみました。
【ドライプレミアムの売れ行きが好調な要因】
[1] 品質の良い物を少量飲みたいというシニア層のニーズに合致したから。
[2] ギフト専用品で通常価格がわからず、もらった人はいい物をもらったと思いやすいから。
1について、シニア層に限ったことではないかもしれませんが、少なくとも、ビール業界ではプレミアムビール自体の売れ行きは好調のようです。
ビール大手が最需要期の7月、味や製法にこだわり価格が高めの「プレミアムビール」を増産する。サッポロビールは「エビス」の生産量を前年同月に比べ約 10%増やし、サントリー酒類も「ザ・プレミアム・モルツ」を15%引き上げる。景気回復の期待を追い風に夏場に向け営業攻勢をかける考えだ。(2013年6月13日付 日経新聞朝刊)
景気回復期待もあるのでしょう。週末は、平日には飲まないプレミアムビールを飲む人が増えているのかもしれません。ただ、実際に給与が増えたと実感する人が少ないことから、株式などリスク資産を多く持つシニア層が、資産効果によりプレミアムビールを買うようになったのではないか、と予測しています。もしかしたら、手っ取り早い単価向上策として、通常のビールからプレミアムビールにシフトする飲食店が、増えたのかもしれません。いずれにせよ、プレミアムビールの人気が、ドライプレミアムの売れ行きに好影響を与えていることは間違いないでしょう。
2について、このギフト専用品という性質が、ドライプレミアムの売れ行きに一番大きな影響を与えているのではないか、と思います。ギフト専用品だから、スーパーでは売っていません。よって、特売されるどころか、一缶いくらさえもわからないのです。そのため、ドライプレミアムをもらった人は、希少性の高いものをもらったと喜ぶのではないでしょうか。贈り主からすると、一番嬉しいことです。こういうシュミレーションが頭の中で容易にできるからこそ、ドライプレミアムを買うまでのハードルが低くなり、売れ行きの良さにつながっているのだと、思います。
実は、2について、大変おもしろい現象が起こっています。それは、
スーパーのビール売り場でドライプレミアムのギフト商品が家庭用として売っている
という現象です。これを見たのは、三宮のダイエーと自宅近くのグルメシティ(ダイエー系スーパーマーケット)。恐らく、ダイエー側が、ギフト商品であるドライプレミアムの売れ行き好調に気づき、家庭用としての販売に踏み切ったのではないでしょうか。売れ行きはというと、ダイエーでは残り2セットしか店頭にありませんでした。5セットから10セットを並べていたとすると、それなりに売れていることになるでしょう。
もちろん、CMキャラクターに福山雅治を起用したことや、アサヒビールの営業力も影響していることは、間違いないでしょう。しかしそれ以上に、ギフト専用品という価値が、消費者の心をくすぐったのではないでしょうか
☆今日のまとめ☆
アサヒビールがドライプレミアムの販売目標を早々に上方修正したのは、商品がギフト専用品のプレミアムビールだからではないか。
ギフト専用品ならば、もらった人は価格に換算しにくいので、その価値の高さに感謝を感じやすくなる。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
正直言いまして、今一番飲みたいのがドライプレミアムですね。
スーパードライはそれほど好きではないのですが、ここまで売れているとどんな味か気になるところ。
この売れ行きを数字で見て、アサヒビールは家庭用販売をしたくなる衝動に駆られるのでしょうね。